本部

戦闘

カニと火山と

形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
6人 / 0~6人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/01/26 09:00
完成予定
2017/02/04 09:00

掲示板

オープニング

●溶岩より現れし者
「……何だアレは?」
 南太平洋に浮かぶ小さな島。
 世界で一番溶岩に近づける観光ツアーで有名な島。
 その島の火口、溶岩の中を何かが動いているように見える。
「すぐに山を下りるぞ!」
 観光ガイドが声を上げる。
 いつもは噴煙を上げ続け、時折小規模な噴火を繰り返す山が今日は驚くほど静かだった。
 それだけ見れば普段よりも安全に見えるが、ガイドの危険を察する勘が溶岩の中の何かは危険だと告げていた。
「何か出て来たぞ!」
 誰かが上げた声に観光客たちが溶岩へ目を向ける。
 煮えたぎる溶岩の中から何かが浮かび上がって来る。
 それは巨大なカニのハサミだった。
 溶岩よりも赤く赤熱して太陽のように輝く巨大なカニが溶岩の中から半身を現す。
「何をしている、死にたいのか!」
 這い出して来るカニに足を止めたままカメラを向ける観光客にガイドが苛立つように叫ぶ。
 ガイドとしての責任感と自身の身の安全の間でガイドの心は揺れ動いていた。
 カニの目が痛くなるような輝きはその温度が溶岩よりも熱い事を雄弁に物語っている。
 そして、遠く見える火口も実際にはそれほど遠くない事をガイドは知っていた。
 まだ化け物が全身を現していない今が逃げる最後のチャンスだろう。
「俺は逃げるぞ!」
 もう一度だけそう叫んでガイドは火口に背を向ける。
 だが、すでに遅かった。
 火口を離れたガイドの背後で悲鳴が響く。
 思わず振り返ってしまった事をガイドは後悔した。
 火口の縁からまるで山に登る太陽のように眩しい輝きが姿を現していた。
 五メートル程の小さな太陽のようなカニの光に地面に観光客たちの長い影が落ちる。
 真夏の太陽のような熱気が照らされた人達を炙る。
 一際大きな悲鳴が響き渡った。
 カニの近くに居た者達の服が燃えていた。
 そして、その人達の体からも炎が上がる。
 服の火が燃え移ったのではなく、熱せられた空気が人体の発火温度を越えたのだ。
 長い足で思ったよりもずっと早くカニは移動すると燃え上がる人をハサミでつまみ上げ口へと放り込む。
 パニックが発生した。
 観光客たちは逃げ惑うがごつごつとした岩の多い火口の地面は走り難く、転べば冷えて固まった硬く鋭い溶岩が容赦なく体を傷つける。
 さらに体の大きなカニの方が足が早く、見る間に近付かれ体から炎が吹き上がる。
 悲鳴は見る間に小さく、少なくなっていった。
 ガイドは恐怖に足がすくんで動けなくなっていた。
 暑さのせいか恐怖のせいか汗が滝のように流れ落ちる。
 じっと見つめるように視線を剥がせなくなっていたガイドに最後の観光客を口の中に放り込んだカニがそこだけ黒い無表情な目を向ける。
 まだ距離は有った。
 だが、突然ガイドの服が燃え上がる。
 慌てて周囲を見回すといつの間にか溶岩の川が目の前に迫っていた。
 それはカニの高温によって融けた地面だった。
 赤く輝く灼熱の川が悲鳴すら上げる間もなくガイドの命を燃やし尽くした。

●降下作戦
「最終確認です。現在、敵カニ型従魔は谷に沿って移動しています」
 輸送機の中で装備の最終確認を終えたエージェント達にオペレーターが声をかける。
「谷を抜ければすぐに町が見えます。避難は進めていますが今のペースでは間に合いません」
 火口から出て来たカニ型従魔は現在谷の底を進んでいる。
 幅が二十メートル、深さが五十メートルあるその谷の中ならば被害は出さずに済む。
 だが、町にカニ型従魔が入れば全滅は必至だった。
「谷の底は比較的平らですが、それでも平地よりは足場が悪くなっています。地形によりリンカーが怪我をする事はないでしょうが気を付けてください」
『目標確認』
 オペレーターの言葉に重なるようにパイロットの声がスピーカーから響く。
 輸送機の窓の外を覗くと赤い溶岩の帯が谷を下る様子が見える。
 その先端、太陽のように明るく輝いているのが目標のカニ型従魔だった。
「カニ型従魔の表面温度は約千度と観測されています」
 この火山の溶岩の温度が約九百度なのでカニ型従魔の体は溶岩よりも熱い事になる。
 共鳴さえしていれば溶岩の中ですら活動できる能力者にとってただ熱いだけならば我慢すれば済むだけの話であるが、相手は従魔である。
「出来る限り組み合うのは避けてください」
 何が起きるか分からない以上、危険は避けたいが巨大なカニの進行を止めるためには組み合う事も考えておく必要があるだろう。
「せめて、耐熱装備が準備出来ればよかったのですが……」
 悔やむようにオペレーターが唇を噛むがカニ型従魔の進行速度がその準備時間を与えてくれはしなかった。
 唯一準備出来たのはサングラスのように光を抑えるタイプのゴーグルだけであった。
『降下予定地点上空』
 再びパイロットの声が響く。
「ライヴス・ジェットパックの使い方は大丈夫ですね」
 十分な装備を準備出来なかったことが不安なのか、念を押すように繰り返すオペレーターの言葉にエージェント達は頷いて見せる。
『降下ハッチ開きます』
 パイロットの言葉と共に降下ハッチが開き高空の風が輸送機のカーゴルームに流れ込んでくる。
「気を付けてください!」
 風に負けないように大きな声を上げたオペレータにそれぞれ答えてエージェント達は降下を開始した。

