本部
出来損ないじゃねぇ!!
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 6人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/01/17 22:00
- 完成予定
- 2017/01/26 22:00
掲示板
-
相談卓
最終発言2017/01/17 01:07:39 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/01/14 18:08:42
オープニング
●兄妹
「……かぁ~! 強いな、兄ちゃん!」
とある町のゲームセンターで、1人の中年男性が『You Lose』という文字が映る格闘ゲーム画面から、対戦相手へと視線を向ける。
「おっちゃんもなかなか強かったよ。結構やり込んでる口だろ?」
「お? わかるか? 最初は暇つぶしだったんだが、徐々にはまっちまってな~」
中年男性が笑顔で話しているのは高校生くらいの少年。どうやらお互いゲーマーと言えるくらいにはゲーム好きらしく、先ほど対戦した格闘ゲーム以外のゲームについても話が盛り上がっていた。
「じゃ、俺は仕事に戻るわ。今度は俺が勝つから、首洗って待ってろよ!」
「どうせ返り討ちだけど、期待しないで待ってるよ」
その後、妙に意気投合した2人だったが、今は平日の昼間。中年男性は仕事の合間に、少年に至っては学校をサボってゲーセンにきていた。いくらすぐに気があった相手だとしても、別れるのもまた早い。
「……もう少し、やってくか」
中年男性の背中を見送り、少年はまたゲーセンに足を戻した。
結局、彼はこの日、学校へ足を運ぶことはなかった。
「大輝!」
「ぐっ!?」
夜。帰宅した少年に待っていたのは、父親からの怒声と平手打ちだった。
「また学校をサボったようだな! もうすぐ大学受験も控えているのに、一体いつまで遊びほうけているつもりだ!? 教師の息子がそんな体たらくでは、学生に示しがつかないと何度いったらわかるんだ!!」
少年ーー大輝の父親は地元の高校でも有名な進学校の教師をしている。今の時代では珍しく学生の指導はとても厳しく、それ以上に結果を出していた。受け持った何人もの卒業生を難関大学に合格させ、学生への人気は意外と高い。
だが一方で、厳しい指導をよく思わない生徒や親も多く、とりわけその教師の息子が成績不良となれば、指導方法にも不信が向けられる。実際、公私問わず教育には厳しい父親だが、『身内に甘いような教師に、自分の子供を任せられるのか?』という苦情も届いていた。
「妹の文(あや)は全国模試の成績も優秀なのに、お前はいつもゲームばかり!! 少しは兄らしいところを見せたらどうなんだ!!」
さらに、大輝には1つ年下の文という妹がいる。彼女はとても真面目な性格で、暇があれば勉強をしているような、典型的な『いい子』。大輝は偏差値が低い高校に進学したが、文は父親が教鞭を執る高校に進学していた。
それがより大輝との差を示してしまい、幼少期からずっと比較の目に晒されてきた。大輝が親から聞く言葉の大半は、『教師の息子なのに』や『文は優秀なのに』という、大輝の不真面目さをなじる内容ばかり。
「これ以上俺に迷惑をかけるな、『出来損ない』が!」
そして、最後は決まって、大輝には同じ言葉が浴びせられる。
『出来損ない』。
親から名前と同じくらい呼ばれた、彼に突きつけられた烙印。
「……っ!」
「待て、大輝!!」
怒り、軽蔑、失望。
あらゆる負の感情が混じり濁った父親の目に耐えられず、大輝は制止を振り切って家を飛び出す。
「あ、お兄ちゃ……」
ちょうど塾から帰宅した文を押しのけ、大輝は闇夜に包まれた町へ消えていった。
●反抗
1時間後。
「……ごほっ!」
「う、うぅ……」
「これで満足か? やりすぎだと? はっ! 実の親を殺してやりたいと言ったのは貴様ではないか?」
大輝は自宅へと戻ってきていた。
しかし、大輝が町へ飛び出す前とは一転し、家の中は凄惨な状況となっていた。
床に倒れて吐血した父親は血だらけで、隣に倒れ伏す母親も意識が朦朧とした状態でうめき声を上げるのみ。
対して、帰宅直後は大輝だった少年は、まるで別人のような姿へ変貌していた。身長は高く伸びた上、漆黒のマントとタキシードに加え、青白い顔はまるで吸血鬼のよう。腕を組みながら地面に沈む大輝の両親を見下す目は紅く、強い侮蔑と愉悦におぼれている。
「これで貴様の願いは叶っただろう? 次は我が望むものをもらう。よいな、大輝?」
その男は1人で誰かと話をしていた。蔑む笑みを浮かべた口から出た名前は、大輝。
