本部
もう少しだけ一緒に
- 形態
- ショートEX
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,500
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 5人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/11/20 09:00
- 完成予定
- 2016/11/29 09:00
掲示板
-
エセ紳士を叩いて砕け!
最終発言2016/11/20 00:26:41 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/11/18 22:55:27
オープニング
●
優しげな雨が降っている。今の時期は、夏と違って優しいのだ。傘に当たる音は不規則だが心地が良い。この雨となら、誰とでも友達になれるなと僕は思った。
「この薬を、ワン公が飲めばたちまち元気になるんだよ」
老紳士風の男が言うのだ。
覚えている限り、コレットが来たのは僕が幼稚園児だった頃だ。コーギーという種類の犬で、アホ面。普通のコーギーはまあ、至って普通の顔をしているのだがコレットはアホ面。それがおかしくて、愛嬌があって僕の一番の友達だった。
この散歩道、よく母親と二人でコレットと散歩をした道だ。玄関から出て十分歩いた場所にある遊歩道が幼かった僕の、オアシスだ。コレットもその場所が好きだった。だから毎日散歩にいった。今日のように雨でも、晴れの日なんかは特に騒いで駆け回って、近所の人に挨拶なんかして。楽しかったなあ、と中学生になった僕はしみじみ思うのだ。
コレットは大好きだ。だが、小学生高学年になると、僕は自然に友達の家に遊びにいく。中学生になるといつも、コレットは二の次だった。恥ずかしながら、僕が反抗期だった頃はムシャクシャして、きつい一言を言い放ってしまったのだ。
「もう、コレットも長くないかもね」
犬の寿命は精々十年前後と言われている。母親からそう告げられて、僕は、愚かにも焦った。僕は自分にこう言った。
「おいお前、二の次にしていたコレットが死んじまいそうだからって今更可愛がるのか?」
死にそうにならないと、可愛がってやれないのか?
しばらくの間、友達とは距離を置いた。僕は元気がなかったから、そんな顔を友達に見せたくなかったというのと、ケジメをつけたかったというのがある。今思えば、まだ幼い子供が何をケジメだと思う。
それが三日前の話だ。昨日になって、ようやく心に整理がついた。自責の念が消え去ったのだ。僕はコレットの気持ちになってみた。
このワン公は何を思うだろう。最初かわいがってくれて、どんどん離れて自分が死んでしまう時も、側にはいてくれなかった。それは、とても寂しいじゃないか。
そう考えると、僕は涙が出た。寂しいからじゃない。昔を思い出したのだ。コレットが死んじまうだって? 嫌だ。コイツとは、もっと遊びたい。今まで二の次にしてきたけど……。もう関係ない。元気になってくれたら、毎日また遊んでやるから。
晩に、僕はコレットを抱きしめた。こうすれば、温もりをあげれば少しでも長生きしてくれると思った。
優しげな雨だから、僕はコレットと散歩に出た。これが豪雨だったら家の中にいただろう。傘を持って、コレットと散歩。何年振りとなるのだろう。散歩は父親の習慣となっていた。
「あなたは誰?」
遊歩道を歩いていくと市民公園がある。そこもまた緑が美味しい公園で、昔は遊具があったのだが今では撤去されている。少しだけ物悲しい。
その公園に老紳士風の男がいた。老紳士風というのは、彼は老いていない。せいぜい三十代半ばといったところだろうが、服装が老紳士だった。背丈も、あまり大きくない。白髪も見えている。
「私は研究員なんだ。命のね」
「命の研究員、ですか。聞いたことがないんですが」
「そこのワン公、もう寿命が近いんでしょう」
占い師を前にしているようだった。僕は寿命が近いだなんて一言も言っていない。
「この薬を、飲ませてやってはくれないか」
「学校でよく習うんです。知らない人から変な物をもらうなって」
「そうか……」
男は悲しそうにしていた。
「コレットは、もっと遊びたいと言っているよ、君と」
「えっ?」
更に驚いた。名前を言い当てられたのだ。
「研究員の他に、私には動物の表情を見て何を言いたいとしているのか分かる、そういうセミナーの講師をやっているんだよ。動物と分かり合える、素敵なね。それで、コレットはもう寿命が分かっているんだ。老衰だと。でも、本当は君とまだ遊びたかった。君はどう?」
「それは……僕も、もっと遊びたいけど。でも、怪しいお薬を飲ませるなんて」
「そうだよね。なら、これを見れば少しは信用してくれるんじゃないかな」
男が取り出したのは一昨日の新聞だ。その新聞に、新薬開発と大きく見開きが出ていた。僕は新聞なんか読まないので、気づかなかった。
