本部

戦闘

刀折れ矢つきても

月桂樹

形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
能力者
1人 / 6~8人
英雄
1人 / 0~8人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/07/31 19:00
完成予定
2016/08/09 19:00

掲示板

オープニング

●A・AGW
 天井につけられた蛍光灯が鈍く照らす地下。車がいくつも止まっている空間に人影があった。二つの集団に分かれて対峙している。
「ありゃ、思ったより効果覿面ってやつかな? あの文句って大概嘘だと思っていたんだけど」
 そういった主の影は異形だ。背中から翼のようなものが生えている。色とりどりの羽は向こう側が透けて見えるぐらい透明だ。額には角が生えており、より一層人間からかけ離れている。
 周囲には童話に出てくる小鬼達が控え、ウィスプがゆらゆらと不規則に揺れている。
 それと向かい合う形の集団の影は八つ。それぞれの得物を構えることすらつらそうに、しかし膝をつくことを自身に許しはしなかった。
 状況は一目瞭然で能力者と愚神の争いは能力者の敗北で終わろうとしていた。
 徐に翼を生やした愚神が、自身の背中まで届く長髪を抜く。それは鞭のようにしなりながら、左右にいた小鬼と結ばれる。結ばれるや否や、小鬼の色が黒く染まり他の固体と比べても一回り巨大化する。
 それを先頭に小鬼達の群れが能力者に殺到する。
 能力者の先頭に立つ男が小鬼を大剣で薙ぎ払うように振り回すが、小鬼たちを断ち切ることができない。
「ッチ。何できれねぇ。このボンコツが」
 男が悪態をつきながら、小鬼を蹴り飛ばす。
「その様子じゃあ、せっかくのAGWも宝の持ち腐れだね」
 普段なら鎧袖一触で蹴散らせる小鬼に苦戦している能力者を遠巻きに眺めながら悦に入った様子の愚神が続ける。
「そうそう、こんな問題知ってる? 誰にも持ち上げられない石を作ることができるものがいるかっていう問い。あれ簡単に答えられると思うんだよ」
 表情を歪める。
「全員の両手を切り落とせばいいってこと。簡単じゃない?」
 周囲を小鬼に囲まれながらも、注意深く愚神を見ていた男が答える。
「つまり、俺たちの腕となるAGWを使えなくしたってことか」
「ご名答」
 いよいよ、顔を苦々しくさせながら男が周りを見回し、そっと仲間に視線を合わせる。その仲間が驚いたように目を見開いてからそっと頷く。
 男を中心に一人、二人と小鬼と悪戦苦闘しながら他の能力者が集まってくる。
 全員が集まると同時に男が愚神に突進していく。それと同時に他の能力者も走り出しながら男を先頭とした矢のような形になる。
 周囲の敵が先頭の男を狙う。
 男は自分に向かう敵に構わず、目前の敵を倒し歩みを進めていく。
 取りこぼした敵と男が接触する寸前に男のすぐ後ろにいた能力者が敵をを打ち払う。
 さらに、払った能力者を襲おうとする小鬼たちをその能力者の後ろの味方が打ち倒す。
 それを只管繰り返しながら、愚神との距離を詰めていく。
 一種一瞬が苦行そのもので、しかしそれを積み上げて、ついに愚神と肉薄した男が愚神に己の武器をたたきつける。
 勢いの乗った一撃は愚神の顔面に直撃するも、愚神は微動だにせず受けきる。
 男の腕をつかむと、自身の顔から引き離す。
「これで終わりかな? お祈りはすませた?」
 にやりと笑った男が小ばかにするようにして答える。
「頭のたりねぇお前に保育園児でもとける問題を出してやろうか? 俺たちは八人いた。今ここにいるのは七人。八引く七はなんだ?」
「え? 一だけど。ってえ、一人足りない」
 あわてて数を数えてから驚いたようなぱちくりと目を瞬かせる。
「ご名答」
 愚神がしたり顔の男の腕を握りつぶさんばかりに力を込める。その顔は真っ赤に染まっている。
 一方男も顔を苦痛にゆがめながらそれでも得々と答える。
「集まった時に、独りだけ置いて行かれた奴でもいたんだろうよ。まあ、今頃は外にでもいるだろうさ。お前の力は知られてはいけないタイプのやつだ。だからこそジャミングをしてるんだろう? それをべらべら、いやぁありがとな」
 男がもう一方の手でスイッチらしきものを取り出す。
「もう娑婆の空気を吸ってる頃だろうさ。それじゃあ最後の仕事だ」
 そうして男がスイッチを押すと、爆音と閃光が巻き起こった。

