本部
WD~私のクオリアを感じて~
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 4~10人
- 英雄
- 10人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 4日
- 締切
- 2017/04/18 22:00
- 完成予定
- 2017/04/27 22:00
掲示板
-
質問卓
最終発言2017/04/17 13:38:55 -
主観的体験が伴う質感(相談卓)
最終発言2017/04/18 12:37:23 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/04/17 01:42:13
オープニング
WD~私のクオリアを感じて~
● それは白と黒の世界で。
大切な人が死んだ。
雨、暗い朝。世界が全て色あせて。
白と黒に変わって見える。
燃え尽きた灰いろに見える。
私は、その世界の真ん中で佇んでいて。
「私は――」
右手には花束、左手には十字架。身に纏っているのは喪服が。
鋼のように思い。
私への罰なのだろうか。
彼女を救えなかった私の。
「――なんでここにいるんだろう」
感じる。痛みを感じる、色あせた世界で、あなたがいない世界で痛みだけを感じる。
自分を感じてる。
人は自分を殺してしまいたくなった時、いったいどうしているんだろうか。
私にそれを教えてほしい。
誰か私に…………。
「ああ、あの子がいない世界で、痛みを感じ続けている」
痛みとは感覚とは個の証明だ。
私は彼女がいない世界だというの、ここにいると主張を続ける、自分自身が。
とても、とても許せなかった。
そんな私の目の前に天使が舞い降りることになる。
● 感覚が奪われる病。
アメリカ北部。
とある病院、ここは人類史上ほとんどサンプルが無かった奇病を研究するための研究所が併設されていた。
ここに収容されていた少女『リア・ディセル』は全世界でも百人程度しか例がない奇病に侵されていた。
神経が消えていくという病である。
四肢や臓器がまともに動かなくなっていくことに加え。前身の五感が消えていく病だった。
「私はあの子に命よりも大切なものを救ってもらいました」
発症してから二年でその病は全身にいたり。彼女は自分を人形の様だと言った。
最後に残っていた味覚すら、もう感じられず。
パンががさがさとしたスポンジの様だと彼女は告げた。
「学校になじめなかった私を仲間に引き入れてくれて、彼女は家にこもりがちだった私に沢山外を見せてくれました」
色彩を奪われていく世界。
熱を奪われていく世界。
音が遠くなる世界
自分が遠のいていく世界。
感覚の消失は個の消失。
自分自身が生きながらに消えていく感覚。
その感覚の中で、彼女は微笑み続けていた。
「彼女が見せてくれる世界はとても色鮮やかで、そして。いつの間にか彼女の事を大切に感じていて」
彼女はついに点滴でしか体に栄養を送れなくなっていた。
あれは最後の訪問の時。
彼女は両親と話をしていた。
このまま緩やかな死を迎えるくらいであれば、いっそここで。
そう口にした彼女の表情は疲れ切っていて、初めて見る表情で。私は……
「私は彼女が死にたいと思っているなんて、知らなかったの」
そう目の前の少女に私は語る。
彼女の感じていた世界を感じたい。その代償として彼女との思い出を話す必要があるとその少女に言われたのだ。
だからすべてを話した。彼女と自分の全て。
そしてすべてを話し終わった私へ、彼女は小さな袋と、小箱を差し出した。
「痛みをかき消す薬です」
水晶の少女は告げた。
「これの真価は痛みを消すだけではなく、あなたの望む世界を作り出せるという点にあります」
「他人の痛みを感じることができる世界、自分の感覚を閉ざせる世界。感覚を自由に操る力。それをあなたに授けましょう」
● 出会い
雨に打たれながら私は花束を投げ捨てた。それを捧げることが私は。
彼女の死を認める、ということな気がして。
私は、それがどうしてもできなくて。
「私はあなたを救えなかった。ついに」
「あなたに人と語らう喜びを、一緒に誰かと過ごせることがこんなに楽しいんだって教えてもらって、それが私の夢にも繋がって」
「私に感覚を与えてくれたあなたなのに、私はあなたを救えなかった」
「私はあなたの苦しみを理解することすらできなかった」
「私は、罪人だ!!」
私は曇天に向けて叫んだ、その先に彼女がいるような気がしたから
「誰でもいい。私を裁いて!」
「アイアンメイデンでもなんでも持ってきてよ!」
「生きて恥をさらすことがこんなにつらいなんて思わなかった!!」
「あの子は私に助けを求めてたのに」
「あの視線が、私を捉えて離さない」
「あの時私があの子の苦しみをきちんと考えられてれば、私はあなたに何かできたかもしれないのに」
「私は、あの子が死に際、何を思っていたかもわからない……」
「私はあの子に寄り添えたんだろうか、幸せにできたんだろうか。私は、私は……」
「あなたがくれたこの美しい世界が、今はただただ。憎いよ」
