●　皆さんはスペシャリスト
「こんにちは、春香です」
　三船春香は風にうたれていた。
　バタバタと強く煽る風は自然の者ではなく人工物、ヘリの上では叩きつける風が波のようでうまくしゃべれない。
　それでも春香が懸命に口をパクパクさせ、金魚のようにしゃべるのには理由がある、リポートである。
　今現在春香は、皆さんに生中継でこの映像を飛ばしているのである。
　ヘリの端に春香。見切れる春香はそれで面白いのだが、それ以上に目を引くのは黒金のドロップゾーンの姿である。
「みなさん見てください、あれが今回出現したドロップゾーンです」
　そのドロップゾーンはいつも通り半円であるが、そのドロップゾーンの表面はピカピカ輝いていた。
　あれは全部鉄だという。
　ここは鉄の算出で有名な鉱山だったのだが。ある日突然愚神が占拠。そして。
「愚神の何らかの力でドロップゾーンが発生して、そのドロップゾーンの特性として鉄の再構成があるんだよね」
　鉄の再構成。それは周囲の大地から鉄分を吸収してドロップゾーンの表面を覆うという代物。
「直径はだいたい600メートルくらい？　周囲に従魔はいないみたいだね」
　さらにはその鉱山自体がずっぽり覆われていて、周囲に広がるのは命生きられぬ荒野ばかり。
「今回はこのドロップゾーンを破壊して中に突入するまでが目標だよ」
　告げると春香は体をグイッと機内に戻して扉を閉める。
「うわー、寒かった」
　これから春香は作戦本部に戻るという。ここからあのドロップゾーンをどうやって攻略するか話し合いをすることになる。


●　鋼鉄の城

「よし、ロボットしかないね」
　作戦会議は煮詰まっていた。
　霊力で補強された半分霊石と呼んで差し支えない鋼鉄。その厚み60センチほどで、そのゾーンを瞬時に突破するとなると既存のAGWやその使い手では火力が足りなかった。
「しかもあれ修復されるよね、攻撃したらしゅしゅって治っちゃったもん、つよいね」
　その春香の証言は本当で、春香の火力をもってしても穴をあけられず、それも瞬時に修復された。
　なので、火力集中するか、大火力を持ってくる必要があるのだが。
　その結論がロボらしい。
「ロボならあんな鉄板、ジュってできるよ、ジュって」
　ブレストファイヤー、そう春香がつぶやいた。
　だが本人も現実的でないことはわかっているのだろう。
　すぐにだまると真面目な方の意見を出す。
「連携攻撃しかないね」
　そう連携攻撃、つまり一点に全員の攻撃を集約させての防壁突破である。
「そうなると重要なのは、攻撃の順番だね」
　広範囲低火力攻撃を先に放ってから、低火力狭範囲の攻撃を出すか。
　その場合は広範囲攻撃に仲間が巻き込まれないメリットがある。それ以外にも攻撃にのるバッドステータスや、攻撃角度。等で、大きくダメージ効率が変わるだろう。
　どこから攻撃を加えるのかも重要だ。
　上空、地下から。大地に立って攻撃か。等々。
　集められたメンバーで綿密な作戦プランを立てる必要があるだろう。
　


●実は出る従魔

　今回、春香のヘリが近付いても従魔は出ませんでしたが、皆さんが団体で押し寄せると。二足歩行アンドロイド従魔が出現します。
　名前はAT。
　彼らは胸にガトリング砲。腕には幅広の刃を装備しており、攻撃力よりも命中に秀でています。
　また物理防御力は高めです。
　彼らはラウンドの開始とラウンドの終わりに一体ずつ、ドロップゾーンの周囲100M以内の地面から出現するので対処をお願いします。
　さらにこのロボットは、ダメージを受け。生命力が-10になる形でダメージをうけると大爆発を引き起こします。
　これも利用価値はあるでしょう。
　この情報は事前調査で得られたことにして構いませんが、事前調査に向かったメンバーは10のダメージを受けます。

目標、ドロップゾーンの破壊。

　今回はとても硬いドロップゾーンの表面を突破するという内容です。
　ちなみに愚神は存在しますが、このドロップゾーンの生成に全力を注いでいるので。どんなリンカーでも確定二発で倒せます。
　一応名前は『ディシェル』とついていますが。従魔の方が強いくらいなので、ドロップゾーンを突破したみなさんの敵ではないでしょう。

　今回の任務のポイントは。いかに連携攻撃を決めるかです。
　攻撃スキルの選定。
　従魔対策。
　そして攻撃の順番が肝となるでしょう。
　

●ドロップゾーン、表面回復度(ＰＬ情報)
　この情報はＰＬ情報ですが。
　このゾーンの回復能力を具体的に示すと、ラウンドの終わりに30。
　さらに、攻撃を受けないラウンドが2ラウンド続くと100回復します。

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  エージェント
  西大寺遙華（az0026）
  人間|16才｜女性｜防御適性