本部
廃墟に潜む悪魔
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/04/22 19:00
- 完成予定
- 2017/05/01 19:00
掲示板
-
うごめく影を追え
最終発言2017/04/22 11:29:37 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/04/21 14:37:52
オープニング
●季節はずれの肝試し
「う、っわ、何だこれ? めっちゃボロボロじゃん」
「そりゃそうだろ。廃墟なんだから」
草木も眠る丑三つ時。経年劣化により朽ち果てた建物内を、数人の若者グループが懐中電灯を片手に歩いていた。
この場所は数年前まで小規模の病院だったが、同じ地域に大規模な病院が出来てからは経営難に陥り、すぐに潰れてしまった。
それからは簡素な看板で立ち入りを禁止するだけで手つかずとなり、すぐ地元の不良たちのたまり場となっていた。
現に、若者たちが光で照らした壁には、スプレーによる落書き跡やたばこの吸い殻などが無造作に放置されている。
「にしても、『黒い影』、ねぇ? 昼も真っ暗だから影くらいあるんだろ?」
「らしいな。実際のところ、誰かが自分の影を見間違えた、っつうのが当たりじゃね?」
が、ある時期から地元の町ではある噂が流れ始めていた。
曰く、『あの廃病院には『黒い影』の幽霊が住み着いている』、と。
噂の発信元は定かではないが、それ以降不良たちも寄りつかなくなり、興味本位で中に入った人々からも似たような声が上がっているという。
そこから尾ひれが付くように、地下の霊安室に死体が残る幽霊の仕業だとか、大規模病院から押しつけられた重篤患者たちの恨みだとか、経営難を苦にして自殺した元病院長の怨念だとか、ゴシップレベルの話がどんどん広がった。
若者たちも、そんな幽霊話を聞いて度胸試しをしようと訪れたグループであり、全員さほど幽霊を信じていないのかどんどん奥へと進んでいく。
「う~ん、1階は一通り見回ったけど、なんもねぇな」
「どうする? 上か下も見とくか?」
「え~、ダルいって。もう帰ろうぜ。体も冷えてきたしよ」
特に何事もなく探索を続け、階段前で話し合っていた若者たち。
暦の上では春とはいえ、まだまだ夜の風は冷たい。ここ数日は列島に北風が強く吹き込んでいる影響もあり、割れたガラス窓もしきりにガタガタと悲鳴を上げる。
当然、風通しが良すぎる建物内にも容赦なく風が吹き込み、彼らの体感温度は気温より低い。同時に下がるテンションも相まって、帰宅の空気が流れ始めていた。
「……ん?」
「どうした?」
が、その時。
1人の若者が耳に手を当てた。
「何か、聞こえねぇ?」
促され、残る若者も耳をすましてみる。
「……高い、音?」
「う、なんか、耳がキーンってする」
「それに、ちょっとだけ甘い匂いもしてきたような……」
すると、些細ではあるが彼らも異変を察知し、表情をしかめる。
「……そ、そろそろ帰ろうぜ? な?」
もしかして――?