解説

●目標
・カニ型従魔の撃破

●カニ型従魔
・五メートル程の大きさの巨大ガニ。形はサワガニとよく似ている。
・左右のハサミは共に二メートル。体を支える足の太さは三十センチメートル。
・約千度の熱を持っていて赤熱して輝き、太陽のように眩しい。
 ※対策としてスモークタイプのゴーグルが支給されています。
・攻撃方法は左右のハサミによる打撃と掴んでの締め上げのみである。

●熱による影響
・カニ型従魔が歩いた場所は地面が融け溶岩に変わります。
 判定情報:溶岩に踏み込むとBS【拘束】が付与されます。ダメージは発生しません。
・カニ型従魔の熱の影響で一定以上近づくとダメージが発生します。
 判定情報:隣接スクエア(従魔から二メートル以内の距離)に居る場合、熱によりBS【減退(1)】が付与されます。この効果は範囲内に居る限り打ち消せません。
 判定情報:武器防具以外の部分が直接カニに触れた場合熱による1D6ダメージが発生します。
 ※二つの効果は個別に判定されます。
・甲羅の熱により銃や弓といった実体弾は充分な効力を発揮する前に燃え尽きるのでダメージは半減します。

●戦闘エリア
・幅二十メートル、高さ五十メートルの枯れ谷。
・噴火時の溶岩流の通り道で地面は硬くごつごつしている。
・左右の崖は垂直に切り立ってはいるが、張り出しも多く能力者であれば比較的容易に上ることが可能である。
・谷を抜けると町がすぐに見える。
 ※負けるか意図的に谷の出口まで撤退しない限り距離の心配は不要です。

●ライヴス・ジェットパック
・降下位置を調節するための装備です。詳しくはワールドガイドの新たな技術の項目を確認ください。
・谷のどこに降りるかを自由に決めることが出来ます。リプレイはこの降下のタイミングから描写がされる予定です。
・他の装備同様、共鳴していなければ使えませんのでご注意ください。

マスターより

 こんにちは、みなさま。
 南半球は夏ですが、さらに熱いステージです。
 遠距離攻撃はダメージ半減、近づけば継続ダメージといやらしい状況ですが上手く撃ち倒してやってください。
 一応、地面に潜ったり、泡を吹いて攻撃したりはしませんのでご安心ください。

 では、島の平和は皆さまに託しました!

 それと、皆様の服はご希望が無い限り燃えませんので。
 望まない限り燃えませんので!
 大事な事なので繰り返してみました。

リプレイ公開中 納品日時 2017/01/31 20:22

参加者

  • 双頭の鶇
    志賀谷 京子aa0150
    人間|18才|女性|命中
  • アストレア
    アリッサ ラウティオラaa0150hero001
    英雄|21才|女性|ジャ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 絶望へ運ぶ一撃
    黛 香月aa0790
    機械|25才|女性|攻撃
  • 偽りの救済を阻む者
    アウグストゥスaa0790hero001
    英雄|25才|女性|ドレ
  • 薩摩芋を堪能する者
    楠葉 悠登aa1592
    人間|16才|男性|防御
  • もふりすたー
    ナインaa1592hero001
    英雄|25才|男性|バト
  • 夜を取り戻す太陽黒点
    飛岡 豪aa4056
    人間|28才|男性|命中
  • 正義を語る背中
    ガイ・フィールグッドaa4056hero001
    英雄|20才|男性|ドレ
  • The Caver
    狒頭 岩磨aa4312
    獣人|32才|男性|防御
  • 猛獣ハンター
    何 不謂aa4312hero001
    英雄|20才|男性|バト

掲示板

前に戻る
ページトップへ戻る