本部
【白刃】ボーダーライナー
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 6人 / 4~6人
- 英雄
- 6人 / 0~6人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/10/22 19:00
- 完成予定
- 2015/10/31 19:00
掲示板
-
相談卓
最終発言2015/10/22 15:00:24 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/10/20 00:42:24
オープニング
●H.O.P.E.
「……老害共が、好き放題に言ってくれる」
H.O.P.E.会長ジャスティン・バートレットが会議室から出た瞬間、幻想蝶より現れた彼の英雄アマデウス・ヴィシャスが忌々しげに言い放った。
「こらこらアマデウス、あまり人を悪く言うものではないよ」
老紳士は苦笑を浮かべて相棒を諌める。「高官のお怒りも尤もだ」と。
愚神『アンゼルム』、通称『白銀の騎士(シルバーナイト)』。
H.O.P.E.指定要注意愚神の一人。
広大なドロップゾーンを支配しており、既に数万人単位の被害を出している。
H.O.P.E.は過去三度に渡る討伐作戦を行ったが、いずれも失敗――
つい先ほど、その件について政府高官達から「ありがたいお言葉」を頂いたところだ。
「過度な出撃はいたずらに不安を煽る故と戦力を小出しにさせられてこそいたものの、我々が成果を出せなかったのは事実だからね」
廊下を歩きながらH.O.P.E.会長は言う。「けれど」と続けた。英雄が見やるその横顔は、眼差しは、凛と前を見据えていて。
「ようやく委任を貰えた。本格的に動ける。――直ちにエージェント召集を」
傍らの部下に指示を出し、それから、ジャスティンは小さく息を吐いた。窓から見やる、空。
「……既に手遅れでなければいいんだけどね」
その呟きは、増してゆく慌しさに掻き消される。
●境界線
「今ならまだ間に合うの! これを聞いている誰か、早急に支援を――」
(テレサ、ちょっとだけ落ち着くアル)
マイリン・アイゼラ(az0030hero001)のなだめすかすような思念と、トンネルに反響する自身の声とで、テレサ・バートレット(az0030)ははっとなった。
軽く呼吸を整え、壁際で荒い息をしながら蒼白い顔に汗を浮かべている少年を気遣うように一瞥し、再度無線機越しの不特定多数へと呼びかける。
「――ごめんなさい。こちらエージェントのテレサ・バートレット、並びにマイリン・アイゼラ。従魔の掃討任務中別働隊の襲撃を受け、現在生駒山のレールトンネル内部、東口からおよそ100メートルの地点に退避中。生存者はあたし達の他にもう一組、だけどかなり危険な状態なんだ。あとは全員……やられちゃって」
唸る轟音。次いで黒い塊が目の前を過ぎり、気がついたら皆倒れていた。
仲間も、従魔も、木々も、その存在が通った跡の何もかもが、ばらばらになるか、踏みしだかれていた。
「そん、な……」
こちらが怯もうと立ち竦もうと、それは無慈悲に槍を振りかぶった。
次の瞬間、誰かに突き飛ばされたテレサの視界は、自分の代わりに胴を貫かれた仲間――最近エージェントになったばかりの少年だった――の鮮血でいっぱいになった。
少年の荒い呼気に伴って包帯が赤く染まりゆくのを認め、テレサの目元が険しくなる。
(絶対に許さない)
(テレサ……)
テレサの悪い癖が出た。
“正義のヒロイン”は今、誰の為に憤り、その矛先を誰に向けようとしているのだろう。不甲斐ない我が身に? そんな自分を助けた少年に? 目下の仇敵たる従魔に? はたまた生駒山を、人々を、H.O.P.E.の仲間達を、さも退屈凌ぎに食い散らかしたとばかりの数々の所業――その元凶たる愚神アンゼルムに?
