本部
WD~ホームランはいらないけど~
- 形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 7人 / 4~10人
- 英雄
- 6人 / 0~10人
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 4日
- 締切
- 2017/07/04 07:30
- 完成予定
- 2017/07/13 07:30
掲示板
-
相談
最終発言2017/07/03 12:22:17 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/07/03 10:33:10
オープニング
● 願えるなら勇気がほしい
病室の外には自由が広がってる。
飛び立つ鳥に、駆け回る少年少女。笑顔と笑い声。
当たり前のように、皆に与えられるそれ。
ただ、その病室に横たわる少年『杉田 彰浩』にはそれが与えられなかった。
いや、正確に言うと奪われたのだ。
いつごろだったか。体が重くなりはじめ。やがて歩けなくなり。十二歳になった時、入院を余儀なくされた。
心臓が満足に動いていないそうだ。
十四歳になった今だと……ごくまれに心臓が止まることさえある。
そんな彼に手術の目途が立ったのが最近の事。
彰浩は喜んだ。これで外にまた出られる、みんなと遊べる。学校にも行ける。
だがそんな彼の表情再び陰らせるセリフが一つ。
「手術の成功確率は九割。一割の確率で症状が改善しません。それどころか死ぬこともあり得ます」
医者に告げられたその言葉は、幼い彰浩の心を砕くには十分で。
彼はその日から部屋にこもるようになった。
いっそう暗く表情を陰らせることが多くなった。
「僕は怖いよ、受けたら死んじゃうかもしれないんだ。だったら僕は一生ここにいたっていい」
少年はそう暗い部屋で叫んだ。
「僕は、外に出たいのに」
少年は扉の向こうで泣いた。
「でも、勇気が出ない」
震えるのだと少年は言った。もし死んでしまったらお母さんは、お父さんは。泣くんじゃないか。
そう思うと手術がしたいとは言えなかった。
「どうか、どうか僕を助けて」
「勇気が、あればいいの?」
彰浩が背を預ける扉の向こうで誰かが言った。
「勇気がほしい、僕は大丈夫なんだって思える力が欲しい」
「わかったよ、私じゃ無理かもしれないけど。みんなで考えてみるね」
● 勇気とはどこから来るんだろう
「ららら、なんであの子の事助けるの?」
erisuは春香の歩みに合わせるために早歩きにになって追いついた。
「助けるってほどのことかなぁ、それに私があの子を殺すかもしれないよ?」
そう困ったように笑う春香、春香は真っ白な病院の廊下を悠々と歩いていく。
「うーん、ほっとけなくて」
春香はそう告げて立ち止まった。
「暗い部屋の中にいるのはつらくて、きついよ? でも時は流れてくんだよ。一番つらいのは、その長い時間自分が自分を責めることなんだよ」
春香は思い出すかのようにポツリポツリとerisuに話して聞かせる。
「自分の中で自分が言うの。なんでここにいるんだろうって、ここにいていいわけないのに。って。戦わない自分を、勇気のない自分をずっと責めつづける。それはとても辛いよ」
春香はペインキャンセラーの患者たちを定期的に見に病院を何度も訪れていた。あの少年とはその過程で偶然出会ったらしい。
一緒にTTRPGをした。ゲームマスターは遙華だった。
「あの子、いっつもヒーローみたいな役をやるんだよね。誰かを助けたいって願望があるんだよ。いい子だよ」
でも、他人を救いたいと願える勇気があっても、自分を救うために行動を起こすことはできない。
「でも、勇気なんてどうすればいいんだろうね」
「春香はどんな時に勇気が湧いたの?」
そう告げるerisuを引き寄せて、春香はerisuを抱き上げた。
そして頬ずりして春香は告げる。
「可愛い女の子が困ってるときかな」
「ららららら!」
楽しそうに笑うerisu。
くすぐったい、そうerisuはつぶやいて春香の顔を遠ざけて、そして告げる。
「だったら、春香が困ればいいの」
「さっき、まさに困って見せたよ。でもだめだと思うし、それに私が困ってるから手術をうける! なんてことにはならないよ」
「らら~。難しいの、TTRPGをずっとやるのは? ゲームの時は勇敢?」
「そんなの意味ないよ、ゲームはゲームだもん、それにTTRPGのキャラクターなんて、究極のところ自分と違うし……って、ん? それいいかも?」
春香は突如、erisuを下ろして考え事を始める。
頭の中でパズルが組み立てられていく。問題は彰浩の精神年齢だろうが。
きっと大丈夫、うまくいく。
そう思えた。
「彼の勇気をこの世界に具現化するんだ。頑張ろう!」
その言葉にerisuは一緒に拳を突き上げる。
二人の小さな人助けが始まる。
解説
目標 彰浩に勇気をあげる。
● 彼が作った自分のヒーローについて。
今回皆さんにやっていただきたいのが、彼のヒーローをこの世界に具現化するというお芝居です。
春香は考えました。TTRPGで作った自分のキャラクター。それは自分の願望の裏返しで、そこに彼の願いや思いがあるのではないかと。
なので今回は、彼が作ったTTRPGのキャラクターにそっくりな皆さんに依頼を出して、彰浩の前で戦闘を演じていただきたいのです。
今回、特に何か演じる必要はありません。今回の皆さんは彼が作ったヒーロー像にそっくりなのですから、皆さんの正義をつらぬきとおせばいいのです。
そして、彼を説得してあげてください。
生きるために立ち向かうことも必要だと信じさせてあげてください。
今回はそんな任務です。
では手順を説明します。
1 病院にヴィランに扮したグロリア社の皆さんが突入してくる。
2 彰浩がピンチに陥る。
3 そんな中皆さんが介入し彼を助ける。
大雑把な流れはこんな感じです。
ヴィランに扮したグロリア社の皆さんは簡単にやられますが、無限沸きです。あと皆さんのプランに合わせるので、細かな動きも可能です。
あらかじめ伝えておいてください。
そして悪役も募集中です。悪役で無いと伝えられない勇気もあるかもしれません。
春香は今回彰浩の近くにいて解説役に回るようです、彼女にもオーダーがあれば言ってください。
マスターより
今回は幻想が本当になった時の嬉しさ。ですかね。
これはPBWをやっているみなさんだからわかると思うのですが。
自分が作ったキャラクターが画面の向こうから出てきてくれて、皆さんを叱咤したり応援したり、護ってくれたらすごく嬉しいとおもいませんか?
精神年齢的に、精神構造的に、皆さんを完全に自分のキャラだと思い込むことはないと思います。でもそれが偽物だとわかっていても、創作だとわかっていても彼の心には何か届くものがあるのではないでしょうか。
そんな春香の不器用な優しさが今回のシナリオの根幹になります。
ではよろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2017/07/12 15:16
参加者
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