本部
- 形態
- シリーズEX(続編)
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,800
- 参加人数
-
- 能力者
- 12人 / 8~12人
- 英雄
- 12人 / 0~12人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/04/25 19:00
- 完成予定
- 2017/05/09 19:00
このシナリオは5日間納期が延長されています。
掲示板
-
相談卓
最終発言2017/04/25 00:14:11 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/04/22 20:29:02 -
質問卓
最終発言2017/04/24 10:49:35
オープニング
●灰色狼
空が白い。
地が白い。
吐く息が白い。
息がまとわりつく肌が白い。
長く伸ばした髪が白い。
まとう防寒具が白い。
その中で。
眼だけが、赤い。
「リュミドラ嬢」
人狼群唯一の生き残りであるジェーニャ・ルキーニシュナ・トルスタヤが、愛銃である“ラスコヴィーチェ”を抱えて雪原に座すリュミドラ・パヴリヴィチへ呼びかける。
「最後の戦いは、隊長が担うはずでした」
リュミドラが乾いた言葉を紡ぐ。
本来、この場にあるべきは彼女ではなく、ヴルダラク・ネウロイだった。
それが先の戦いでエージェントたちへ突きつけた選択肢。
先に敵と当たった者が後に残る者に喰らわれ、力となる――そのはずだったのだ。
「どうして隊長はあたしを残したんでしょうか」
ジェーニャは人間形態をとった顔に薄笑みを刻み、手の内のベイプをもてあそぶ。
「私に答える言葉はありません。ただ、上官としてあなたに語ることがあるとするなら……全うしなさい。託された灰色狼の最期を」
その足元に、1頭の灰色狼が歩み寄った。
リュミドラの契約英雄であり、ネウロイの妻。そしてジェーニャの妹でもある雌狼が。
「――少し話がしたいのです。外してもらえますか?」
リュミドラが去るのを確かめて、ジェーニャは狼へ語った。
「隊長、ですね」
「……姉の目はごまかせんか」
かすれたアルトボイスで苦笑する雌狼――ネウロイ。
あのとき、彼は自らの命を雌狼に与えたのだ。命ばかりでなく、自らの記憶と自我までもを。結果、雌狼は消し飛び、彼女の内にネウロイだけが残った。
「妻を生かしたい。それだけが自分の願いだったのだが、な」
ネウロイを始めとする愚神群は、元の世界では歴戦の英雄であり、チームだった。
しかし、あるときから急激に勢いを増した愚神群に追い詰められ――守るべき人々のために死力を尽くす中、邪英へと堕ちた。
その中で最後まで正気を保っていた雌狼だったが……チームの仲間、姉、夫と戦うことで、壊れた。
愚神となったネウロイたちは悔やんだ。
あの場所へ残していったことを。
今もなお置き去りにしていることを。
だからこそ、取り戻そうとしたのだ。チームが失われたあの日を。英雄に戻れずとも、全員がいる場所を。
それを成すためには、状況が整うまで雌狼を収めておく器が必要だった。
そして彼らは別世界を巡りながら殺し、探し、見出した。
自分を見捨てた世界から隠れて生きてきた、なによりも無力でたまらなく飢えた白アヒルを。
「恨んでくれていい。妹を殺し、アヒルを生かした自分を」
ネウロイの問いに、ジェーニャは小さくかぶりを振って。
「死に絶えた群れを見せずに逝かせていただいたこと、姉として感謝します。それに、あの子の壊れた心は、あなたの心を正しく理解していましたよ」
だからこそ雌狼はネウロイを喰らい、その命と体とを差し出したのだ。
夫がいつしか妻の器としてでなく、娘としてその生を望んだ白アヒル――灰色狼の仔に、鋼の縁を全うさせてやるがため。
ジェーニャはベイプをふかし、雪原にそれを投げ捨てた。
「小隊一同、彼の岸の際でお待ちしております。ご存分にお務めを果たされますよう」
敬礼を残し、去って行くジェーニャの背に、ネウロイは頭を垂れた。
「……感謝する」
残り香はメンソール。
縁を繋ぐ鋼のにおいの辛さを振り切るように、ネウロイもまたジェーニャに背を向けた。
●白狼
「あたしが、狼の最期を全うする」
“ラスコヴィーチェ”の動作を確かめながら、リュミドラは息をつく。
ネウロイに狼として認められた。それは少女にとって最上の喜び、そのはずだった。
しかし。
心は不思議なほどに平静だ。
――当然だ。あたしはもう狼に憧れる白アヒルじゃない。
村で不吉な存在として忌まれ、ついには人柱として息があるまま埋められたアヒル。
そこからなんとか這い出し、逃げた。
誰にも見つからないように隠れ潜み、盗み、殺し、それらを糧にただ生きてきた。……狼の鼻に嗅ぎ当てられ、引きずり出されるまで。
