本部
【白刃】淵を覗いて見えるモノ
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 6~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/10/17 19:00
- 完成予定
- 2015/10/26 19:00
掲示板
-
【相談】遺されたもの
最終発言2015/10/17 11:49:47 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/10/13 13:23:50
オープニング
●H.O.P.E.
「……老害共が、好き放題に言ってくれる」
H.O.P.E.会長ジャスティン・バートレットが会議室から出た瞬間、幻想蝶より現れた彼の英雄アマデウス・ヴィシャスが忌々しげに言い放った。
「こらこらアマデウス、あまり人を悪く言うものではないよ」
老紳士は苦笑を浮かべて相棒を諌める。「高官のお怒りも尤もだ」と。
愚神『アンゼルム』、通称『白銀の騎士(シルバーナイト)』。
H.O.P.E.指定要注意愚神の一人。
広大なドロップゾーンを支配しており、既に数万人単位の被害を出している。
H.O.P.E.は過去三度に渡る討伐作戦を行ったが、いずれも失敗——
つい先ほど、その件について政府高官達から「ありがたいお言葉」を頂いたところだ。
「過度な出撃はいたずらに不安を煽る故と戦力を小出しにさせられてこそいたものの、我々が成果を出せなかったのは事実だからね」
廊下を歩きながらH.O.P.E.会長は言う。「けれど」と続けた。英雄が見やるその横顔は、眼差しは、凛と前を見据えていて。
「ようやく委任を貰えた。本格的に動ける。——直ちにエージェント召集を」
傍らの部下に指示を出し、それから、ジャスティンは小さく息を吐いた。窓から見やる、空。
「……既に手遅れでなければいいんだけどね」
その呟きは、増してゆく慌しさに掻き消される。
●ドロップゾーン深部
アンゼルムは退屈していた。
この山を制圧して数か月——周辺のライヴス吸収は一通り終わり、次なる土地に動く時期がやって来たのだが、どうも興が乗らない。
かつての世界では、ほんの数ヶ月もあれば全域を支配できたものだが、この世界では——正確には時期を同じくして複数の世界でも——イレギュラーが現れた。能力者だ。
ようやっと本格的な戦いができる。そんな期待も束の間、奴らときたら勝機があるとは思えない戦力を小出しにしてくるのみで。弱者をいたぶるのも飽き飽きだ。
「つまらない」
「ならば一つ、提案して差し上げましょう」
それは、突如としてアンゼルムの前に現れた。異形の男。アンゼルムは眉根を寄せる。
「愚神商人か。そのいけ好かない名前は控えたらどうなんだ?」
アンゼルムは『それ』の存在を知っていた。とは言え、その名前と、それが愚神であることしか知らないのであるが。
「商売とは心のやり取り。尊い行為なのですよ、アンゼルムさん」
「……どうでもいい。それよりも『提案』だ」
わざわざこんな所にまで来て何の用か、美貌の騎士の眼差しは問う。
「手っ取り早い、それでいて素敵な方法ですよ。貴方が望むモノも、あるいは得られるかもしれません」
愚神商人の表情は読めない。立てられた人差し指。その名の通り、まるでセールストークの如く並べられる言葉。
「へぇ」
それを聞き終えたアンゼルムは、その口元を醜く歪める。
流石は商人を名乗るだけある。彼の『提案』は、アンゼルムには実に魅力的に思えた——。
●潰走する能力者たち
アンゼルムの活動を偵察するべく、先行していた能力者たち。彼らは今、従魔の攻撃を正面から食らって壊滅状態にあった。
従魔の攻撃は、予想以上に激しいものだった。倒しても倒しても、どこからかまたわき出てくるのである。襲撃に遭った仲間が一人、また一人と減っていき……。はじめは5人いた能力者たちの中で、動けるのはもう2人だけだ。
「俺がコイツを引きつける! お前は逃げろ!」
ケガを追っていた仲間は、了解の旨を伝えると、茂みの中に消えて行った。それだって、無事に安全地帯にたどり着けるかは分からない。だが、全滅するよりはよほどマシなように思えた。
「うおおおおおおお!」
ただひとり残った能力者は、敵を引きつけるように大剣を掲げて、従魔の群れに斬りこんでいった。
(それにしても……なんだ、この霊力の濃度は!)
