本部
【幻灯】痕
- 形態
- シリーズEX(続編)
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,800
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 4~10人
- 英雄
- 10人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/12/18 07:30
- 完成予定
- 2018/01/01 07:30
このシナリオは5日間納期が延長されています。
掲示板
-
身も蓋もない質問板!
最終発言2017/12/17 18:20:54 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/12/16 18:06:37 -
【相談卓】
最終発言2017/12/17 19:04:19
オープニング
●平等
夜の海より頭を突き出す魚人どもへと視線を巡らせ、若き日の現ジョアンペソア支部長“天鎚”が口を開いた。
『哲、君は東京海上支部の増援を迎えに行ってくれないか?』
『マーカーで知らせてありますから、迷子になる心配はありませんよ。ただ、支部長にアイサツがすんでないとかで、もう少し時間がかかるようです』
肩をすくめてみせたのは、東京海上支部からの短期出向でこちらへ登録を移しているエージェント、伊藤哲だ。
『この期に及んで……Anta!』
ポルトガル語で阿呆を意味する単語を“天鎚”が吐き捨てる。
このときのジョアンペソア支部長は非常に優秀な男だった。しかし、それだけに自身の優秀さを貶めることを極度に嫌う男でもあった。
それを辛抱強く説き伏せ、ジョアンペソア支部からもっとも遠い東京海上支部から最小限の増援をもらうことを了承させたのは、他ならぬ“天鎚”であった。
手柄を増援に渡したくないからって、20組で1000体をなんとかできるものか! その後ろには愚神だっているんだぞ!?
それでも。
彼らの後ろには、守るべき人々がいる。
『哲、後方援護を頼む。私たちにはブラジレイロ(ブラジルの男)の意地がある。先陣は譲れないよ』
“天鎚”を押し退け、哲が進み出た。
『俺らはいっしょにメシ食って、いっしょに酒飲んだ。だからいっしょに戦うだけです』
●ブランコ岬防衛線
〈1〉1~2ラウンド
海から津波のごとくに魚人どもが押し寄せる。
『射程に入った! 焼き魚にしてやれ!』
“天鎚”の号令で海へ範囲攻撃が飛び、そのライヴスの轟炎で魚人の柔らかい肉を爆ぜさせた。
『直前までは範囲攻撃で削る! ドレッドノート、ブレイブナイト、次の斉射後に突っ込め! バトルメディックは回復準備!』
3組のジャックポットと共に追撃の準備を開始、“天鎚”が吼えた。
『機を見誤るどころか、見るべき機がないのは痛いですね』
ぼやく哲に“天鎚”は苦い笑みを返した。
〈2〉3~4ラウンド
海岸に到達した800以上の魚人を迎え討つのは、ドレッドノートとブレイブナイトの総数10組である。
陣形もなにもない。そんなものを整えていられる数の差ではなかった。だからまっすぐ走り、当たるを幸いにスキルを乗せた得物を振り回す。
『援護!』
吹き荒れるゴーストウィンドを突き抜けて飛ぶトリオの矢弾。
しかし、魚人はひるむことなく自らを、そして仲間を使い潰し、その屍を乗り越えて攻め寄せる。
無数の魚人に取りつかれ、前衛陣が倒れていった。
2組のバトルメディックが駆けつけようとするが、魚人の壁に阻まれて届かない。
『こじ開けます!』
哲が虎の子のサンダーランスを放ち、魚人どもを貫いた。その隙間から潜り込んだケアレイが前衛陣を癒やす。
『シャドウルーカー!』
“天鎚”の声が、戦場の横合いで潜伏していたシャドウルーカー3組が動く。
ジェミニストライクが敵を裂き、小さな混乱を作り出すが……
『数が、足りんか』
〈3〉5~6ラウンド
すでに戦場は魚人で埋め尽くされていた。
『後ろにも回り込まれてます。ジャックポットが後退してますから、俺たちも』
哲が“天鎚”にささやきかける。
白兵戦開始からたった30秒余りで、互いに支え合っていなければ立っていることができぬほど傷ついていた。
『しかし――』
『もう一発ぶっ込んで穴開けます。あんたまで倒れたら本気で支えられなくなる。……それにね、俺は1秒でも早く早くカイピリーニャがやりたくてしょうがないんですよ』
カイピリーニャとは、ブラジルでよく飲まれるサトウキビの蒸留酒にたっぷりのライムと砂糖をぶち込んでシェイクしたカクテルだ。
『ジャックポットは灯台にいるな? 高台の際まで下がる。哲には後でオシルコを奢ろう』
肩の力が抜けたように“天鎚”が言い、生き残りのエージェントたちに後退の指示を出した。