鬼ならぬ狼は彼女を殺さなかった。
それどころか、ネウロイは隠すこともなく、アヒルにすべてを包み隠さず話し、選択肢を突きつけたのだ。
『我が妻の器となるか、死ぬか。選べ』
死ぬことが怖くて、アヒルはうなずいた。
誓約は驚くほど簡単に交わされて――雌狼が壊れていたからかもしれない――アヒルは狼の群れに加えられた。
少しでも気に入られたくて、必死で働いた。生きるために憶えた術と、戯れに教え込まれた技とを尽くし、群れにすがった。
壊れた雌狼はなにひとつ彼女を助けてはくれなかったが、ネウロイの導きがアヒルに生きる意味を与え、狼たちの心がアヒルに死ぬ意義を与えた。
雌狼が愚神へ堕ちる糧となって死ぬ。
一員として群れを守り、狼の願いを叶えて逝く。それこそがアヒルの願いだった。
なのに。
群れは戦いの中で失われ、凍雪の上にアヒルだった少女が取り残された。
託されたものを胸に、白狼は“ラスコヴィーチェ”を構え、スコープに右眼をつけた。
「あたしはここにいる」
自分の墓はすでに掘った。
あとは最期まで戦い、狼として逝くだけだ。
●エージェント
東京海上支部の礼元堂深澪(az0016)から、サンクトペテルブルグ支部で出動の時を待つエージェントに戦場マップが届けられた。
『始まりの場所で待ってるって、リュミドラは言ってた。だからHOPEはずっとあの場所を監視してたんだ。それで今日、人狼のライヴスパターンが計測されたよ。パターンは個体名“ジェーニャ”だけだったけど……リュミドラも絶対、そこにいる』
〈戦場簡易地図〉
アイウエオカキクケコサシスセソ
A□□■□□□□□□丘丘丘丘丘□
B□□□■■□□□□□丘丘丘□□
C丘丘丘丘■■□□□□□□□□□
D丘丘丘丘丘■■■□□□□□□□
E丘丘丘丘丘丘■■□□□□□□□
F丘丘★丘丘■■□□□□□□□□
G□□□□□□■■■■□□□□□
H□□□□□□□■■■□□□□□
I□□□□□□□□■■□□□□□
J□□□□□□□□□■■■□□□
□=雪原 丘=丘陵(雪原より2~4m高所) ■=河跡(雪原より2~4m低所) ★=ジェーニャ初期位置
※1マスは10m四方(5スクエア)の正方形
『決着、つけてきて。ボクが言えるのはそれしかないけど……お願い』
解説
●依頼
1.リュミドラ(ケントゥリオ級愚神相当)を撃破してください。
2,ジェーニャ(ケントゥリオ級愚神)を撃破してください。
●状況
・エージェントは簡易地図J列のどこからでも戦場へ入ることができます。
・天候は曇り。細かな雪がちらついていますが、視界に影響はありません。
・リュミドラは潜伏しており、初期位置は不明です。
・常に東から西へ風が吹いており、長距離攻撃武器は命中率にマイナス修正を受けます。
・移動力は五捨六入で計算。移動力の一の位が1~5なら1マス、6~10は2マスとなります。
●ジェーニャ
・強力なバトルメディックの能力を有しています。
・戦闘能力自体は低め。
・迫撃砲装備の人狼(絶零特設ページ参照)10体を率いています。
・彼女を中心に2マス四方はドロップゾーン化しています。入るだけならどこからでも可。ゾーンルールは「反転(アクティブ&パッシブスキルの効果が逆になる)」と「視界不良(同じマスにいないと姿が見えない)」。
●リュミドラ
・これまで判明しているジャックポットのスキル、軍隊格闘術、ダメージ減少能力に加え、不明分も含めたネウロイの能力を使います。
・発見されると、戦場をドロップゾーン化します。ゾーンルールは「無音(他者との会話(英雄は除く)、通信が不能に)」。ただし、体を接触させれば他者との会話は可。
・生命力はかなり低め。
●備考
・対ジェーニャ班とリュミドラ班に分かれて戦ってください(合流不能)。
・ジェーニャより先にリュミドラが撃破された場合、ジェーニャがネウロイを喰らい、完全回復した上、さらなる力を得ます。
マスターより
電気石八生と申します。
本シナリオは、半年引っぱって参りました「かくれんぼ」、その最終話となります。
多くは申しません。
見つけてあげてください。
よろしくお願いいたします。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2017/05/03 21:40
参加者
掲示板
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相談卓
最終発言2017/04/25 00:14:11 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/04/22 20:29:02 -
質問卓
最終発言2017/04/24 10:49:35