そんな気持ちを押し殺し、グループの1人が帰ることを提案すると、全員が無言でうなずく。
最初は歩いて、徐々に早足になり、すぐに全員が出口へ向かって走り出していた。
「っ!? お、おい、あれ!!」
しかし。
ふと後ろを振り返った若者の言葉に、思わず誰もが足を止めてしまった。
「か、影っ!?」
視界の先には、懐中電灯の光すら飲み込む、『黒い影』。
自分たちが通ってきた廃墟の壁に塗りたくられた『黒』は、真っ直ぐ、あっという間に、彼らの足下へと迫った。
そして、彼らは悲鳴さえ上げられず、『黒い影』に飲み込まれた。
●黒い『人影』
――――。
『黒い影』がさっと割れ、廃病院の壁を無秩序に移動していく。
――――。
そこには、青白い顔で気絶する若者たちだけが残された。
――――。
ただ、もう1つだけ、変化を述べるとするならば。
――――。
暗闇にたたずむ『人らしき影』が、若者たちを見下ろしていたことくらい――。
●廃病院の幽霊調査
「――以上が、本依頼の概要です」
資料をめくった職員・佐藤 信一の手が最後のページをめくり終え、顔を上げると一部のエージェントが微妙な表情を浮かべている。
今回の依頼は、某県某所にある心霊スポットの調査。噂レベルではあるが目撃談が数多くあり、現場もボロボロな廃病院と、いわくもムードもありまくりな場所を調べねばならないとあって、そっち方面に弱い者はすでに萎縮気味だ。
「背景も雰囲気もバッチリですが、実際に被害者が出てH.O.P.E.に依頼がきた以上、愚神や従魔の事件である可能性は高いでしょう。被害が広がってからでは遅いので、徹底的に調べてきてください」
気後れする様子のエージェントたちに、信一が笑顔で事実を突きつける。
『黒い影』が愚神であれ従魔であれそれ以外の何かであれ、すでに数人の若者が病院に運ばれ意識不明のままなのだ。原因追究のために誰かが動かねば、もっと深刻な被害が出るかもしれない。
もちろん、見えてはいけない物も出るかもしれない。
「相手が人々に恐怖を与える『黒い影』なら、皆さんは人々に安寧をもたらす『希望の光』です。人々に害をなすモノの正体を突き止め、きちんと排除してきてくださいね」
顔色が悪いエージェントがいることを承知で、信一は彼らの背中を一気に押した。
ちなみに、信一はオカルト系の話を信じておらず、怖いとも思わない。
故にいつもの依頼と同じように笑顔で手を振りつつ、背の丸いエージェントの背中を見送った。
解説
●目標
心霊スポットにいる『黒い影』の調査(愚神・従魔が関与→討伐)
●登場
黒い影…廃墟で蠢く姿が確認された、謎の影。地域住民には幽霊が住み着いたという噂が流れ、この影が幽霊だと言われているが詳細不明。
(PL情報
人影…黒い影が去った後に出現した謎の人影。若者たちが襲われている姿を目撃していたようだが、いつの間にか消え去った。その他、詳細不明。)
●状況
場所は某県某所にて、最近心霊スポットとして有名になった古い廃病院。地上3階、地下1階で規模はやや小さめ。過去に侵入した人物らによる落書きが見られ、各部屋にはボロボロのベッドや薬剤棚の残骸らしき物などが放置されている。
建物周辺は雑草が深く生い茂り、廃墟へ浸食している箇所もある。建物内部は昼間でも暗く、日当たりは最悪。冷たく重苦しい空気が漂っており、常に肌寒く少しかび臭い。窓ガラスはほぼ破壊されているが、時折風で窓枠が揺れて音がする。
被害者が襲撃を受けたのは深夜。肝試しとして数人で廃墟へ向かったが帰宅せず、翌日に別の友人らによって現場で倒れている姿を発見され、事件が発覚。被害者たちに目立った外傷は見られず、意識こそないものの呼吸は安定している。
地元住民らによると、『黒い影』は昼夜問わず目撃談があり、襲われたとする話はまれ。また、数日前からすすり泣く女の声が聞こえるという噂も流れているが、『黒い影』との関連性は不明。
マスターより
夏にはちょっと早いですが、いかにもな廃墟にいるらしい、幽霊と目されている存在の調査です。情報はどれもあやふやではっきりとしませんが、実際に被害者が現れたので『ナニカ』はいると考えられます。
状況からして愚神や従魔の関与が疑われていますので、必要となれば討伐へと動く必要があります。廃墟内の環境を考慮した準備が必要になるでしょう。
なお、怖がりだとプレに自己申告してくださると、アドリブでも相応のリアクションを出せると思います。PCをビビらせたい方はどうぞ。
リプレイ公開中 納品日時 2017/05/01 22:21
参加者
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うごめく影を追え
最終発言2017/04/22 11:29:37 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/04/21 14:37:52