そう雨が頬を伝う。生暖かいそれを私は、雨だと決めつけて振り払った。
目の前に少女がいた。
私はこうして、彼女の手を取ることを決めたのだ。
●アリア・レイルレント
17才の少女、自分を半年に一人の中途半端な天才と称する少女。
頭がよく、特に数学、生物学全般に強い。
彼女が今回ペインキャンセラー、および。愚神との共鳴で手に入れた力は感覚の共有。
他人のクオリアと自分のクオリアを直接結びつけ、自分の痛みを、自分の見ている世界を、自分の悲しみを相手に『感じ』させるようです。
さらに三つの特徴的スキルは、同時に発動できないようで、切り替えて使ってくるようです、容姿から発動しているスキルを判別できます。
『Pain sense propagation』
自身の痛みを周囲に伝えるスキルです、常時発動型で自身が受けたダメージの五分の一を半径50SQにいる全員へ返すスキルです。
強い怒りを感じている時は強制的に発動するスキルです。
当然一般人にも伝播します。
全身から陰炎のようなものが立ち上り、周囲の空間が歪んで見えます。
『I am a ballot』
感覚を遮断するスキル。自身へのダメージを0にする代わりに五感を最小レベルにまで抑えます。聴覚はキチンと生きているので話をすることはできるでしょう。
ただし冷静なときにしか使えないスキルで感情が荒ぶると別のスキルに変わります。
アリアが灰色に変わり、動きが鈍くなります。
『Branch of pain』
自分を中心に25SQ内にいる対象をランダムに繋いで、感覚を交換します。
つまり、AとBという人物の感覚を交換した場合。AはBの視点からAを見ることになり、感じる痛みも、温度も、世界もBへと変わります。
とても厄介なスキルですが、同時に複数の人間を繋げば繋ぐほど、アリア自身に負荷がかかり、脳に傷を負います。
このスキルを使いすぎるとたとえ助かったとしても、彼女は重い障害を覆うことでしょう。
悲しみに支配されていると発動するスキルです。
きっと大切な人の元に行きたいんでしょうね。
このスキルを発動していると、髪の毛が四方に広がり根のように空間を走ります。
解説
目標 アリアの説得。および量産型アルマレグナスの全滅。
●状況
今回戦闘場所として選ばれたのは『リア・ディセル』が入院していた病院です。そこで彼女は、患者たちから様々な痛みや苦しみを引き受けています。
さらにその痛みを再分配。この病院内にいる人間は様々な痛みや苦しみにふれ。この世の地獄と化している状態です。
病院は五階建て、広々とした作りですが戦闘するには手狭です。
さらに戦闘力の高い従魔が放されており、その従魔との戦闘も想定しないといけません。
さらに避難も十分には澄んでおらず、避難活動を優先するか戦闘を優先するかという問題もあります。
●デクリオ級従魔 アルマレグナス
アリアに痛みを与えるためだけの存在で、初期状態であれば病院内に五体確認できます。
人形で翼をもつ魔人で。首から上が無く代わりに大きな目玉が首の上で浮かんでいる姿です。
攻撃方法は爆破と肉弾戦。火焔の球体を放って地形破壊効果のある攻撃を放ってきます。
戦闘が長引くと新たなアルマレグナスが生成されます。
この病院内のどこかにアルマレグナス生成装置が存在するようです、探してみてください。
・アリアの心境
端的に言うとアリアは狂っているのだと思います。
このままではとても邪魔なので彼女を無力化するか説得する必要があります。
ちなみに彼女は冷静にならない限り愚神と共鳴を解くしかないようで。殺すしかありません。
H.O.P.E.としては愚神認定をしているので、排除は問題ないのですが。
気持ちとして後味悪くなることは必至。
頑張って説得してみてください。
彼女の心境は複雑ですが、このような凶行に及んだ一つの心情として、彼女が死を選んだことが許せないという物があるようです。
アリアはアルマレグナスの存在を聞いてはおらず、うっとおしいと感じているため。リンカーの次くらいに、アルマレグナスへ痛みを返そうとして来る。
マスターより
こんにちは鳴海です。
今回のテーマは、感覚、人が見ている青と自分が見ている青ははたして同じなのかという思考遊びですね。
人が見る世界とは脳が作り出す世界。あなたと私が真に分かり合うためには脳を直結するしかないのかもしれません。
ちょっとサイコでへヴィーなお話ですが、WDらしいのではないかと。
それではよろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2017/04/25 17:03
参加者
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質問卓
最終発言2017/04/17 13:38:55 -
主観的体験が伴う質感(相談卓)
最終発言2017/04/18 12:37:23 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/04/17 01:42:13