「人の中では『出来損ない』の貴様でも、我の憑代(よりしろ)として少しは役に立つだろう。わざわざ貴様の願いを叶えてやった上、無価値な貴様にも価値を与えてやるのだ、ありがたく思え」
くつくつと暗い笑みをこぼし、吸血鬼のような男ーー愚神はマントを翻してそのまま家を後にした。
「……もしもし? だれか、たすけて、っ!」
柱の陰にうずくまった、文の存在に気づかないまま。
●追跡
「先ほど、一般の方から愚神出現の通報を受けました」
緊急に集められたエージェントの前で、H.O.P.E.職員はメモのような物に目を落としながら口を開いた。
「通報者は都内某所に住む4人家族の長女。長男である大輝という少年が愚神に憑依されたらしく、愚神は彼らの両親に重傷を負わせて逃走しました。長女によると、長男は両親との喧嘩が絶えず、愚神に親への負の感情を利用されたのでは? とのことです」
長女曰く、愚神が1人で誰かに話しかけていて、その中に兄の名前である『大輝』と口にしたのだとか。愚神に利用された経緯は、長男が家族と折り合いがついていないことを知っていた長女の予想だが、ほぼ間違いないだろう。
「容姿は銀の髪に黒一色のタキシードとマントを着用し、高い身長と青白い肌色と血のような瞳が特徴だそうです。そして、通報者の両親を害したのは不気味に動く影だったらしく、それが愚神の主な攻撃手段と考えられます」
影を操る能力は厄介な上、現在は日が落ちてしばらく経った夜中。今から探索して撃破するとなると、闇夜を利用される可能性があり危険度も高くなる。エージェントたちに緊張が走る。
「情報通りなら確かに不利を強いられるでしょうが、このまま愚神を野放しにするわけにもいきません。被害を広げないためにも、早急に見つけだして討伐してください」
解説
●目標
愚神の討伐、大輝含む一般人の救出。
●登場
大輝…愚神に憑依された高校3年生の少年。よく学校をサボり、ゲーセンに入り浸っているため、不良学生と言われることが多い。特に教育に厳しい父親へ強い反抗心を抱いており、内に秘めた負の感情を愚神に利用されたと思われる。
ピヌス…デクリオ級愚神。まるで吸血鬼のような風貌に、高圧的な態度と口調が特徴。大輝の両親に重傷を負わせた後、新たなライヴスを求めて夜の町へと向かった。通報者によると、影を攻撃に扱うらしい。
能力…魔法・命中↑↑、特殊抵抗・イニシアチブ↑、物理・回避・移動力↓
スキル(PL情報)
黒薔薇…射程0、範囲3、範囲魔法、命中+100、自分の足下から影で作った刃を大量に出現させる。特殊抵抗判定【命中vs回避】勝利→BS狼狽
黒百合…射程1~15、範囲2、範囲魔法、命中-50、地面から黒い噴水のような影を放出。特殊抵抗判定【魔攻vs魔防】勝利→BS減退(1)
黒椿…射程0~30、単体魔法、魔攻+100、物理・魔法防御+100、1度以上影攻撃を受けたPCの全身を繭のような影で覆い握り潰す。リアクション時、自身の盾としても使用。命中→BS拘束・封印
●状況
場所は深夜の歓楽街。PC出撃後、大輝がよく通うゲームセンターの近くで目撃される。通りは広いがライヴスを奪われた一般人が数十人ほど倒れ、建物のガラス片が散らばる。天候は分厚い雨雲が広がる上、店の電飾等はすでに破壊されていて現場はかなり暗い。
一般人の通報を受け、愚神と相対して戦闘開始。この時点でかなりの人数のライヴスを収奪しており、大輝の意識は完全に奪われている。死者はまだ出ていないが、愚神は戦闘で一般人の被害を考慮しない。
マスターより
世間一般では『不良』と言われる男子高校生が抱く、家族への反抗心に付け入った愚神の討伐です。大輝は自分を否定し続ける親や自分を騙した愚神への怒りでライヴスが強まり、未だ愚神にライヴスを奪われ続けている状態です。
また、愚神は自身の能力を最大限に引き出すため、事前に周囲の建物にある光源を破壊しています。悪天候もあって戦闘区域はほぼ真っ暗だと思ってください。
そして、愚神はライヴスのない人間を無視して戦闘を行います。それは良くも悪くも、人間を『生物』と認めていないことになります。戦い方次第で被害が大きく変わると思われますので、注意が必要でしょう。
リプレイ公開中 納品日時 2017/01/24 19:52
参加者
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相談卓
最終発言2017/01/17 01:07:39 -
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最終発言2017/01/14 18:08:42