本部
珊瑚礁ともみの木と
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 6人 / 4~6人
- 英雄
- 6人 / 0~6人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/12/16 07:30
- 完成予定
- 2017/12/25 07:30
掲示板
-
相談卓
最終発言2017/12/15 21:36:02 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/12/13 07:49:17
オープニング
●牙をむく穏やかな海
昨日までの雨が嘘のように青い空には白い雲が広がり、降り注ぐ陽光が静かにたゆたう海面をキラキラと輝かせている。
宝石のような輝きを湛えた海面下の青く澄んだ海中にはサンゴ礁が広がり色鮮やかな魚達がその中を悠々と泳いでいる。
地上最後の楽園の名に相応しい美しい景色に神代 優が息を飲むように言葉を零す。
「すごいですね……」
美しい景色に魅入る優の姿に微笑みを浮かべてイリス・アーネットは計測器を海中へと降ろす。
「ホント、仕事じゃなきゃ最高の景色ね」
優の英雄である結衣がため息交じりに視線を向けた先には海中から寄り添うように伸びる二本のもみの木の姿がある。
それはクリスマスツリーワームの鰓冠(さいかん)だと思われた。
通常のクリスマスツリーワームは五~七センチメートル程の大きさなのに対してもみの木のようなその鰓冠は十メートル近い大きさが有る。
「従魔で間違いなさそうですね」
計測器の数値を確認したイリスがそう言って頷く。
「いつもそうやって調査してるんですか?」
優の問いに海水温等の計測値を確認しながらイリスが「出来る限りですけどね」と応える。
イリスも優もH.O.P.E.の職員である。
二人の所属支部は異なってはいるが、基本業務は変わらないはずである。
「何でそんな事するの?」
結衣の言葉にイリスは端末の画面から顔を上げる。
従魔や愚神への対応はエージェントが直接する事が多く、優のようなリンカーならともかくイリスのような非能力者の職員が従魔の調査を行うことは多くは無い。
「今回は近くに居ましたからね」
そう返したイリスの言葉に調査船の船長が言葉を重ねる。
「嬢ちゃんの言う近くってのは範囲が広すぎるぜ」
中年の船長の声に結衣が顔を向ける。
元々、優と結衣はイリスが担当している別の従魔事件の調査に協力する為に派遣されたのだ。
当然この船も担当はその従魔事件である。
「手掛かりも他に有りませんでしたし、近隣の情報は把握しておきたかったんですよ」
船長に言葉を返してイリスは遠隔操作の無人観測機を海中へと降ろす。
「ホント、手掛かり無いもんね。もうクリスマスだって言うのに仕事ばっかで休めないし」
従魔の周りを泳ぐカラフルな魚達のせいでもみの木のような従魔は飾り付けられたクリスマスツリーに見える。
「そういえば、もうクリスマスなんだよね……」
結衣の言葉に優が空に目を向ける。
南半球の太陽は夏本番の輝きを見せている。
「変な感じでしょ」
イリスの声に優が視線を戻す。
「私も転属になった直後は不思議でしたよ。クリスマスにサンタがサーフィンしてるんですから」
その時の事を思い出すようにイリスが笑顔を浮かべる。
「日本もクリスマスは雪が降るんでしょ?」
イリスの笑顔に見とれていた優が咄嗟に言葉を選べないでいるうちに結衣がイリスに応える。
「東京は滅多に降らないわ」
そう言いながら結衣は優の横顔を盗み見る。
「イリスはクリスマスに一緒に過ごす彼氏とかいないの?」
結衣の言葉に優が慌てたように視線を彷徨わせる。
「そんな特別な相手なんていませんよ」
無人観測機を操作するイリスの言葉に安堵したように息をつく優に苦笑して結衣はイリスの横から観測画面を覗き込む。
「優とかどう?」
内緒話のような結衣の言葉にイリスが苦笑する。
「日本と違って私達のクリスマスって家族で過ごすものなんですよ」
その言葉の意味を理解して結衣は「それは、そうね……」と何も理解していない優に目を向けて言葉を濁す。
「おかしいですね……」
呟くようなイリスの言葉に結衣が視線を端末の画面へと戻す。
無人観測機からの画像が激しく揺れている。
「何これ?」
従魔まで数メートルの位置に迫っていた無人観測機が海中を激しく揺さぶられながら従魔から離れる方向に押し流されている。
「無人観測機の周りにおかしな水流が起きてるね」
そう言いながら優は結衣を呼んで共鳴する。
「水流は従魔が起こしているようですね」
従魔の周りにライヴスで引き起こされた不自然な水流が発生している。
「ただそこに立ってるだけじゃないって事ですね」
水流が収まり流された無人観測機を回収してイリスが言葉を零す。
海上からも見えるほどの大きなこの従魔は昨日の朝発見されH.O.P.E.に通報された。
それから一日。
従魔はその場から一切動いていないだけではなく、サンゴ礁にも魚達にも影響を与えていない。
