本部
- 形態
- ショートEX
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,500
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/05/20 09:00
- 完成予定
- 2016/05/31 09:00
このシナリオは2日間納期が延長されています。
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/05/19 01:27:14 -
質問卓
最終発言2016/05/16 19:40:54 -
相談卓
最終発言2016/05/19 23:42:23
オープニング
●勝利の終わりは世界の終わり
「む」
吹き抜ける風を指でひとすじすくい取り、老女は皺のただ中に沈む両眼をしばたたかせた。
「これは……?」
「どうした、婆様?」
彼女の孫であり、この村の長でもある男が彼女に問う。
「風が運んできおったわ。戯れ言をの」
戯れ言とは、預言者である彼女にのみ聞こえる神言である。
もちろん、神言といっても神の言葉かどうかはわからない。老女がキャッチするのはまさにどうでもいいような戯れ言ばかりだし、相手は一度だって神と名乗ったこともないからだ。
「また、くっだらねぇ愚痴じゃねぇのか? ありゃ解読に7日もかかったんだぞ……」
普通に「退屈であくび出た」と言えばいいところを「青白き淵の縁にて、我が喉奥を突き上げししどけなき古狼の牙数を見て取るがごとき心情」とか言う奴だし。
「まあ待て。今日のは久々にまともなお告げのようじゃ。翻訳してお伝えするからの」
老女は唐突に、アメリカ産通販番組の女性アシスタントみたいにフレンドリーなアルトボイスで語りだした。
「Hi、ババァ元気? アタシよア・タ・シ。今日はババァにすてきな「勝利」のこと教えちゃいたくって念話したの」
「翻訳してくれるのはいいんだけどよ、もうちょい普通でも」
「そんなことより「勝利」の話よねっ!? OKババァ、よーく聞いてちょうだい」
この後およそ3分もったいつけて、「アタシ」はようやく語り始めた。
「淡い緑の聖骸布にくるまって眠る明るい肌の骸の代わりに、金色の勝利が見つかるわ」
「最初に勝利を手にする“愚者”は狭間に向かうわ。赤い悲鳴をあげながら生み捨て続けるためにね」
「次に勝利を手にするのは、ゲロ成分が混じった芳醇な汁を精製する“錬金術師”」
「3番めは、みんなが困ったときだけ頼りたい、ちょっぴり悲しい“騎士”ね」
「4番めは“蝙蝠”よ。公とか私とかの板挟みでおつかれだけど……同情しないわ。だってアタシ、もっとおつかれなんですもの!」
「最後は“蝙蝠”と関係アリの無邪気な“聖魔”。――あらタイヘン。彼は「勝利」をぽっきり&サヨナラしちゃうみたい。その前になんとかしないと、この世界がぽっきり&サヨナラですって! ウ~ップス、アタシ困っちゃう」
と。ここで老女は素に戻った。
「念話が切れた。この「勝利」とやら、戯れ言の主が解決できる問題ではないようじゃな」
告げられた謎を整理すれば、この村で「勝利」が見つかり、それはどうやら4人の手を経て“聖魔”に渡り――ぽっきり&サヨナラして世界もぽっきり&サヨナラする。いや、大変な事態らしいことはわかるのだが……。
「だからって、俺らにだってどうしようもねぇよ。なにがなんだかわからねぇんだから」
「黙っておっても「勝利」は見つかるじゃろう。だとすれば、それを手にする者どもを追いかけるのがよかろうな。それを、なにがあっても対処できる力を持つ者に任せるんじゃ」
「そんな都合のいい奴がいるもんかね?」
村長が首を傾げたそのころ。
収穫したトウモロコシの皮むきをしていたおじさんが、奇妙なものを発見した。
細かな彫刻が施された金色の棒。いじっているうち、それが短剣だとわかった。
「刃まで金色たぁ趣味悪ぃな。成金さんの宝探しごっこ用かね」
おじさんは短剣を横に置き、皮むき作業に戻った。
今日中にトウモロコシの粒をバラして乾燥機にかけてしまわないと。なのにまあ、よりによって宝探しごっこのネタをしこまれるなんてツイてない。いや、そんなことより、今日は朝からどうにも調子が悪い。このまま耐えていたら、パンツにツイちまう……。
おじさんがそっと腹を押さえた、そのころ。
そのへんの木をかっこよく削って作った木剣を手に、彼は言った。
「これはあそびじゃねい! シュギョーだ!」
――数ヶ月前。テレビ番組のインタビューで、日本の空手マンは言った。
『空手のパンチには人を殺す力がある』
それを聞いた彼は考えたのだ。
空手に剣握れば、人、殺せるんじゃね?
