本部
天獄レース
- 形態
- ショートEX
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,500
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 6~10人
- 英雄
- 10人 / 0~10人
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/05/09 09:00
- 完成予定
- 2018/05/23 09:00
このシナリオは5日間納期が延長されています。
掲示板
-
【相談】
最終発言2018/05/08 01:46:43 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/05/06 19:16:56
オープニング
●テレさん
紫峰翁大學からの帰路、テレサ・バートレット(az0030)は並木道の途中でふと足を止めた。
青葉を茂らせる木々。
そういえばこれは、日本人がもっとも愛する桜の木であるという。咲いたと思えばすぐに散り落ちてしまう薄紅に、彼らは粋と意気とを見るのだろうか。
「ワビ・サビ、シキソクゼクウ・クウソクゼシキ。桜には和の心があるのよね」
特務に加え、彼女自身の身辺も騒がしいこの頃だ。せっかく日本の言の葉が持つ美しさを知ろうと進学したものの、授業と食堂での新メニュー開発に追われ、心の余裕が持てずにいた。
「No need to hurry,do not panic.Take a short rest,take a breather」
懐かしアニメの小坊主の決めゼリフみたいなことを英語でつぶやいて、彼女は大きく息をついた。
ちょうどメニューの開発にも行き詰まっていたところだ。桜などながめながら試作料理をつまみ、気持ちを切り替えてみるのも悪くないだろう。
問題は、今からでも見物できる桜が、どこかに残っているのかどうか。
「――ミオ? テレサだけど。ちょっと相談が……って、いきなりあなた誰? ミオは急に花を摘みに行ったから代理? まあ、花を摘みに行ったならしかたないわね。ああ、そうそう。花の話なんだけど」
●互助会のみなさん
「というわけで、ジーニアスヒロインは花見を所望だ」
ニューヨーク某所にある地下会議室。集まった男たちは覆面で隠した顔を見合わせ、ぶるりと震えた。
「極東方面支部長っ! なぜジーニアスヒロインが花見など思いつくのですか!? そんなことにならないよう、学食アドバイザーの仕事を詰め込んだのではなかったのですか!」
「そうしたはずなのですよ。現状迷いの内にあるジーニアスヒロインを癒やし、さらに脇目を振らせないため、学食の新メニューを考案するべしとの任務を与えて。しかし……」
ざわざわ……ざわ……
不安そうにざわめく覆面たち。見かけがいっしょなので、誰が誰かわからないのはしょうがない。
と、上座に座す覆面が重々しく口を開いた。
「葉桜を見たむす――ジーニアスヒロインは思いついてしまったのだよ。桜の下で友と語らい、舌鼓を打つ時間こそが新メニューのヒントになるのではないかと」
「なん……ですと?」
「Oh my!」
「(自主規制)」
場に絶望が満ち満ちる。
激マズなばかりか人の魂を侵し、物理的に打ち砕くテレサ・バートレットの手料理、通称“死神の鎌”もしくは“テ料理”。
この場にある男たちはもれなくそれを食らい、一度ならず集中治療室へぶち込まれた経験を持つ。そしてある人物の呼びかけに応じ、結成したのだ。同じ地獄を文字通りに味わった者たちをこの世界へ引き戻し、さらにはH.O.P.E.の象徴であるジーニアスヒロインの名声を守るため、すべての問題を隠蔽する『互助会』を。
ちなみに彼らの活動費、ある人物のポケットマネーでまかなわれている。多数の軍事企業からしつこく支援の申し入れはあるのだが……あれを兵器に転用されたりしたら、世界は未曾有の混沌に陥ってしまう!
「そうでなくとも“死神の鎌”に取り憑かれた輩が出始めているというのに……」
度重なる“死神の鎌”被害の中、なんの因果か目覚めてしまった者がいる。そう、テレサの料理がもたらす凄絶な苦痛、その先にある“天獄”を見たいがため、あらゆる手段を尽くし、“死神の鎌”を食らおうとする者たちが!