生駒山周辺。辺りは異様な霊力に満ちていた。倒しても倒しても従魔が現れるのでは、いくらやってもキリがない。
能力者の前に、立ちふさがるようにぼんやりとした光が現れた。従魔は、バチバチと発光すると、無慈悲に光弾を放った。辺りが一瞬輝いて、光に満ちた。
「うぐっ……」
一発は耐えきった。が、力が急速に抜けていく。英雄との共鳴が終わったのである。
「畜生……」
能力者は膝をつく。周りにいる従魔の動きが、やけにゆっくりと見える。倒れた木々の奥。倒れた木々の奥。彼方には、ドロップゾーンがあった。
(ああ、かくなるうえは……)
この死が、無駄死にでなければいい。後続の部隊が――新たな能力者たちが、自分たちの情報を役立ててくれれば。最期の力を振り絞って、カバンの中に手帳を仕舞い込む。きつく拳を握りしめて、目を閉じる。
それが、その能力者の最期だった。
●H.O.P.E.本部
アンゼルムの活動の対策のために組織されたHOPE本部の空気は、いつにもまして緊張したものになっていた。ミーティングルームは、ただならぬ雰囲気に満ちている。
「きみたちの任務は、視察に先行したリンカーたちの保護……とはいうまい。彼らの生存は、もはや絶望的といってもいいのだ」
担当官は悔しそうに目を伏せた。
「敵の攻撃が思った以上に強力だった。彼らからの連絡が途絶えた場所は大体判明している。きみたちには、生駒山のドロップゾーン付近まで行き、能力者から、調査記録を持ち帰ってほしい。記録は、おそらく、彼が肌身離さず持っていたカバンに入っているはずだ。もし、万が一。万が一と言っていいのかわからないが……生存者が居れば、出来る限り保護してほしい。……ただし、無理はしないでくれ。これ以上の犠牲は出したくはないのだ」
担当官の表情は暗い。だが、諦めているわけではない。今は無理だったとしても、きっと、なにかが突破口になる。そう信じているからである。
この任務が、相手の作戦のどこかに亀裂を入れられれば。
能力者たちも、それぞれの決意を胸に任務へと向かう。
●生駒山ドロップゾーン付近
先行部隊の最期の能力者が倒れてから、辺りはしんと静まり返っている。まるで人の魂のように従魔が一匹、倒れている能力者に近づいた。能力者だったものは、ぎこちなく立ち上がると、身体が覚えているのだろうか。再び大剣を握った。その瞳に、もはや生はない。能力者は、カバンを大事そうに手で確かめると、誰にともなく慟哭した。
「ウ、ア、ア――」
解説
●目標
生駒山のドロップゾーン付近まで向かい、先行した能力者から、調査記録を回収する。また、その際、生存者は出来る限り保護すること。
生駒山のふもとの林に向かうことになる。
●登場
従魔『ヴィクティム』×1
先行した能力者の遺体が、従魔に乗っ取られたもの。生駒山のドロップゾーン付近で能力者たちを待ち構えている。大剣を所持している彼は、生前はアタッカーだった。
死亡しているため、救出、説得は不可。能力者たちに、明らかな敵意を持って襲い掛かってくる。このヴィクティムは並々ならぬ再生能力を持つ。ただし、ダメージを受けてから動きを取り戻すには時間がかかる。
なお、この従魔が持つ調査記録(手帳)を回収するのが主な任務である。調査記録は、ヴィクティムが背負う小さなカバンに入っている。行方不明になった能力者は数人いるが、今回、ヴィクティムとなって襲い掛かってくるのはこの一体のみである。
従魔『スペンサー』×多数
ヴィクティムのまわりに漂う、光る球のような形をした従魔。倒しても倒してもどこからか現れる。
一定周期で、魔法攻撃を飛ばしてくる。体力が低いものの、数は多い。
先行した能力者(生存者)一名
もし、生存者を諦めないのであれば、15歳ほどの少女のリンカーがドロップゾーンの手前付近で、送信所の死角に気絶している。意識不明であり、自力では動けない。
(PL情報)
この一名以外の能力者たちを捜索することは、極めて困難である。また、発見できたとしても、生存は絶望的だろう。
●状況
生駒山のふもとのドロップゾーン付近。登山道の入り口、林になっている地帯。まばらにスペンサーがいる。道を逸れれば視界は悪く、遮蔽物は多いが素早く動けもしない。また、次々と従魔が寄ってくるため、長居は危険である。
ヴィクティムは、道をしばらく行った先のやや開けた場所にいる。
マスターより
こんにちは。MSの布川です。
事前の調査シナリオをご用意しました。
行方不明になった元リンカー、ヴィクティムから、なんとかして調査記録を取り戻すのが任務です。
また、くれぐれも深追いはしないほうが良いでしょう。
それでは、ご武運を!
リプレイ公開中 納品日時 2015/10/19 16:52
参加者
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最終発言2015/10/17 11:49:47 -
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最終発言2015/10/13 13:23:50