本部
極北の残滓
- 形態
- ショートEX
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,500
- 参加人数
-
- 能力者
- 15人 / 8~15人
- 英雄
- 15人 / 0~15人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 7日
- 締切
- 2017/07/30 07:30
- 完成予定
- 2017/08/13 07:30
このシナリオは5日間納期が延長されています。
掲示板
-
しっつもーん☆
最終発言2017/07/27 00:49:28 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/07/26 20:27:50 -
相談卓
最終発言2017/07/29 20:23:40
オープニング
●約束と願い
その存在を今にも雪の内に埋もれさせようとしている廃墟の影、くすんだ合金の体を持つ女が少女に問うた。
「行くのかえ?」
白の防寒具をまとった少女は、長く伸びた白髪を指で払い、赤眼を女へ向ける。
「約束しました――殺しに行くと」
ふむ。女は傾げた面に薄笑みを浮かべ、うなずいた。
「妾は規約を貴び、宿縁を尊ぶ。ゆえに止めはせぬがな。汝(なれ)はただただ急いておるように見えてならぬよ。杞憂であるならばよいのじゃが」
女はハカマーニシュの最期を思う。
あれほどに王が生き急がねば、妾もまだ手を尽くしてやれたであろうに。
「汝らの生き様が惜しい。それを見送らねばならぬ妾の規約が口惜しい。灰色狼よ、ゆめ忘れるな。妾は汝らを逝かせるため、手を貸したのではないものと」
少女の傍らに控えていた灰色狼が頭を垂れた。
「重々に」
アルトボイス――それは妻たる英雄の身を譲り受けた愚神の、現在の声音であった。
「しかしながら、生きると言わせるのはご勘弁いただきたい。虚言を吐くのは軍人としてあるまじきことなれば」
女は金属の喉をきしらせ、ため息をついた。
なぜこうも愚直にしか生きられぬものか。惜しい。まこと、惜しい。
「彼の地にて待つ。これは約ならぬ、妾の願いじゃ」
かくて女の身より気配が抜け、元はロシア陸軍の戦車かなにかであったのだろう合金の塊が、ぼそぼそと雪の内に落ちていった。
「相も変わらず情の深い方だ。ゆえに、余計なものを抱え込まれてしまう」
灰色狼が苦笑し。
「自分に言えることではないがな。……娘よ、できうることならば情に捕らわれるな。貴様が成すべきは貴様の生をまっとうすることだ」
少女は狼の前にかがみ、その額を自らの白い額に押しつけた。
「父さん。あたしの生も死も、群れと共にあります」
白アヒル――否、白狼に迷いはない。
だから知らせに行くのだ。
新たなる戦場に、狼の帰還を。
●事情
「本日は演習に協力いただき、感謝する」
ロシア軍人らしく型の決まった敬礼をする中隊長へ、礼元堂深澪(az0016)はH.O.P.E.式の敬礼を返した。
「各国とH.O.P.E.の連携を一層深めるためにも、この演習には大きな意味があります――と、うちの代表が申しておりました。本来であれば支部長が伺うべきところ、一介のオペレーターが直接ご挨拶することになりました。もうしわけあ……」
深澪の言葉を遮り、大尉は片頬を笑みで押し上げた。
「そんなケチつけるような奴はおらんさ。少なくとも、ここにはな」
言葉を崩した大尉が、後ろに控えていた面々を呼び込む。
「失礼します。わけあって所属は明かせませんが……自分たちは北方での戦いに参戦し、痛い目を見てきた同士です。緊急性も必然性も、十二分に心得ておりますよ」
「それに、現場のエージェントをそのままの体制で送ってくれと頼んだのは我々だ。ありがたく思いこそすれ、文句をつけるなど……」
所属を示すワッペンをすべて引き剥がし、白いばかりの極冷地仕様の軍用防寒服に身を包む軍人たちがここで顔を見合わせ、苦笑した。
「……いや、いるな。戦を知らん頭でっかちどもが」
彼らが示したのは、後方で待機する新兵――大尉やその他の面々を含むライヴスリンカー部隊の新配属者たちだ。
シーカとの戦い、そしてレガトゥス級との戦いの中、ロシア軍を始めとする各国の軍は深刻なダメージを受けた。
急がねばならないことは補充と再編。しかし、再編のための補充はできても、補充した人員を配属するためには一定以上の訓練を必要とする。特に彼らは今後、対従魔・対愚神を任務とすることになるのだ。一定以上の能力の前に、一定以上の士気を持っていてくれなければ使い物にならない。
各国軍の上層部がそろって悩む中、H.O.P.E.会長、ジャスティン・バートレットの手が挙がった。
H.O.P.E.の取りまとめで、合同訓練を行うのはどうか? 新兵の訓練という意味ではもちろんのこと、各国軍内、そして各国軍同士での連携を図っていくにもいいモデルケースとなるだろう。