『ちょ、汁粉はもう一生分飲みましたよ!』
哲のサンダーランスが後方を塞ぐ魚人をぶち抜き、か細い退路を確保した。
〈4〉7~8ラウンド
退路に突き出される無数の三叉槍。それに貫かれて2組が倒れたが、哲と“天鎚”を含む5組は後退に成功し、高台を背に抵抗戦を開始する。
『増援から連絡です。アイサツはすんだ、急行するって話です』
哲の報告に、“天鎚”ならぬ女ブレイブナイトが応えた。
『状況を説明する役が必要ですね。私はブラジレイロじゃないので辞退します』
ブラジルの女――ブラジレイラが血まみれの笑みを投げる。
『腹の調子が悪いんで、自分もパスだな』
シャドウルーカーが続き、ドレッドノートもまた『舌噛んじゃったんでボクも無理』と辞退を告げた。
そして。
『面倒な役目は生き残ったら偉くなる人に丸投げってことで』
哲が“天鎚”の肩に手を置き、横へ押し出した。
『待て、私は』
『後悔も思い出も平エージェントには重すぎます』
万感のすべてを飲み下し、“天鎚”はその場に残った4組と灯台上からのジャックポット3組の援護を受け、駆け出した。
『とっときの策がある。みんなも後退して、最後の壁役頼むぜ』
口の端を吊り上げた哲が3組を促した。
〈5〉9~10ラウンド
ひとり立つ哲へ、魚人群が包囲陣を形成して迫る。その慎重さがくれた時間が、今はなによりありがたかった。
『ジュリア、今までありがとう。契約はここまでだ』
それはふたりの契約、「楽しく生きる」ことの放棄に他ならない。すなわち、生きることをやめるという意思表示。
『いや、今さら「苦しんで死ぬ」にはできないだろ?』
ジュリアの激しい抵抗を受けた哲は少し悩み、思いついた。
『じゃあ賭けようぜ? 俺が死んだら俺の勝ち。俺が死ななかったらおまえさんの勝ち。勝ったほうの意見に従うんだ』
何度挑んでも自販機でおしるこしか出せない不運のくせに。でも。
この男の不運なら、もしかしたら――死神の鎌だって外してみせるのかも。
『共鳴、解くぞ』
そして哲は幻想蝶に戻ったジュリアを高台の麓へ埋めた。
『条約違反なんで隠しといたんだが……従魔相手なら大丈夫だろ』
哲の笑みに不穏を感じたか、魚人どもが殺到。三叉槍をその生身の肉に突き立て、抉り、かき回した。
『くそ、痛ぇ……のも感じねぇや。ありがたい』
哲のちぎれかけた親指がスイッチを押す。
砂に浅く埋められていたライヴス式対人地雷の列が冷たい電気信号で起爆し、哲ごと従魔どもを消し飛ばした。
解説
●依頼
オープニングに記載された〈1〉~〈5〉のいずれかに介入し、情景の中の哲を生き延びさせてください。
●状況等
・ひと組(能力者+英雄)が介入できる情景はひとつだけです。
・すべての情景に介入する必要はありません。
・ひとつの情景に入れるエージェントは最大4組となります。
・それぞれの情景に隠し難易度が設定されています。
・11ラウンドめに増援が到着し、魚人群は一気に押し返されて敗走します。
・哲が〈5〉を経て生き延びた場合、彼はジュリアに「楽しく生きてくれ。俺はいつだって汁粉の缶の中にいる」と言い残して消えます。エージェントの言葉や行動で物語を彩り、ジュリアの心を救ってあげてください(ある意味でこのシーンは全員参加の〈6〉となります)。
・ここで哲を救っても、現実を改変することはできません。
●ジュリア(14歳/ソフィスビショップ)
・表情豊かで元気な少女でしたが、今は無表情で頑なです。
・哲との誓約は「楽しく生きる」。
●魚人(ミーレス級従魔)
・三叉槍装備。
・口から水鉄砲を噴きます(射程1~5)。
・知能が低く、取り囲む程度の連携しかできません。
●備考
・時系列は『【幻灯】虹の橋を渡って』の直後。エージェントがまだ鏡面体から脱出していない状況となります。
マスターより
お疲れ様です、電気石八生です。
当シナリオは【幻灯】第4話、ターニングポイント的な物語となります。
ここから始まった悲劇は、この過去の情景を経てクライマックスへ至ります。よろしければもう少しの間おつきあいいただけましたら幸いです。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2017/12/21 18:22
参加者
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身も蓋もない質問板!
最終発言2017/12/17 18:20:54 -
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最終発言2017/12/16 18:06:37 -
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最終発言2017/12/17 19:04:19