本部
未知なる味を異界に求めて
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 6~10人
- 英雄
- 7人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/10/08 22:00
- 完成予定
- 2015/10/17 22:00
掲示板
-
相談卓
最終発言2015/10/08 20:03:42 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/10/08 19:54:17
オープニング
●おお、鶏達の王よ。母なる卵鶏よ。
その日も老人は一日の仕事を終え、縁側で一人晩酌を楽しんでいた。
牧場や農地の他には雑木林が広がるばかりでこれといった娯楽も無い田舎だが、自家製の鶏ハムと月夜を肴に飲む酒はなかなかどうして旨い。
一献、また一献。そうして老人がささやかな楽しみを満喫していたその時だ。大気を震わすような、この世のものとは思えぬ恐ろしい雄叫びが聞こえたのは。
「……!?」
60年来の生命の危機を敏感に感じ取った老人は本能的に縁側の下へと潜り込み、雑木林の先の暗闇へと目を凝らした。断続的に続く雄叫びに悲鳴をあげかけ、老人は何とか堪える。
おぼろげな月明かりの下、番いの鶏が月に向かって雄叫びをあげている。……そう、鶏だ。だがその大きさが尋常ではない。周囲に立つブナの木と比較するに小さく見積もってもヒグマ並だ。
「コケーッ!! ココココココ」
堂々たるトサカを持つ雄鶏が喉肉を震わせる度に老人は心臓を鷲掴みにされるような不安を覚え、必死に耳を塞いで耐えた。
「コッコッコ……ゴボーッ!!」
恐るべき雄鶏の傍らに立っていた一回り小さな雌鶏が、突然極端な前傾姿勢を取り、その口から稲妻の如く卵を吐き出す。卵が命中したブナの木が、爆発四散した。
「ひいいい……」
縁側の下で震える老人に気付く素振りも無く、雄鶏は木々を足場に蹴倒し跳びはねながら、雌鶏は口から吐き出す卵で木々を粉砕しながら、嵐の如く夜闇に消えた。
●A Chicken in the Kitchen is making the sound
「あんた正気か?」
「私は至って本気だよ」
情報提供者である小太りの紳士の言葉に頭痛を覚え、中年事務員はこめかみを指で押さえた。
「なに、言ってしまえば単純な従魔の討伐だ。そちらにとっても協力する事にデメリットはあるまい? むしろメリットしかないな。そうだろう?」
大仰な身振り手振りを交え、小太りの紳士が言葉を続ける。一方の中年事務員はもううんざりといった表情だ。
「で、首尾良く討伐したその従魔をどうするって?」
「美味しく調理して食べる」
顔色も変えずにそう言ってのけた紳士に、中年事務員はいよいよ頭を抱えて唸った。
小太りの紳士改め、カーネル・マルク40歳。職業は料理人にしてフリーランスの能力者。
どういった情報網を持つのか、H.O.P.Eにたびたび従魔の情報を持ち込んではこのような形で協力を求めてくる、かなり困った分類に入る人間だ。
元より能力者は色々とおかし――もとい、一風変わった人種が多いのだが。
「この従魔……家畜を依代にしてるのかと思ってたが、もう独立しちまってるんだな。デクリオ級か」
「その通りだ。これ以上成長してしまえば面倒な事になるだろうね」
プリセンサーからもたらされた裏付け情報に訳知り顔で頷くカーネルに対して、中年事務員の表情はあくまでも渋い。
「……カーネルさんよ。一応聞くが、従魔の死骸を利用して一儲けとか考えてねぇだろうな?」
「無論、これは営利目的などとは無縁の純然たる私の趣味だ。ライフワークと言っても良いな……だから安心してほしい」
今の言葉のどの辺りに安心出来る要素があったのだろうか? 中年の事務員は椅子にもたれて天井を仰いだ。思考の整理が必要なのだ。
――従魔の性質上、討伐に時間をかけてはいられない。討伐にサポートを得られるなら、討伐に当たるエージェント達にとっても好ましい事ではないか?
腹立たしい事だが、カーネルはこれでもプロフェッショナルだ。少なくともエージェントの足を引っ張る事はしないだろう。
「……今から有志を募るから、従魔の死骸についてはそっちで相談して好きにしてくれ」
「素晴らしい! 君達H.O.P.E.こそ、まさしく『創造の20年』に培われたフロンティア・スピリッツの体現者だ!」
興奮を抑えきれない様子でウキウキと準備を始めるカーネルを横目に、中年事務員が溜め息をつく。
「ったく……にしても、エラい大荷物だな」
「調理器具一式と油、付け合わせの食材に調味料や各種スパイスの類が入っている。なに、料理人の嗜みさ」
果たして討伐にサポートを得られるのだろうか?
中年の事務員はこの依頼を引き受けてくれる物好きな……あるいはお人好しなエージェントが現れてくれる事を祈った。
解説
●雄鶏の従魔……デクリオ級従魔。立ち上がったヒグマ並にデカい。鋭い嘴と蹴爪を持ち、強靭な脚力で雑木林を縦横無尽に跳ね回る。
その雄叫びは特殊抵抗力による対抗判定に失敗した者へバッドステータス『衝撃-30』を与える。
●雌鶏の従魔……デクリオ級従魔。トサカが無く、雄鶏より一回り小さい。雄鶏に対して機動力に劣るものの体内に特殊な卵袋を備えており、
極端な前傾姿勢から吐き出されるボーリング玉ほどの卵はブナの木を粉砕する威力を持つ。
●カーネル……ジャックポットの英雄を相棒に持つフリーランスのリンカー。特に指示が無ければブナの木に隠れて援護射撃に徹する。
食材を色々と持ち込んでおり、欲しいと言えば快く分けてくれる。
●雑木林……ブナの木が立ち並ぶ未開発の土地。従魔による破壊の爪痕がそこかしこに残されている。
●周辺住民……既に避難が完了しており、二次被害発生の危険は無い。また、一部の農地で作物が荒らされているとのこと。
マスターより
焼き鳥がたべたい。こんにちわ、ゆあーです。
今回は従魔を倒して美味しく頂いてしまう戦闘シナリオをお届けします。
NPCとしてカーネル氏が同行しますが、彼の戦闘描写は可能な限り省かれるため戦力や肉壁としては役に立ちません。
一見コメディですが、デクリオ級の従魔が二体です。適切な作戦や対策を練り、全員で協力する必要があるでしょう。
物好きな、あるいはお人好しなキャラクターの皆様はよろしければ鶏の羽を毟ったり解体を手伝ったり
調理法の提案から実践、味見などをしてあげるのも良いでしょう。
では、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
リプレイ公開中 納品日時 2015/10/12 15:20
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相談卓
最終発言2015/10/08 20:03:42 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/10/08 19:54:17