状況だけ見れば無害と言って差し支えない様子である。
『近づけたくないのかな?』
結衣が不思議そうな声を上げる。
「どうだろうな……」
優が警戒するように目を向けたまま結衣に応える。
「水流の発生は限定的ですね」
記録されたデータと画像を確認してイリスが優に声をかける。
「水流を操作できるって事かな?」
そう言って優が放った矢が海中で水流に押し流されて従魔を逸れる。
『遠距離からの攻撃は難しそうね』
結衣がそう言って弓を降ろす。
「もう少し調べてみましょうか」
そう言ってイリスは舷側に吊ってあるボートを降ろしはじめる。
「嬢ちゃん! まさか近づくつもりか?!」
船長の言葉にイリスが頷く。
「大丈夫です。命綱はつけていきます、何かあったら引き上げてください」
イリスの言葉に船長は大きなため息をつくと船員に指示してロープを準備させる。
「やばそうならすぐに引き寄せるからな」
ボートに移ったイリスに船長が声をかける。
『そこまでする必要ないでしょ』
結衣の声にイリスが顔を上げる。
「少しでも情報が有ればエージェントの人達の怪我が少なくなりますから」
突然船が揺れた。
それは従魔が起こした水流による波だった。
イリスの体が宙に投げ出される。
『優!』
結衣の声に優がロープを持ってイリスを追って飛び込む。
「こんな場所まで!」
船と従魔の距離は充分に離れていたはずだった。
だが、従魔の操る水流は優を阻むようにイリスとの間に壁を作っている。
水面に顔を出したイリスの体が水流に引き込まれる。
「優!?」
結衣が声を上げる。
共鳴を解いた優に水流の壁が位置を変える。
結衣を壁のこちらに残して優は壁の向こう側に取り込まれる。
従魔へと吸い寄せる流れに乗って優がイリスに近付き腕を掴む。
優の持つロープが吸い寄せられる二人の体を海中で引き留める。
手を離してしまわないように腕にロープを巻き付けて優はイリスを胸へと抱き寄せる。
喰いしばった優の歯の隙間から空気が零れる。
「くっそ、びくともしねぇ!」
ロープで繋がった船すらも従魔へと引き寄せられている。
「錨を降ろせ!」
船長が声を上げる。
その声に被るようにプロペラの音が聞こえてくる。
見上げた空にエージェント達を乗せた水上飛行機の姿が見える。
「助けて!」
結衣の助けを求める声が飛行機の通信機から響いた。
解説
●目標:従魔の撃破
※観光局から要請によりできうる限りサンゴ礁への被害は避ける事になっている。
※今回の依頼達成にイリスと優の生存は含まれません。
●クリスマスツリーワーム型従魔
・緑と白のもみの木のような二本の鰓冠(らせん状に鰓のついた触覚のような物)
・計測の結果から鰓冠部分以外は存在しないと思われる。
※サンゴに張り付いているだけで本体となる部分は存在しないか、存在していたとしても鰓冠と不釣り合いなほど小さいと思われる。
・水流を操作する能力を持っている。
・鰓冠の内部に捕らわれると徐々にライブスを奪われていきやがて死亡する。
●神代 優 男 21歳
H.O.P.E.東京海上支部所属のオペレーター。
現在はイリスが担当する従魔事件の調査協力の為に出向している。
出向期間は年末までで正月には日本に戻る予定である。
●結衣 女 14歳(外見年齢)
優の英雄。
※二人の戦闘能力は低く従魔討伐には向いていない。
現状況で幻想蝶は優が持っている。
●イリス・アーネット 女 26歳
H.O.P.E.職員
太平洋エリアでの事件を中心に担当している。
●状況
イリスと優は調査船と命綱で繋がっています。
調査船が錨を降ろして船を固定したので二人は現在位置を固定できています。
イリスは一般人ですし、優も共鳴を解いているため、息は長くは続きません。
優が酸素不足で意識を失えば二人は従魔の口に吸い込まれます。
口の中に吸い込まれた場合、イリスは五分、優は十分で全てのライヴスを吸いつくされて死亡します。
吸い込まれた後、体に害の無い状態で救出するならばイリスは三分以内、優は六分以内が目安です。
●装備
調査船には海中、海上で非能力者が活動に必要とする装備一式が揃っています。
水上飛行機はエージェントの移送が目的なので救護装備はありません。
マスターより
おはようございます。
今回はクリスマスも近いのでそれっぽい従魔です。
それっぽいだけで全く関係ないですが……
クリスマスツリーワーム、和名はイバラカンザシだそうです。
カラフルで結構人気だそうですよ。
今回はイリスと優の生存は達成には影響しませんが、成功度の上昇には影響を与えます。
ちなみに、サンゴ礁の被害により成功度が上下しますのでご注意ください。
では、皆さま出来るだけ後味の良い話になりますように!
リプレイ公開中 納品日時 2017/12/24 00:57
参加者
掲示板
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相談卓
最終発言2017/12/15 21:36:02 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/12/13 07:49:17