各国がその提案を快く受け入れたとは言えない。国の、民族の誇りとは、それほど単純なものではないからだ。しかし、無視を決め込めるほど、彼らは愚鈍でもなかった。
果たして各国から新人能力者が少数――名目上は選び抜かれた精鋭だ――送り込まれ、演習地のロシア軍が名目上のホストとして彼らを取りまとめている。
「とりあえず演習の内容を確認しておこうか。これも義務だからな」
取りなすように大尉が割って入り、深澪を促した。
「はい。今回は対従魔群を想定した小規模演習となります。各国軍のみなさん200名に従魔役を担当していただき、当方のエージェント隊がこれを迎撃します」
集まった一同がうなずいた。
「ひよっこどもにキツイのを頼む。体で憶えんと染みこまんし、上の顔色も変わらんからな」
この演習をきっかけにして、より大規模での演習を実施させる。それが彼らの共通した目的だ。現場レベルだけで見れば充分に連携は取れていても、彼らが共闘を実施するには国の許可が不可欠だから。
「よろしくお願いいたします」
深澪は再度敬礼し、寒冷地仕様の指揮車へ乗り込んだ。
「みんな準備できてる? 敵はミーレス級からデクリオ級の従魔。想定だからって気抜かないで、新兵さんに戦いかたと連携のしかた、見せたげてね」
深澪は各員にあらかじめ渡してある市街地――実際は復興前の廃墟ではあるのだが――の地図を開かせ、続ける。
「シチュエーションは雪原での遭遇戦だよ。雪がぼこぼこしてるから隠れるとこはいっぱいあるし、なんだったら穴掘っても雪壁作ってもいい。長距離攻撃の射角も取りやすいから、遠くからちくちくってのもありあり。合い言葉は臨機応変。とにかくその場その場の思いつきでフリーダムにやっちゃって~」
あ。深澪はあわてて付け加えた。
「近接攻撃用と弓型のAGWは“鞘”つけるの忘れないでね! 銃は模擬弾使用! 新兵さんにつけていいのは擦り傷までとトラウマだけだからね!」
かくして演習の幕が開く。
解説
●依頼
1.各国から集まった新人ライヴスリンカーに、実戦の中で従魔戦のやり方を教示する。
2.演習途中で現われる従魔群を相手に10ラウンド持ちこたえる。
●状況
・演習地はキロ単位の広さをもつ雪原。
・雪は降っておらず、視界は良好(13時より演習開始)。
・雪には吹きだまりが多数あり、蹴散らすも潜伏するも容易。
・雪自体も自由に活用可能。
・新兵はレベル1~30程度でレベルはばらばら。
・新兵は西へ1ラウンド1スクエアの速度で移動している。
・新兵は初対面のエージェントをなめている(言うことを聞かせるには、ちょっとした工夫が必要)。
・各国軍の指揮官は観戦。演習には加わらない。
●教えるべきこと(例)
・各能力者(ドレッドノート、ジャックポット等)が基本的にどう戦うべきか。
・個人戦での立ち振る舞い。
・小隊単位での連携のしかた。
・小隊同士の連携のしかた。
・地形(とそれに合わせたスキル)の活用。
・その他思いつくこと。
●従魔群
・データ不明。白狼の群れであることは確認できる。
・従魔は50体。北側から楔陣形で駆け込んできて、まっすぐ新兵の横腹を突く。
・後方から指揮しているのはアルビノの少女(ヴィラン)である。
・戦いの中で鉱石の体を持つ人狼型の愚神が登場する(PL情報)。
・戦い自体は10ラウンド程度で終了し、ヴィランは姿を消す。
●備考
・演習中はスキルを使っても実際消費することはなし。
・プレイングで“鞘”や“模擬弾”に触れる必要はなし。
・バトルメディックは無理矢理に新兵を回復させて戦場へたたき出す鬼軍曹役も可。
・それ以外の面々も、やりたいことがあれば質問掲示板を建てて相談を。
・戦場未経験ないしレベル30以下のエージェントは、新兵の側に混ざることも可。
・演習の達成度により、後半の従魔群との戦いで出る被害が変化する(後半の従魔戦にプレイングを裂くほどに達成度がそれだけ下がる)。
マスターより
みなさまおつかれさまです。電気石八生と申します。
本シナリオは新兵教育の結果がその後の実戦の成功度を左右するという、圧縮型育成シミュレーション的内容のものとなっております。
無粋か粋か、乱入してくる者もいるようですが……ともあれ新兵に生き延びるための教えを授け、演習を無事成功へ導いてやっていただけましたらば幸いです。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2017/08/04 14:40
参加者
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しっつもーん☆
最終発言2017/07/27 00:49:28 -
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最終発言2017/07/26 20:27:50 -
相談卓
最終発言2017/07/29 20:23:40