記事内に貼り付けてある記者会見のような写真には男が写っていた。という事は、この男は結構大物なのか? 新聞に載るくらい。
「これだけじゃない」
男はもう一つ、一枚の少しだけ厚い紙を僕に見せた。新聞記事の内容と全く同じ薬の説明がそこには書かれている。この薬を飲むと、大体の病気は治ってしまうのだという。しかし今のところ動物でしか効果は発揮されておらず、人間には使用できない。
半信半疑だった僕の気持ちが、信に揺らぎ始めた。
「コレットの願いを叶えられるのは君しかいない。どうか、叶えてやってはくれないか」
僕は男から、薬を受け取った。カプセル薬のような、そんなものだった。
●
薬を飲んでからコレットは本当に、みるみるうちに元気になっていった。老衰というのも病気の一つなのだろうかと、一体なぜ老紳士風の男は僕に薬を、タダでくれたのだろうかという疑問は残ったがそれでも、コレットが元気になってくれたなら関係なかった。
両親は勿論、びっくりしていた。
問題が起きたのは一週間してからだった。家に、H.O.P.Eのエージェントが来た。何か事件があったのだろうかと母に対応を任せていたが、こっそり聞き耳を立てていた。
「こちらの家から、従魔に似たライヴス反応を感知しておりまして」
それは大変だ。大変だーと呑気に思っているうちに、エージェントが母の許可を得て家宅捜索に打って出た。僕は部屋に戻って宿題をしていたら、エージェントが入ってきたので「こんにちは」とだけ言った。
コレットは僕の膝の上で寝ている。
「このワンちゃん、かわいいね」
年上の女性だろう、エージェントがいった。結構美人だ。
「ありがとうございます。コレットっていうんです」
「コレット君か……。ちょっとさ、抱っこしてもいい?」
「いいですよ」
友達が褒められると誰だって嬉しいだろう。エージェントにコレットを渡した。少し抱っこした後、すぐ僕に返してくれた。
問題が起きたのは、その時だった。
「この犬から従魔の反応だ」
僕は持っていたシャープペンシルを落とした。
そして、そこからは本能的に僕は動いていた。一体どうして、僕はそんな事をしたのか分からない。僕はコレットを抱えて部屋から飛び出し、それだけじゃ飽き足らず家からも飛び出した。
「ちょっと!」
後ろからエージェントが追いかけてきたが、僕は一目散に逃げ出していた。
解説
●目的
コレットの確保。犯人の捜索。
●町
神奈川の一般的な市。人口は多くもなく、少なくもない。住宅街が多く、公立の建物が至る所に建てられている。
●老紳士風の男
犬に薬を飲ませた、本シナリオの犯人がこの男。名前は「キリエル」。デクリオ級の愚神
彼がカプセルに含ませていたのは寄生虫型の従魔で、コレットを下僕の従魔化させようと企んだ。彼はコレットだけでなく、野良犬や猫、カラス等に薬を飲ませて下僕を既に十匹も作っている。
キリエル自身にも戦闘力があり、下僕が全員倒された時、その時に衰弱しているエージェントを狙って攻撃を仕掛けてくる。
●コレット
薬の影響が明確に出始めるのは十日後。
エージェントが捜索を開始した日程は七日後なので、三日経つとコレットは自我を失い始めて主人(キリエル)の元へ向かおうと勝手に行動を始める。十一日目には原型を留めない程に進化し、十二日目には完全なる変異を遂げて、人々の脅威となる。
●少年
藤野(とうの) 燿(ひかる)という男の子。彼はコレットをエージェントに近づけないよう、様々な場所に逃げ隠れするが、中学生なので知識は疎い。
●キリエルの拠点
エージェントが駆けつける町にはキリエルの拠点が存在する。場所に関するヒントは住民の誰からも得られずレーダーも捕らえられないが、見つける手段はいくつか存在する。(※PL情報:OPにヒントはなく、解説にあります)
拠点は主に実験室で出来ており、中には捕らえられた動物達が檻の中に入っている。檻の中にいる動物達はまだ薬を飲まされていない。
●コレットを助けるには?
十二日目に入るとコレットを助ける事ができなくなるが、それ以前にキリエルを倒せば薬の効果は自動的に解除される。薬に含まれるライヴスはキリエルの物で、それが消失することで助けられるのだ。しかし、下僕の動物達は変異を遂げているため、倒してやる事が一番の救い。
マスターより
※当MSはアドリヴ成分が多めです。
どこかで聞きかじった情報なのですが、人間は犬と見つめ合うと特殊な脳内物質が出て、ストレスとかが和らぐんだそうです。大昔、まだ我々がウホウホ言ってた頃は大物を仕留める時に犬と行動を共にしていたそうで、その時の名残なんだそうです。
私はまだ犬を飼った事がないんですが、テレビ等で犬を見ると飼いたくなります。犬の散歩とかしてみたいんですね。
それでは皆さん、よろしくお願いします。ぜひコレットを救ってあげてください。
リプレイ公開中 納品日時 2016/11/24 20:41
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