本部
きっとこれは悪夢ではなくて
- 形態
- ショートEX
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,500
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 6~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/05/18 07:30
- 完成予定
- 2018/05/27 07:30
掲示板
-
相談卓
最終発言2018/05/17 20:54:17 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/05/16 03:07:13
オープニング
●
――――――――――――――。
●
誰もがヒーローになれるわけではない。
とある少年は、数人の同級生から殴られながら、そう思った。
いつだって、世界は開かれていると思っていた。何にだってなれるし、どんな人生だって歩める。少なくとも先生や両親はそういっていたし、テレビに出てくる偉い学者やコメンテーターだってそんなことを言っていた。
だけど、現実はそうではなかった。今の僕はほんの数センチしか体格が違わないサッカー部の男子から殴られて蹴られて、下卑た笑いを押し付けられている。すべてが違っていた。僕の人生の中で、輝いているものは――少なくとも今は――どこにも見えなかった。
こいつらを、見返してやりたい。
もっと強くなって、こいつらを見下し返してやりたい。
けれど……と、少年は同級生たちが満足して帰った後で、夕暮れ時の空を見上げながら思う。
そんなことができるのだろうか?
自分の家は裕福なわけではない。ジムに通うとか、塾に入るなどということはとてもではないが望めないだろう。仮にそれがかなったとして、果たしてうまくいくかどうかもわからない。
では自分でトレーニングするか。それはできない。何かしようとすれば絶対に彼らの目についてしまう。彼らのネットワークは広大で、自分の考えなど及ぶべくもない。見つかったら何をされるか……。
八方塞がり。そんな単語が少年の頭をよぎる。
結局、自分は何にもなれないのか。ただ生まれた星が悪かっただけで、テレビの中で活躍するリンカーになれないのか。誰からも尊敬されるような存在には、なれないのか。ただ運が悪かっただけで。
――――いやだ。
いやだ、いやだ、いやだいやだいやだ!!
強くなりたい、見返したい。見下して、同じところまで引きずりおろしてやりたい! あいつらなんかよりもはるかに尊敬されるようなヒーローになりたい!
それすら叶わないのなら――こんな世界、滅んでしまえばいい!!
●
――――? ――――――――!
●
「いたぞ、あの男の子だ!」
少年が気が付いた時には、周囲を警察に包囲されていた。
彼らは皆一様に殺気立っていて、何人かはちらちらと気がかりそうに少年の足元に目を落としていた。少年が何の気なしに視線を追ってみると、そこには彼を散々痛めつけて醜い欲望を満たしていた同級生が、血だらけになって転がっていた。
ああ。
ついに、やったのか。
「相原祐樹君。君には同級生を暴行した容疑がかけられている。おとなしくこちらに来てくれ。そうすれば我々は何もしない」
……?
なぜ、彼らはこちらをにらみつけているのだろう。
「……だめです。動きません」
「落ち着け。もう少し様子を見るんだ」
まるで、僕が。
ヒーローに倒される、悪役みたいじゃないか。
●
――――――――!!!!
●
「撤退! 撤退だ!!」
「容疑者が逃走! こちらは容疑者の攻撃で被害甚大、応援を求む! 繰り返す――!」
●
「今回君たちに対処してもらいたいのは、この愚神だ。ああわかっているぞ、見た目にはただの中学生の男の子にしか見えないし、愚神の反応なんて計器の誤差レベルでしか検出されていない。けれどな、ただの男子中学生が拳銃と警棒で武装した警察官三名、さらに応援に駆け付けた十五名を難なく叩きのめして重傷を負わせることができると思うか?
特殊犯罪事例として警察庁からH.O.P.E.への通報が入り、こちらで解析と調査を行った結果、この少年を暫定的にだが愚神と認定した。……そう殺気立つな、続きがある。
彼は愚神に感染している可能性が高い。つまり、彼自身が愚神というよりは愚神が彼の体を動かしているということだ。反応が非常に微弱なのもそのせいだろうな。愚神は少年の神経や血管、組織に浸透してほとんど同化している。そこから漏れ出ている愚神の反応しか拾えなかった、というわけだ。
少年は現在、近くの支部を目指して進路上にある障害物をすべてなぎ倒しながら直進している。到達されればどんな被害が……パンデミック的な意味で起こるか予想がつかない。ライヴスを介した攻撃であれば少年に影響はないだろうから、支部に辿り着かれる前に動きを止めてくれ。最終防衛ラインを支部前の公園に設定する。そこでなんとしてもケリをつけろ。
あと、下手に近づくなよ……と言いたいところだが、遠距離からの接触ほど感染が高くなる予測が出ているほか、最終的には直接愚神を体外に叩きだす必要がある。充分に注意してくれとしかこちらからは言えない。
それでは、幸運を祈る。哀れにも愚神に罹患した少年を止めるんだ」
解説
目的:デクリオ級愚神『インフェクト』の撃破
登場人物
『インフェクト』
・デクリオ級愚神。実態不明、全長などの物理的ステータスはすべて不明。
・対象一体を狙って肉体の支配権を奪取する能力を持つと思われる。肉体の支配権が奪われた対象は攻撃性が増加し、パラメータの上昇補正がかかる(PL情報:全パラメータ+50、洗脳(3)付与)。一度感染すると三ラウンド感染状態が続く。
・接近戦を行う際二分の一の確率で、遠距離から攻撃(少なくとも『インフェクト』の視界に入らない範囲から)した場合四分の三の確率で『インフェクト』に感染する。感染による戦況の混乱を避けるため、極力接近戦を行うこと。
・感染した少年は、非常に大きな精神的心労を抱えていたことが確認されている。愚神はこれに付け込んだ可能性が高いが、確定はできない。充分に注意すること。
(PL情報:能力者あるいは英雄の『闇』、つまり両親との死別や後ろ暗い過去を強制的に突き付けられることになります。どう対処するかがカギになります)
少年
・『インフェクト』に感染した少年。いじめを受けていたとされる。
・自己肯定感が極めて低く、現実に対する憎悪とヒーローへの憧れと諦めを持っていたと語られるが、詳細は不明。
公園
・『インフェクト』の近くの支部前にある大きな公園。障害物が乏しく、中央に噴水がある以外は木々がまばらに生えているだけ。
・この公園を突破されてしまうと支部に到達されてしまう。『インフェクト』の侵攻をここで阻止すること。
マスターより
山川山名です。
今回のテーマは『無冠』。テーマ自体にあまり意味はもたせていませんが、だからこそいろいろな想像が膨らむとは思います。冠とはどういうことか、それがないとは何を意味しているのか。このオープニングで語られる少年は、果たして何をみなさまに突きつけるのでしょうか。どうかどうか、考えていただきたいと思います。
いよいよ、パンデミックの始まりです。ではではー。
リプレイ公開中 納品日時 2018/08/21 19:41
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相談卓
最終発言2018/05/17 20:54:17 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/05/16 03:07:13