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コメディ

特殊AGW運用試験 ~新人研修ver.~

一 一

形態
ショート
難易度
易しい
参加費
1,000
参加人数
能力者
5人 / 4~10人
英雄
5人 / 0~10人
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2018/05/03 19:00
完成予定
2018/05/15 19:00

このシナリオは3日間納期が延長されています。

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オープニング

●腕『だけ』は買われた
「――これでAGW開発行程をすべて消化しました。データ上は、現場での実用レベルにも達しています」
「うむ、ご苦労だった」
『特殊状況下を想定した特化型AGW開発部(略称・特開部)』の常に紙束が雄大な山としてそびえる主任室にて、1人の職員が新たな資料とともに複数の指輪を主任へ渡した。
「しかし、意外でしたね。先月あんな爆発事故を起こしたのに、H.O.P.E.から依頼がくるなんて」
「先方によると『攻撃的性能を排除すればAGWとしての完成度は高い』と判断した者がいたらしい。……我々の本懐は武装AGW開発ではあるが、常に資金難な状態を考慮すれば依頼があるだけマシなのだろう」
 先月の爆発事故とは、彼らなりに『雛祭り』を意識して開発された試作AGWが暴走し、演習場のエージェントごとぶっ飛ばした痛ましい事件である。被害者は全員、髪の毛が縮れて愉快な見た目を強要されたが、幸いにも大事になる前にエージェントが沈静化してくれたため、今の『特開部』ではすでに笑い話だ。
「それにしても、登録して日の浅いエージェントに向けた訓練用AGWなのに、どうして武装NGだったのでしょうか? 戦闘経験を得るのであれば、臨死体験が一番の近道だと思うのですが?」
「そこが私も腑に落ちない。試作機の機動実験を失敗した経験則などからして、人は半分以上死んだ状態がもっとも成長できる生物のはずだが、『安全厳守』と何度も念を押されてしまえば従うほかあるまい」
 本気で悩みながら首を傾げるぶっ飛んだ職員の疑問に、主任はなんと同意を示した。この会話だけで『特開部』におけるAGW開発の頭のおかしさが理解できるだろう。
 この部署、AGW開発費とほぼ同等の医療関連費をグロリア社に報告するほど、エージェントと同レベルの怪我が日常茶飯事というイカレた職場なのだ。
 未だ死者が0なのは奇跡だが、逆を言えば『半殺しのプロ』を名乗れるくらいには『生死の境界』を熟知している証拠でもある……訓練用AGWに不要な経験則であるのは言うまでもない。
「ああ、なるほど。だから『あの機能』を搭載したのですか」
「うむ。訓練とはいえ、一定の緊張感は必要だからな」
 合点がいったと感心顔の職員に、主任は愛用のグラサンを光らせた。
 悪い予感しかしない。
「では早速H.O.P.E.に連絡を取り、訓練の日程などを打ち合わせしてきます」
「頼む。私は資料の内容から改善点がないかチェックしよう」
 それぞれ動き出した職員と主任の顔は、どこまでも真剣だった……

●新人訓練、はっじまっるよぉ~!
「勤勉なエージェント諸君、今回は本訓練の参加を心から歓迎しよう」
 そして、訓練当日。
 何故か防音設備が整った屋内演習場には、『特開部』の他に大勢のエージェントがいた。
 その内、実戦経験がほとんどない新人エージェントの表情は緊張気味で、後進育成のボランティアとして参加した先輩エージェントは微笑ましげな表情が多い。
「今回は我々『特開部』が開発したAGWを利用して、主にヴィラン戦闘を想定した対人訓練を行う。たとえ人の姿をしていても、愚神とヴィランでは戦闘時の雰囲気や対処法が異なることを、実戦に近い状況で存分に学んでもらおう」
 職員たちから新人エージェントへ、戦闘における愚神とヴィランの違いをまとめた資料が配布された。
 明確に違う扱いとして、たいていのヴィランは法律で裁かれるべき犯罪者であるため『逮捕』が基本で、よほど危険な人物や状況でなければ殺害はなるべく避ける必要がある。
「だが、時には現場でヴィランを殺害する判断を迫られることもある。もし君たちが不運にも『今』そのような事態に直面した場合、躊躇せず『人を殺す』覚悟ができる者は多くないはずだ。つい先日まで一般人だった者もいるため無理もないが、それでも君たちはもうエージェントであるため甘えも許されない」
 いきなり重いテーマが中心で真剣度が増す中、主任が指輪のAGWを取り出した。
「そこで君たちには、疑似的に『人を殺してもらう』」
 は? と新人たちの口がぽかーんと開くのも構わず、主任が説明を続ける。
「このAGWはライヴスを用いて人形を作り出す物だが、あえて精巧な人間にはならないよう設計されている。せいぜい顔がここにいる先輩エージェントの物に変わり、特定条件で先輩方の声が出るだけだ」
 んん? と目を丸くする新人たちに気づかず、主任はAGWを先輩エージェントへ渡していく。
「つまり、君たちにはこれから時間いっぱいまでここにいる先輩方の顔をした人形を殺し続けてもらう。肉体的な危険は一切ないため、動くカカシを破壊する訓練という認識で大丈夫だ」
 精神的な安全は?! と誰かが口にしたが、主任は真顔で言い切った。
「この訓練の目的は、君たちに度胸をつけることだ。本物の先輩たちがいる前で、偽物の先輩たちを殺しまくれば、いずれ感覚は麻痺してくる。とにかく慣れろ。自分や仲間や助けを求める人々を守るために、先輩の屍を越えてゆけ!」
 なんかいいこといった風な感じ出してるけど、これ下手をすれば先輩たちから恨まれるヤツじゃね!?
 とてもいい笑顔をこちらに向けてくる先輩たちが、新人たちにはとても恐ろしかった。

