本部
- 形態
- ショートEX
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,500
- 参加人数
-
- 能力者
- 6人 / 4~6人
- 英雄
- 6人 / 0~6人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/06/01 07:30
- 完成予定
- 2016/06/12 07:30
このシナリオは2日間納期が延長されています。
掲示板
-
【相談】雛鳥の在るべき場所
最終発言2016/05/31 12:49:38 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/05/30 21:03:16
オープニング
●斗鶏
彼女が生まれた、そのとき。
母親は彼女を殺そうとした。
彼女と同じ姿形をした、でも彼女の何倍も大きく強い母親。このまま喰われて死ぬのだろうと彼女は思いながら――母親の首筋に飛びつき、やわらかな喉を喰い破った。
……彼女の頭に残された記憶はこれだけ。母親の姿も自分の姿も思い出せやしないが、母親は自分が生きるために彼女を喰おうとしたんだろうし、自分は生きるために母親を殺した。それだけのことだったと彼女は思う。
ここからは、失われた記憶の話。
それからずっと、誰かを殺してきた。誰もが彼女を喰おうと襲ってきたし、彼女もまた生きるためには殺し、喰らう必要があったからだ。
生きたいから喰う。
生きたいから殺す。
喰う。殺す。喰う。殺す。喰う、殺す、喰う、殺す、喰う殺す喰う殺す喰殺喰殺――
延々と繰り返す中、彼女は思うようになる。
「なんで“あし”、いきたい?」
ずいぶん長いこと考えたが、答はまるで得られなかった。そして。
気がつけば不可思議な場所にいた。
目の前には、大きな者に固そうなもので殴られて転がる小さな者。
小さな者は大きな者に体のあちこちを壊されながら、それでも大きな者の隙をうかがっていた。その眼はまるで――のような――
『しにたくない?』
思わずかけてしまった、声。
小さな者はぎらつく眼をこちらに向けて。
――死にたくない。
すぐに返ってきた返事。
彼女はうれしくなって、また訊いてみた。
『いきる?』
――生きる。
同じ意志を持つ者同士、彼女と小さな者は「いっしょに生きる」ことを誓い合い。
それを阻害する大きな者たちを殺した。
●眠り姫
屠宰鶏を殺しに来たはずの者たちは、なぜか屠宰鶏を殺すことなく捕まえた。
「シアワセニイキテ」
そんなわけのわからないことを言いながら。
果たして屠宰鶏は、白くて臭い建物の中に運び込まれて。
ずっと眠り続けている。
『ジィ、ねてる? あかるい、くらい、あかるい、くらい……あかるいよ』
彼女――屠宰鶏の契約英雄である斗鶏は、屠宰鶏の首にかけられた幻想蝶の内から屠宰鶏に呼びかけた。
もう何日も何日も起こそうとしているのに、屠宰鶏の意識は深い場所に沈み込んだままだ。
『ジィ、いきる。あし、いきる。ヤクソクしたよ』
もしかしたら、屠宰鶏はもう、生きていたくなくなったのではないか?
怖かった。怖くて怖くて、たまらなかった。
いっしょに生きると約束した屠宰鶏が死ぬ。もしそうなったら、取り残された自分は――
斗鶏は幻想蝶から飛び出し、ベッドに横たわった屠宰鶏の傍らに立った。
それから小さな手でベッドによじのぼり、ほっぺたを何度も叩くが。
屠宰鶏は目覚めない。
どうしよう。このまま寝ていたら屠宰鶏は死んでしまう。喰らわなければ、生き物は生きていられない。弱者が飢えて死んでいく様を、斗鶏は何度となく見てきた。
すぐにでもなにか喰らわせなければ! でも、起きられないくらい弱っているのだろう屠宰鶏は、きっと普通のものは食べられないし、食べたくもないはず。
「ジィ、おきるモノ、たべるモノ、なんだ?」
斗鶏は小さな頭で必死に考えて、思いついた。
あの「アマイモノ」をあげたらどうだろう?
「アマイモノ、あし、キライだけど」
だって、「アマイモノ」は彼女の殺す気持ちを鈍らせるから。でも。
「ジィ、きっと、スキ。おきる!」
斗鶏は相棒の体にたくさん刺さった管――それは眠っている屠宰鶏を生かす栄養を送り込むものだと聞かされていたが、「喰らう」という行為を穢す悪いものに見えた――を全部引き抜いてベッドから飛び降り、駆け出した。
アマイモノ。アマイモノ。アマイモノ。
いったい誰を殺せば手に入る?