「恐ろしいのは彼らの間で、天獄とやらの向こう側へどれだけ近づけるかを競う遊びが流行していることです」
覆面のひとりが語るのは、酔人たちのゲーム……通称『天獄レース』だ。
“死神の鎌”を食らうことで生命力が削れていくのは周知の事実だが、そのダメージが300パーセントに至った瞬間、邪英化が引き起こされる。酔人たちはそのギリギリを目ざして食べ続けるという、一種のチキンレースに興じているのだった。
重々しい沈黙の中、上座の覆面が強く言葉を弾き出した。
「会員諸君に命じる。“死神の鎌”にて斬り落とされた命を救え。そして“酔人”のゲームを止めよ。――諸君の全力をもって友の背を守り、世界を救え。誰ひとり死んではならない。誰ひとり死なせてもならない。ひとりひとりが成すべきを成し、明日へ還れ!」
●礼元堂
テレサからの連絡を互助会へ繋いだ礼元堂深澪(az0016)は、互助会の会長(意味深)から折り返し届いた指示に従い、さる場所の選定にかかっていた。
「場所は日本でぇ、5月に咲いてる桜があってぇ、家が近くになくてぇ、最悪爆破テロとかあっても大丈夫なとこ……」
くわっ。
「そんなとこねぇわ~!」
ここはH.O.P.E.東京海上支部のオペレータールームである。しかし、まわりの同僚は驚きも注意もせず、そっと視線を逸らして完全無視を決め込んだ。
なにせ深澪がヤンキー丸出しで絶叫するのはテレサ関連で上から無理難題を押しつけられた結果と決まっているし、下手に触れば巻き込まれるし。
そもそも互助会からの要請で重体者の受け入れ先を探すのは彼女たちの仕事、“死神の鎌”の殺傷力はよく知っていた。
ゆえに絶対、かかわらない。深澪がトイレだと言って逃げ出しても、けしてテレサからの“お願い”は引き継がない――過ぎるほどの固い決意をもって結ばれた重苦しい沈黙の中、深澪は唸りながら検索エンジンにワードを打ち込み続け、数十分の後、ついにその指を止めた。
「……条件全部クリア。ここしかねぇのぜぇ~」
4月下旬から5月上旬にかけて咲く緑色の花弁を持つ桜、御衣黄が咲く甲信越地方の某所にある公園。半径500メートル以内に民家はなく、警察組織と連動できればある程度以上の封鎖ができるだろう最高の環境がそこにあった。
「“酔人”対策は互助会に丸投げてぇ、あとは生贄だねぇ~」
●告知
ぴろん。H.O.P.E.東京海上支部のグループコミュニsケーションアプリに、深澪からのメッセージが投稿された。
【テレさんと馴染もう!】
今度の日曜日、テレサ・バートレットさんといっしょにお花見します。
みんなでめずらしい緑色の桜見てテレさんのお弁当食べてお話しましょうぜ!
参加したい人は返信よろしくぅ~。
どこにもおかしな誤字はなかったが、経験者ならすぐに思うだろう。
おかしくないのがおかしい。
それよりも、テレサの弁当を食すという内容がすでにおかしい。
……天獄への門が、きしみながら開き始めていた。
解説
●依頼
御衣黄の下、レジャーシートで輪になって、テレサの弁当を食べながらみなさんで交流してください。
●“死神の鎌”あるいは“テ料理”メニュー表
注:()内は料理内容とまずさの雰囲気です。
・刻み梅漬けとグリンピースの雑穀米おにぎり(俵型。舌に突き立つ酸味と地獄巡りを思わせる多彩な歯触り)
・ふんわり出汁巻玉子(出汁香る関西風。真綿で魂を締め付けられるような責め苦)
・筍とピーマンのXO醤炒め(ピリ辛。カリっとした煉獄とシャキっとした針山のコラボ)
・きんぴらごぼう(シンプルな醤油味。噛み締めるごとに沸き立つ三途の泥感)
・スコッチエッグ(半熟玉子の挽肉包み揚げ。とろりとあふれ出す血の池の熱血)
・スティッキートッフィープティング(ナツメヤシと黒砂糖のスイーツ。脳が溶ける甘さ)
・ブラックティー(イギリスの硬水で淹れたダージリン(サードフラッシュ)。舌を斬り裂かれるような固さ)
●備考
・弁当をひと口食べるごとに生命力が4パーセント損なわれます(28口以上で重体確定)。
・74口食べた瞬間、互助会の介入により強制退場となります(酔人も同様)。
・メニューを食した際のリアクションはフリーダムにどうぞ。
・飲み物の持ち込みは自由。
・今回はぜひ、料理を食べるだけでなくテレサや礼元堂、参加者同士の交流や花見も楽しんでください。
・輪の中に“酔人(NPC)”がいます。彼らは勝手に『天獄レース(オープニング参照)』に興じます。絡むも絡まないも自由です。
・依頼の成功度ですが、参加者全員(能力者と英雄はそれぞれひとりとしてカウント)重体で大成功、70パーセント以上の重体で成功、それ以下の場合は概ね普通となります。
・互助会があちこちに潜んで様子を窺っています。
・疑問や確認があれば質問卓でどうぞ。
マスターより
お疲れさまです、電気石八生です。
テレさんと花見です。そして“酔人”の登場です。嵐の予感がします。ということで、心のままに交流したりテ料理食べたり斃れ伏したりなんだりかんだりしていただければと思いますー。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2018/05/16 20:54
参加者
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【相談】
最終発言2018/05/08 01:46:43 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/05/06 19:16:56