解説

●目的
 新人エージェントのヴィラン戦闘訓練・補助

●登場
 グロリア社の『特殊状況下を想定した特化型AGW開発部(略称『特開部』)』の主任及び職員
 全員開発プロジェクトに携わっている技術者で優秀
 基本的に研究・開発に没頭しており常識に疎く、頭のネジが外れている

●状況
 訓練時間は9:00~15:00(昼休憩1時間)
 場所はH.O.P.E.東京海上支部の屋内訓練場
 障害物等はなく防音設備が充実した空間

 主任がH.O.P.E.から依頼を受けAGWを開発
 訓練用試作AGWの運用試験も兼ねて新人研修を実施
 登録して間もなく戦闘経験が少ないエージェントは訓練担当
 戦闘経験が豊富な先輩エージェントはAGW運用や訓練補佐担当

●試作AGW
・幻想体(ミラージュ・デコイ)
 指輪型AGW
 使用者の身体能力を反映し、遠隔操作可能な霧状の人形を生成
 戦闘能力はなく、物理的接触が可能な程度の密度を維持する
 イメージプロジェクター機能を搭載し、顔だけモデルとそっくりに変更
 ライヴス出力は不安定で、1回の発動につき1D6体作成される

 特殊効果
・人形の形状→参加能力者・英雄の身体データに準拠しランダムで再現
・AGW使用中→全人形が消滅するまでメインアクション使用不可
・人形が1D6回被弾→消滅(ダメージ量無視)
・被弾→PCたちの声を改造した呪詛が毎回再生+顔映像に流血表現が追加

●その他
・生命力減少なし(精神力憔悴あり?)
・訓練への参加は任意、訓練の補助はボランティア
・補助組は人形の呪詛(精神攻撃)をプレで指定可能
↓台詞例
 恨み辛み系
『殺すころすコロス×∞』
『――テメェの顔、覚えたからな?』
 変化球系
『パパ、ママ……ごめんね、わたし、しんじゃったよ……』
『僕の家族を返せ! この人殺しっ!!』
・研修後→スタッフが全員に参加賞として飴ちゃん(ハッカ味)1個を配布

マスターより

 本シナリオは『特殊AGW運用試験』のシリーズ物? です。
 今回は新人が己の精神力を鍛え、先輩が新人の精神を追い込むシナリオになります。
 新人さんはこの訓練で対人戦の空気や、英雄と共鳴した戦闘に少しでも慣れましょう。
 先輩方はヴィラン=人間との戦いを経験していないヒヨッコに戦場の過酷さを教えましょう。

 ちなみに、本シナリオは先輩が有名&高レベルであるほど新人は萎縮する仕様です。
 顔だけとはいえ、ベテランから憎悪混じりの罵詈雑言を浴びせられる恐怖はひとしおですからね。

 なお、参加PCの役割が訓練か補助のどちらかに偏った場合。
 もう片方の役割はNPCエージェントが担当しますのでご安心を。

リプレイ公開中 納品日時 2018/05/09 20:58

参加者

  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 非リアの神様
    伊邪那美aa0127hero001
    英雄|8才|女性|ドレ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • まだまだ踊りは終わらない
    餅 望月aa0843
    人間|19才|女性|生命
  • さすらいのグルメ旅行者
    百薬aa0843hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 特開部名誉職員
    高野信実aa4655
    人間|14才|男性|攻撃
  • 親切な先輩
    ロゼ=ベルトランaa4655hero001
    英雄|28才|女性|バト
  • 特開部名誉職員
    古明地 利博aa5567
    人間|11才|女性|命中
  • 勇敢なる豪鬼
    兎川 結衣aa5567hero001
    英雄|16才|女性|シャド

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