本部
ジュライ・ブライド緊急停止!
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 1人 / 4~8人
- 英雄
- 1人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/07/16 15:00
- 完成予定
- 2016/07/25 15:00
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言
オープニング
◯乗り遅れた女
「今年も、6月が、終わって、しま、った……」
末摘花 麗(すえつむはな うらら)は力なく言った。38歳。そろそろ親のお小言も聞き飽きた。同期たちはほとんどが寿退社か、育休明け。独身を貫いていた親友、否、心友は最近見合い結婚した。
「私にも運命の出会いがあるはずなのよ!」
きっと。たぶん。……誰かそうだと言ってよ! 麗は自室のフローリングに崩れ落ちた。
◯運命の出会い
独身貴族とは金を持っているものである。麗が休日を満喫していたのは銀座の高級デパートだった。
「お嬢さん、ハンカチを落としましたよ」
ブランド物のスーツを新調し、店舗を出たところで麗は呼び止められた。
「あら、ご親切に。でもこれ、私のじゃありませんよ」
ハンカチに目を落とした麗は、デザインを確認して顔を上げた。
――王子だ。麗はそう思った。品の良い笑顔を浮かべた、長身の美男子。栗色の髪をかき上げて、グレーががかった青色の瞳を照れたように細める。魔女のように前に垂れ下がった鼻――コンプレックスだ――を思わず手で隠す。
「それは失礼いたしました」
去ろうとする男に麗は思わず声を張り上げた。
「せ、せめてお名前だけでも~」
時代劇か。思わず自分に突っ込んだ。これが時代劇だったとしても、世話になった者に向けるべきセリフである。麗は混乱していた。どストライクのイケメンに話しかけられたのだ。「男は心」と理性ではわかっているのだが、胸の高鳴りは止められない。
男は振り返ると不思議そうに小首をかしげた。
「氷上 玄二(ひかみ げんじ)と申します」
そして、もう一度微笑みを浮かべて名乗った。他の誰でもない、麗だけに向けられた笑顔だ。背筋をピンと伸ばした見事なモデル立ちである。
「ああ、玄二さんあなたはどうしてモデル立ちなの?」
「モデルを目指しているんです」
玄二はホワイトニングばっちりの歯を輝かせた。ちなみに若く見えるが32歳だ。
「わ、私は末摘花 麗……」
「綺麗なお名前ですね、麗さん。僕はこれで……」
綺麗……。男の言葉の余韻に浸っていた麗だったが、玄二がもう一度振り返り、足早に向かってくるのを見て面食らった。
「ダメだ、この気持ち抑えられない! 麗さん、僕はあなたが好きです! 一目惚れしてしまいました……!」
麗は口を半開きにして呆けた。戦闘で何本かが失われたままの歯列が覗いた。嫌いな鼻を隠すのも忘れて両頬に手をやった。
◯花嫁を奪え?
「大変です」
HOPEの食堂で休憩をとっていたリンカーたちのもとに、男性職員が走って来た。東 薫太(ひがし くんた)という、少しぽっちゃりとした青年だ。
「事件です。詐欺なんです」
まるで要領を得ない。いつも柔和な笑みを浮かべて、おっとりと話す彼には珍しいことだ。どうせ食事の最中だ。聞いてみることにした。
「ボクがいつもお世話になっているエージェントで、末摘花 麗さんって人がいるんです。彼女が突然……結婚するって!」
それがどうした。むしろおめでたいことではないのか。すると、彼は早口でまくしたてる。
「麗さんはちょっと思い込みが激しいところもあるけど、優しくて仕事もできてボクは頭が上がらないっていうか、いやむしろ尻に敷かれるのも……なんでもないです! だから、う、嬉しくて、詳しく話を聞いたんですが……」
薫太は拳を振り上げ熱弁しているが、長くなる上にわかりづらいので簡潔にまとめよう。
1デートの支払いは全部彼女
麗のコメント:だって私が歳上だから(ハート)
2高額な服やファッション用品をおねだりされる
