本部
刺青とミイラ
- 形態
- シリーズ(新規)
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,300
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/03/17 22:00
- 完成予定
- 2018/03/26 22:00
掲示板
-
相談卓だよ
最終発言2018/03/17 19:45:08 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/03/15 22:24:47
オープニング
●刺青のミイラ
エジプトの首都カイロ。旧市街を歩くキターブの足取りに淀みはない。勝手知ったる裏道を進むと、そこに小さく居を構えた店の中に入っていく。
キターブが入るとと同時くらいに、似たような年嵩の男が奥から出てきた。キターブもおうなどと気安く返事する。この古物商はキターブの昔なじみである。
「キターブ。よく来てくれた」
「ご無沙汰だな、エジル」
「大怪我したって聞いたぜ。大丈夫なのか」
「ちょっと荒事が続いてな。これくらいで済んでむしろ運がよかった」
軽い世間話を終えると、キターブはエジルに依頼の件を促した。
「それで、頼みってのは?」
「この奥に依頼人がいる。会って直接聞いてくれ」
カウンターはすぐにエジルの家となっている。設えの良いマシャラビアのローテーブルの前には、豊かな赤ひげを蓄えた壮年の紳士が座っていた。その顔立ちに覚えがあったキターブはすぐに駆け寄って深く礼をした。
「エドワード・レイネス教授ではありませんか。お初にお目にかかります」
赤ひげの紳士は、イギリス人として長年エジプト考古学を研究してきた、ロンドン大学に籍を置く教授だ。エジプト考古学に明るいものならまず憧れる名だ。
「君がH.O.P.E.の人かね。よろしく頼む」
「キターブ・アルセルフです。お会いできて光栄です、教授」
「噂は聞いているよ。魔術や考古学に明るいらしいじゃないか」
「ただのオカルティストですよ。お褒めいただくほどのことでは」
「そのオカルティストに鑑定してもらいたい代物があってね」
教授は手で机の包みを示す。開けるように促されたキターブが包みを開くと、そこには包帯で厳重に包装された人体らしきものが現れた。それを見ても眉一つ動かさず、むしろ懐かし気に目を細めてキターブが言った。
「ミイラですね。年代は……副葬品はどのような」
「それが既に墓泥棒にあったのか、何も残っていなかったんだ。カノポス壺も見つかっていない」
ミイラ自体の年代は炭素年代測定などに掛けねば分からない。ならば同じ墳墓に収められた副葬品、例えばミイラの内臓などを入れてあるカノポス壺や死者の書の様式などで探るしかない。
風化した無地の包帯を慎重に剥いでいく。乾燥してしわくちゃになった茶色の肌が見える。エジプト生まれのキターブにとって子供のころから博物館などで見慣れた代物だ。
暗く窪んだ眼窩、縮みあがった肌に彫られた刺青はもはや難解に過ぎる。固く、軽く、脆い質感。もはやこれは人ではない。だが確かに人であったと思わせる。だからこそミイラは妖しく人を魅了し続ける。
「私としては新王朝時代辺りだと思うのだが、どうだね。オカルティストとしては」
レイネスはカイロの南にあるベニスーフの東にある発掘現場でこのミイラを見つけたという。副葬品等がなく年代が特定できなかったものをエジルが見立てようとしたが結局は分からず、キターブならばあるいはとメールを送った次第だと言う。
一頻りミイラを観察し終えたキターブは、申し訳なさそうに切り出した。
「まあ、何と言いますか……そういう意味では偽物ですな」
二人が緊張したのが雰囲気で分かったが、気にした風もなくキターブはミイラの包みを乱暴に剥いでいく。
「これは古代のエジプト人ではありません。恐らくロシア人、それも犯罪者ですな」
「そこまで分かるのか!?」
慎重な手つきでミイラの肌を無理やり広げて刺青を見せる。
「この両肩の八芒星。これは窃盗犯が好んで彫ったものです。さらに首元は恐らくロシア語で『神よ、貴方の僕マクシムを守りたまえ』。どれもロシアの囚人たちが好んで彫る刺青のモチーフなんですよ」
「……まさかこれが、信じられん」
「腕のいい贋作師ですな。ミイラの乾かし方や古色の付け方が素晴らしい。金は取れても考古学的価値はありません。エジル、お前なら捌けるだろ、こんなんばっか扱ってっから」
「余計なこと言うんじゃねえよ」
以上が私の見立てです。キターブは恭しく一礼して退き下がる。ロシア人、それも犯罪者のミイラ。あえて古色をつけてそれらしく整えた謎のミイラ。
「どういうことだ、一体」
「さあ? そればかりは何とも」
「分からないか。ならば確かめるほかないな!」
レイネスはかけられてハットとジャケットを手に取ると、店先のほうへと歩いて行ってしまった。
「何をしている、エジル。ベニスーフに行くぞ、車を出したまえ!」
●遺跡の谷
車を運転していたエジルは大いに気鬱だった。パンパンだの、タタタタッだの、谷のほうから聞こえてくるのはそんな戦場音楽ばかりだ。
レイネスは強引に車を準備させ、その日の夜のうちにベニスーフの発掘現場にキターブを連れてきたはいいが、そこで銃撃戦が始まっているなど誰も予想していなかった。
「なんだかやたら騒がしいな」
一体どういう神経をしているのか、夜陰を劈く銃撃を聞きながらレイネスはのんびりとそんなことを呟いた。
どう考えても盗掘団だかマフィアか何かの衝突である。関わる意味などない抗争だ。
「教授、とりあえず警察呼んで見つかる前に帰りましょう」
「……キターブくん、H.O.P.E.というのは警察力の行使権もあるのだったな」
エジルの言葉に取り合わず、レイネスは妙なことを口走る。驚きはしたが、キターブにとって興味を強く引いたのは事実だった。
「正確には違いますが、まあ、そのように理解してくださって結構です」
「ではここにエージェントを呼んでくれたまえ。この抗争を鎮圧してほしい」
「無理です。H.O.P.E.は異世界存在との関連がなければ活動できません」
キターブが毅然と言うと、レイネスは年季の入ったステッキで谷のほうを鷹揚に指し示した。
「ああいうのは異世界存在ではないのかね?」
指摘されてよく観察すれば、抗争に使われているのは銃ばかりではない。明らかに何も持っていない相手から炎や雷が飛び出す。中空に現れた氷柱が弾丸のように飛んでいく。
明らかな魔術現象。今代の魔術師、それも英雄の力を宿しながらH.O.P.E.に属さず非合法活動を行なう者たち――ヴィランだ。
谷底の北側に魔術を駆使するヴィランたちは恐らく三人ほど。その反対の南に布陣する相手はライフル銃を使う男たちが十人近く。
「失礼致しました、教授。すぐに作戦を策定いたします」
「頼む」
短く言ってレイネスは車のシートに身を沈める。そうした不遜な態度が全く似合っているので、文句を入れる気にもならない。それにキターブ個人としては、教授に恩を売っておくのも悪くはなかった。
解説
・目的
ヴィランとマフィアの抗争を止める。
・敵
ヴィラン:三人ほど。火炎や雷電、氷柱を放つ。
マフィア:十人ほど。全員が銃器で武装している。
・場所
エジプト、ベニスーフの東にある谷。
・状況
事情を聞く必要があるため、全員を生きた状態で捕えるのが望ましい。
マスターより
エジプトで謎のミイラを見つけた直後、妙な抗争に巻き込まれてしまいました。謎を確かめるためにも全員捕まえて事情を聞きましょう。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2018/03/23 22:36
参加者
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相談卓だよ
最終発言2018/03/17 19:45:08 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/03/15 22:24:47