(…………)
全てがない交ぜになっているような気がして、危ういばかりで。なのに掛けるべき言葉が見つからなくて、マイリンは、ただつらかった。
そんなパートナーの同じ身に宿る胸中を知ってか知らずか、テレサは引き続き無線を口元に寄せる。
「お願い、力を貸して。死んでいったみんなに、まだ生きているこの子達に報いたいの」
少なくともその声は凛然として、淀みのないものに感じられた。
●ドロップゾーン深部
事実、アンゼルムは退屈していた。
この山を制圧して数か月――周辺のライヴス吸収は一通り終わり、次なる土地に動く時期がやって来たのだが、どうも興が乗らない。
かつての世界では、ほんの数ヶ月もあれば全域を支配できたものだが、この世界では――正確には時期を同じくして複数の世界でも――イレギュラーが現れた。能力者だ。
ようやっと本格的な戦いができる。そんな期待も束の間、奴らときたら勝機があるとは思えない戦力を小出しにしてくるのみで。弱者をいたぶるのも飽き飽きだ。
「つまらない」
「ならば一つ、提案して差し上げましょう」
それは、突如としてアンゼルムの前に現れた。異形の男。アンゼルムは眉根を寄せる。
「愚神商人か。そのいけ好かない名前は控えたらどうなんだ?」
アンゼルムは『それ』の存在を知っていた。とは言え、その名前と、それが愚神であることしか知らないのであるが。
「商売とは心のやり取り。尊い行為なのですよ、アンゼルムさん」
「……どうでもいい。それよりも『提案』だ」
わざわざこんな所にまで来て何の用か、美貌の騎士の眼差しは問う。
「手っ取り早い、それでいて素敵な方法ですよ。貴方が望むモノも、あるいは得られるかもしれません」
愚神商人の表情は読めない。立てられた人差し指。その名の通り、まるでセールストークの如く並べられる言葉。
「へぇ」
それを聞き終えたアンゼルムは、その口元を醜く歪める。
流石は商人を名乗るだけある。彼の『提案』は、アンゼルムには実に魅力的に思えた――。
●何もない場所
果たして、その存在が愚神商人の提案と結びつくものなのか、あるいはアンゼルムに縁浅からぬものなのか。
――オァー。
答える者は、ない。
なぜなら今この場には、血と肉と木片と石礫と鉄屑と得体の知れぬ異界の構成物とに彩られた、無人の荒れ野が広がるばかりだから。
――アー。
在るのはただ一騎のみ。
人の上体に馬の胴と四肢を備え、長大な槍と盾をつがえた黒騎士。その頭、胸、腹、両の肩、馬の横っ腹や尻に至るまで、目も鼻も口も歯も備えた、けれど人とは似つかぬ真っ黒な『顔』で鎧う異形の騎士。
――アアー、アー。
ふと、右肩の『顔』が「何か見つけた」とばかり鳴いた。
その虚ろな視線の先には、もっと虚ろに続く深い横穴が、大きな口を広げている。
――アァー。
いらえるように、今度は頭部の『顔』が呻いた。
次に踏みしだくべき道と判じたか、先ほど取り逃がした者の気配を感じたか――とにかく騎士は足踏みして小器用に方向転換を果たすと、吸い込まれるように闇の狭間へと蹄鉄を踏み入れた。
解説
舞台は生駒山に通る長さ4km以上の鉄道トンネル内。電気系統は生きています。
テレサ達は奈良側から進入し、負傷者を抱えながら現在大阪方面へと移動中。
結果的に従魔もこれを追いかける形となりますが、互いの位置を察知できていない為、スタート時点では双方とも速度控えめです。
奈良側・大阪側のどちらから進入するかは各自のご判断にお任せいたします。
(選んだ側の近くに『偶然居合わせた』とお考えくだされば)
また、状況によってはチェイスルールが適用されますのでお含み置きください。
(参照:特殊ルールhttp://www.wtrpg0.com/rule/basic/8)
【従魔(通称ダンタリオン)】
推定デクリオ級~ケントゥリオ級従魔。
そのもの大柄なケンタウロスの騎士といった姿で、全身にいくつもの『顔』を備えています。
体格のわりに素早く小回りも利きますが、制動距離に対してトンネル内はやや手狭なようです。
一方で無理に暴れ、崩落を引き起こす事もあるのでご注意を。
戦闘手段は以下の通り。
・槍、盾、噛み付き(通常攻撃・防御手段)
・チャージ(広範囲直線移動攻撃):謎の力場を身に纏い、全てを巻き込みながら高速で駆け抜けます。破壊力が大きい上『衝撃』『気絶』の可能性があるのでお気をつけください。
【テレサ・バートレット&マイリン・アイゼラ】
初登場ながら早速テレサがヒートアップ気味でマイリンが困っているようです。
基本的には人命優先で動きますが、冷静な判断を期待するには少々薬が必要かも知れません。
何かありましたらお声かけくださいませ。
【エージェントの少年】
テレサ達と同じチームの生き残り。
英雄(幻想蝶の中に居ます)共々意識不明の重体です。
生き延びるか否かは皆様の立ち回り次第となります。
マスターより
藤たくみです。
こちらのシナリオでは、ご参加が確定した時点で生駒山周辺におり、テレサからの緊急無線で『少年の救命支援』と『危険度の高い従魔の討伐』の要請を受けたものとします。
(よって基本的に無線機以外の貸与品はありませんのでお気をつけくださいね)
やや特殊な状況となりますが、がんばってください!
ご参加お待ちいたしております。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2015/10/31 19:30
参加者
掲示板
-
相談卓
最終発言2015/10/22 15:00:24 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/10/20 00:42:24