それは彼の半生における最大の悟りであり、天啓だった。こういうのを受信してしまうのはまあ、一族の血ってやつかもしれない。
その日から彼は、剣の修行という名目で仲間たちと日々「かっこよく斬る練習」と「美しく散る練習」に明け暮れている。
「オレのイカリとかナミダがやいばをぬらす! カラテけん・ひしょーすいざんぎり!!」
「このたたかいがおわったらヲレわ、ヲレわあああああ! のうないかのじょのエレナ、すまぬ……ガクっ」
「をのれぃ、よくもともをぉぉぉ! ボクのひだりうでが、ううう、もう、おさえきれないーっ」
と、こんな感じで。
そんな彼がこの後、禁忌のブツを手に入れる――!
●HOPEブリーフィングルーム
「ペルーからSOSだよぉ」
礼元堂深澪(az0016)が、いつもの調子でゆるっと告げた。
「神様のお告げがあってぇ、世界がぽっきり&サヨナラする前に5人のキーパーソンのこと見つけて「勝利」を救え! だってぇ。なんだろね、これ?」
世界の危機っぽいが、どうにも緊張感が醸し出されないのはなぜだろう。
「あのへんインカ支部の管轄なんだけどぉ、例の「生命の樹の短剣」のことでいっぱいいっぱいみたい」
それでこちらに案件が回されてきたわけだ。
「そういうわけで、みんなよろしく! ボクはオペレーションルームで情報の解析とかしながらみんなのサポートするよぉ~。なにかわかったらすぐ連絡するからねぇ」
深澪はぴこぴこ手を振った。
「――あ、現場の村の預言者さんから追伸だってぇ。『今日と明日、村の天気は晴天よ。とってもロマンチックな星空が見れちゃうわ。シャイボーイ諸君! トレンディ・チャンス、見逃さないで』」
預言じゃなくて予報だし。
トレンディってわけわからないし。
謎を胸に抱いたまま、エージェントたちは謎が待つ農村へと向かったのだった。
解説
●依頼
ペルーの農村へ向かい、5人のキーパーソンをたどって「勝利」を回収してください。
●キーパーソンとルール
・ひとりめのキーパーソンは農家のおじさん。彼がどこにいるかを当ててください。
・2~5人めのキーパーソンは、村長、乾物屋の嫁、警察官、6歳の男の子、茶屋の店主、花屋の娘、酒屋のバイト、旅の外国人のいずれかです。オープニングの情報を元に当ててください。
・5人めまでをお告げの順番どおりに探していってください(順番についてはチームで意見を統一してください)。これを破ると「アタシ」の呪いで大変なことになります。
・まちがった人をキーパーソン認定した場合、彼らは事を荒立てようとしますので、騒がれないよう迅速に口封じをしてください(この行為は「アタシ」の呪いを招きません)。また、口封じ後は何事もなかったかのように次のキーパーソン探しが始まります。
・5人めのキーパーソンは、友だちと「シュギョー(オープニング参照)」という名のちゃんばらごっこを始めます。みなさんは態度のでかい彼になんとか取り入って「敵役」となり、「シュギョー」をドラマチックに展開、終了させてあげてください。
●備考
・「勝利」は“生命の樹の短剣”の1本、「ネツァク(勝利)」です。
・ネツァクで斬られると、その不思議パワーによってキャラクターが死亡します(あなたが「斬られて死ぬ」と明言しないかぎり、絶対に斬られません)。
・AGWで素人の振り回すネツァクを受け止めると、ぽっきり&サヨナラする危険性があります。
マスターより
みなさまはじめまして。電気石八生(でんきいし はちお)と申します。
こちら、次回の大規模作戦【神月】へと繋がる事前連動シナリオの1本で、シリアスの中に穿たれた1点のコメディとなっております。
「勝利」の短剣と世界をぽっきり&サヨナラから救うため、命を賭けたちゃんばらごっこにのぞんでいただけましたらば幸いです。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2016/05/24 17:47
参加者
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依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/05/19 01:27:14 -
質問卓
最終発言2016/05/16 19:40:54 -
相談卓
最終発言2016/05/19 23:42:23