麗のコメント:だって彼、モデルを目指してるから(ハート)
3出会ったその日にプロポーズ
麗のコメント:だって運命だから(ハート)
「だから、殴ってでも止めて欲しいんです」
思いつめたように言う彼の頬にはガーゼが貼られている。視線に気づくと薫太は不格好な笑みを浮かべた。
「ボクなりに相手の怪しい部分とか挙げて説得してみたんですが、怒らせちゃったみたいで。ボクが殴られて彼女が思い直してくれるんなら、いくらでも殴られるんですけどね」
心底悔しそうに彼は言う。
「これでも麗さんに格闘技を習ったりしてるんですけど、駄目ですね。共鳴前の麗さんすら止められなかった。年下なうえに、自分より弱い男に惚れる女性なんていませんよね……」
薫太は25歳。HOPEに入ったのも去年の4月だ。気後れするのも無理はない。しかし彼は決して弱くない。人を守るために必要なのは、腕力ばかりじゃないはずだ。
「協力してくれるんですね! ありがとうございます! ……あの、ボクもついて言っていいですか? 邪魔にならないようにしますから」
どうやら末摘花 麗は悪い夢に捕らわれているらしい。人はそばにある幸せにこそ気づけない、とはいうけれど。――ならば、偽物の『運命』を盛大にぶち壊して、お姫様の眼を覚ましてみるとしよう。
解説
【目的】
麗の無力化と玄二の逮捕
【場所】
リンカー対応のグラウンド
職員が麗と玄二を呼び出した場所。小規模な野球用のグラウンドだが個人でも借りられる。周囲に客席がある。屋根はない。全体的にかなり丈夫。グラウンドに居る限り多少の騒ぎはスポーツの練習中として黙認される。
【人物】
東 薫太(ひがし くんた)
HOPE職員。麗は『尊敬する先輩』らしいが……。少し頼りないが根性は人一倍。麗との特訓の成果か、HOPE所属時より明らかに体が引き締まっている。
末摘花 麗(すえつむはな うらら)
エージェント。魔女のような顔つきで誤解されがちだが、優しい女性。夢見がちな乙女思考。趣味はお菓子作りで家事全般も得意。普段は優秀なエージェント。共鳴前は長身でやせ形、綺麗な長い黒髪。共鳴後の姿は、紫の髪をしたマッチョな麗。AGWはボクシンググローブとブーツ。
筑紫 撫子(つくし なでしこ)
麗の英雄。一言でいうと仲人大好きおばちゃん。麗を甘やかし気味。50歳くらいに見えるが年齢は不明。
【敵】(※以下、プレイヤー情報)
氷上 玄二(ひかみ げんじ)
見た目は王子、中身は結婚詐欺師。結婚した後は、妻の不出来をでっち上げて慰謝料を頂く予定。実は共鳴後の姿である。正体は不明。麗は彼が共鳴後の姿であることに気づいていないし、そんなことは彼女にとって大した問題ではない。武器は拳銃。不法入手したAGWらしい。
六条 幽女(ろくじょう ゆめ)
玄二のビジネスパートナー。どこかに隠れている。支援タイプで、直接攻撃はしない。玄二を逮捕すれば情報を聞き出せるため、今回は無理に逮捕しなくても良い。
【その他】
・説得を始めると、麗と玄二は逃亡を図る。ふたりを止めるために戦闘となる。
・麗は玄二に対して完全に盲目。多少の違和感は無茶な理屈で納得してしまう。拳で語り合い、認めた相手の話は聞くかもしれない。
・麗を味方につけると回復をしてくれる。
マスターより
というわけで、どこかで聞いたような名前の結婚詐欺師です。玄二のことは思いっきり攻撃して平気です。倒すことはそう難しくありませんし、共鳴さえ解ければ簡単に逮捕できるでしょう。ただし、麗が黙っちゃいないので注意です。薫太には特別、護衛などは要りません。よろしければ気合の入る一言でも言ってあげてください。
戦闘は避けられませんが、戦いながらでも麗の心を動かすような説得なり行動なりがあれば、戦いはかなり有利なものとなるでしょう。最大のキーは麗の心です。
参加受付中 プレイング締切日時 2016/07/16 15:00
参加にはSC1,000が必要です。
掲示板
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依頼前の挨拶スレッド
最終発言