●遊園地のシャモ
『斗鶏ちゃんが病院から出て行ったの!』
エージェントたちの通信機器から、いつになく切迫した礼元堂深澪(az0016)の声が飛び出した。
エージェントの手で保護された屠宰鶏は、都内にあるリンカー専用の病院で治療を受けている。斗鶏もそのそばにいたはずだが……。
『今、病院の近くにある遊園地にいるみたい。近くにいる人、迎えに行ってあげて――』
深澪の言葉が途切れた。言えなかったのだろう。あの子が誰かを殺しちゃう前に。とは。
生きるために殺す。それしか知らない子どもが、遊園地にいる。リンクしていない以上はチェーンソーも使えまいが、一般人を殺すことなどたやすいことのはずだ。
『どうして出てっちゃったのか、ボクにはわかんないけど……。きっと屠宰鶏ちゃんのこと心配だからだと思うんだ。あの子、保護されてからずっと眠ってるから』
なぜ目を覚まさないのかは、医者にもわからないという。医学的には、彼女が眠っていなければならない理由はないからだ。
脳、神経、内臓、筋肉、骨、すべてが正常。なのに彼女は眠る続けている。まるでそう、起きるということから逃げているかのように。
――考えるのは後だ。今は斗鶏を捕まえなければ。
遊園地に駆け込んだエージェントたちが視線を巡らせた。
騒ぎを探せば、その中心にきっと斗鶏がいる……!
かくしてエージェントたちは、日中に2回行われるマスコットキャラクターたちのパレードが停止し、ざわついているのを発見した。
駆けつけてみれば、黒い布袋をかぶっただけの小さな子どもが、尖った石を握ってわめいている。
「アマイモノ、だせ!!」
ライヴスのにおいを嗅ぎ取ったか、彼女はこちらを振り返り、ものすごい形相で襲いかかってきた――
解説
●依頼
1.遊園地にいる斗鶏を保護してください。
2.「生きるために殺す(喰らう)」、「屠宰鶏といっしょに生きる」ことしか考えられずにいる斗鶏に、「生きることの楽しさ」や「これから屠宰鶏とどう生きていけばいいか」などを教えてあげてください。
3.斗鶏を屠宰鶏の病室まで送り届けてあげてください。
●状況
・斗鶏がみなさんに襲いかかってくるシーンから描写が開始されます。
・遊園地にあるだろうアトラクションや設備は自由に使用可。
・遊園地にはHOPEから連絡がいっていますので、食べ物やグッズ等はある程度無償で入手できます。
●斗鶏
・3歳児相当の見かけと理解力、身体能力を有するものとします。
・とがった石を使える程度の筋力しかありません。
・最初は捕まっても逃げだそうとします。
・みなさんを敵だと認識しているため、いきなり説得しようとしても耳を貸しません(屠宰鶏の名前をうまく使うなど工夫してください。ただし「屠宰鶏に頼まれた」は一発アウトです)。
・「生きるために殺す」、「生きるために喰らう」、現状はこのふたつの理屈だけで動いています。
・警戒心が解けないうちは、笑いかけられる=歯を剥いて威嚇されている、と判断します。
・屠宰鶏が死に、独り取り残されてしまうことをなによりも恐れています。
・どう生きていけばいいかわからずにいます。
・子どもが「楽しい」と感じるようなことはなにも知りません。
・黒い貫頭衣のようなものを着ており、周囲から激しく浮いています。
・暗いところは苦手です(視界が塞がれると捕食される危険性が高まるため)。
・説得ができなかった場合、彼女は目覚めないままの屠宰鶏とリンクして主導権を握り、姿を消します。
マスターより
みなさまはじめまして。電気石八生(でんきいし はちお)と申します。
こちら、『龍城』シリーズ番外編の2、今度こそラストの残りフラグ回収シナリオとなっております。
取り残される恐怖に突き動かされ、独り戦い続ける斗鶏をみなさまのあたたかなパンチラインで救っていただけましたらば幸いです。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2016/06/07 16:05
参加者
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最終発言2016/05/31 12:49:38 -
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最終発言2016/05/30 21:03:16