●ブリーフィング
「そうして、愚神は倒れました。世もすべてこともなし……というわけには行かなかったわけで」
 説明員の言葉がヘリコプター内の能力者達に話続ける。
「いや、だって通常の軍用爆弾ですから。コンクリートを奴の棺桶にしてやるぜ! とかおっしゃっていらしましたけど、まさか自分が埋葬されることになるとは」
 何とも言えない声音の説明員が自分の言葉を訂正する。
「ああっと安心してください。おそらく、生き埋めになってはいるでしょうが安全でしょう。愚神も敵に囲まれた状況で瓦礫を撤去してまで戦闘不能状態の能力者に構わないと思われます」
 気を取り直して真面目な声音で開始を告げる。
「それでは、ブリーフィングを開始させていただきます。目標は都市圏中心付近にドロップゾーンを展開中の愚神の排除となります。愚神に従う形で従魔は都市圏内を徘徊。愚神は今のところ姿を消しています。ドロップゾーン内にいた人々は中心市街に集められているらしく、どうやら積極的に巻き込む意思はないと推定されます」
 スクリーンには衛星から撮られた人々の大移動が映し出されている。道路を埋め尽くすほどの数の人間がそれぞれ中心の建物に吸い込まれていく。
 その映像に映っていたのと同じ光景が眼下には広がっている。立ち並ぶビルとそれに不釣り合いな人の欠如。反面、範囲外と思われるところでは郊外に向かおうと車が立ち並び渋滞を引き起こし、長い列を作り出している。その横を小さい点にしか見えない人々が一つの方向に流れていく。
「対象の愚神は飛行型であり、どうやら何かを強化する能力を持つと思われます」
 軽い咳払いでワンクッション入れる。
「問題となるAGWの使用できない状況も愚神の能力によるもののようです。技術班によると、詳細な説明は省略しますが、愚神の角から発せられているライブス波によって能力者とAGWの同調接続を遮断するもののようです。ただ、あくまでも影響を受けるのはAGWだけなので、直接的に能力者に影響を与えることはないとのことです。つまり、能力者のスキルや範囲外からのAGWを用いた攻撃は有効です。おおよその範囲は愚神のドロップゾーンと同調させているらしくドロップゾーンと同じ範囲で、十キロ程度です」
 ここで思い出したように付け加える。
「先ほど語った通り、都市圏中心付近はジャミングにより通信機器らを利用することはできなくなっておりますので、今の情報は全て生還された一人の方からのものとなります。ただ、愚神から逃れたのちに、都市を徘徊中の従魔に襲撃を受け重傷を受けましたので今作戦中の作戦復帰は不可能です」
「ブリーフィングは以上となります。皆さんが任務の完遂をしてくださることを」

解説

愚神排除が目的。

愚神
愚神の能力でAGW効果喪失。任意にオンオフ切り替え可能。角を基点とした能力のため角が使用不可となった場合、能力停止。角にはジャミング機能もあり。
範囲ドロップゾーン内。都市部中心から10キロ。
具体的には、AGWでの攻撃が素手扱いとなる。近距離、遠距離共に攻撃は可能。
▼素手攻撃
素手による攻撃は攻撃力0として扱い、最終的なダメージが半分(切捨て)となります。

愚神の二つ目の能力は代償強化。愚神の一部分を捧げることで強化する。
髪を使った強化の場合、対象を選択し強化する能力を設定し1D100する。重複はできない。ワンアクションで2体まで選択可能。自己強化可能。
捧げるものが大きければ大きいほど効果は高くなる。
翼による飛行が可能。翼を破壊すれば飛行能力喪失。

従魔
小鬼LV20程度。愚神の周辺にいる個体が2分隊。都市部を巡回するものが8分隊。一分隊5体。
ウィスプ LV10相当 愚神の付近に20体。
どちらも愚神を中心として統制がとれている。

作戦領域
高層ビルが立ち並ぶオフィス街。中心にはドロップゾーン内にいた人々が集められている。積極的に愚神からそちらに向かうことはない。
ジャミングがかかっており、通信機器使用不能。角破壊後使用可。

行動
発見後、ある程度自らの陣地に踏み込ませてから急襲。劣勢になると射程外の上空まで逃走。体勢を立て直す。負けを覆せないと考えた場合逃走。
建物内に侵入することはない。瓦礫で生き埋めになることを防ぐため。生き埋めになっても脱出可能だが、その間にドロップゾーン内の人を救出されることを警戒している。能力を知られているかいないか確信を持てていない。

先遣隊
先遣隊一向は重傷で生き埋めになっているが、命に別状はなし。

能力者
都市圏付近でヘリから投下。特に指示があればヘリコプターを誘導し投下ポイント指定可能。ただ、都市圏内の上空を通過する場合攻撃を受ける可能性あり。

マスターより

制限下での戦闘となります。初見殺しは初見でなければ意味がなくなるという典型例です。

参加受付中 プレイング締切日時 2016/07/31 19:00


参加にはSC1,000が必要です。

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