本部
観たかった物。
- 形態
- ショートEX
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,500
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 5~10人
- 英雄
- 10人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/05/22 09:00
- 完成予定
- 2016/05/31 09:00
掲示板
-
相談卓
最終発言2016/05/22 03:19:12 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/05/18 09:25:41
オープニング
●
本当ならオペレーターとしての勤務は既に終えているはずだった。
毎日のようにエージェントと顔を合わせ、任務の伝達や救援物資の手配をしている。坂山はオペレーターの葉山の長期休暇の合間を縫う代行としてその仕事を担っている。
一昨日葉山から不遇な連絡があったのだ。彼女は病に倒れ、今は病院で休んでいる。一週間程度の合間が一ヵ月に長引いてしまったのだが、坂山は毅然とした態度を保っていた。
一つだけ彼女には気になる事があった。以前彼女が関わった事件に関する事だ。その事件はアミューズメントパークを愚神と従魔が討伐し、エージェントが無事にどちらもを撃破した事件だった。
ところがエージェントの一人の身におかしな出来事が起きたのだ。
「あの時の愚神はまだ生きている、かもしれない」
口走ったのは坂山だった。休憩時、隣に座る彼女の英雄に向けて言ったものだった。
「でもしっかりと倒したって報告はあったよ。それでもまだ疑うの」
「エージェントの皆は、倒した幻覚を見せられていた、としたらどう?」
幻覚技を使われた形跡はなかった。その時エージェント達は愚神と剣で戦っていたというだけで、特殊攻撃のような物は使ってこなかったのだ。
だが後になって、幻覚技を愚神が所持している事がわかった。任務終了後、エージェントの一人が幻覚の作用を受けたからだ。
とはいえその作用が愚神による物なのかははっきりしていない。「かもしれない」と語尾につけたのは、まだ可能性の一つに過ぎないせいだ。
「相手は頭のキレる奴よ。人間を騙せる頭脳を持つ愚神。自分の死さえ騙す事は出来たんじゃないかしら」
「だとしたら結構すごい事やってる愚神だよ。早い内に捕まえてやんないと!」
「そうね。どうやって見つければいいのか、分からないけどね」
不意に話に見切りがついた。愚神を逃してしまったかもしれない、という責任感の問われる話題を容易く切っていいものかと坂山は悩んだが、これ以上どう展開すればいいのか不明瞭なまま続けても意味は成さないだろう。
しかし、胸の内にしまわれた暗雲のような気持ち。何か言おうとして、やめる――坂山はそれを三回くらい続けた。自分のデスクにつくまで。
でも……。なんで……。いやいや、そんな事は……。
「やっぱり――」
椅子に座って、ようやく言葉に出せた時、その声は近くにある固定通信機の音に掻き消された。
「こちらH.O.P.E、一体どうされましたか」
「助けてくれ! 従魔が俺達を殺そうと近寄ってくるんだ!」
通信の向こうの男はパニックに陥っていた。
「落ち着いて。今あなたは何処にいますか?」
「R市RT中央病院の、えーっと東棟だ! 早く助けてくれ、従魔が俺達を殺そうとする!」
「え? RT中央病院、ですって?」
「そうだよ。早くしないと!」
「わ、分かりました。分かりました……。急いでエージェントを向かわせます。それまで、絶対に従魔と戦おうとしない事。そして何よりも自分の命を優先にまず、逃げる事。いいですね?」
通話は終わり、切られてから英雄のノボルは坂山に、一体なぜそんなに焦っているのか尋ねた。
「葉山さんがいる所だからよ。急いでエージェントを呼ばないと」
「落ち着いて。従魔だけなら、そんなに大した事じゃないから――」
またぞろ通信だ。急ぐ気持ちを抑え、ノボルに手を握られながら坂山は通信を取った。
「こちらH.O.P.Eです、どうなさいましたか」
「RT中央病院の者ですが、患者が、従魔が従魔がと騒いで仕方がないんです。従魔はどこにもいないというのに」
「え?」
あやうく、自分がパニックになる所であった。
「従魔がいないのに、患者の皆さんが従魔がいると騒いでいるのです。挙句の果てには、我々医師や看護師の事を従魔だと言って逃げています。おそらく集団催眠か集団幻覚による物だと思いますが……念のため、確認していただいてもいいですか。ご迷惑をおかけしますが――」
「分かりました。至急向かわせます」
「すみませんね。一応我々の方でも病院内にたとえば――薬物か不審物がないか確認しておきますから」
患者は従魔がいると電話してきた。
医師は従魔はいないと電話してきた。ついでに、集団催眠か幻覚による物だと言葉を付け加えた。
幻覚……。
「調べないといけないわね。この事件は」
「そうだね。きっとただの集団催眠って言葉では終わらせられないよ。やっぱりじゃあ、母さんの勘は……」
「昔からそう。悪い事の予想だけ当たるのよ。最悪な事にね。さあ、このややこしい事件をまとめるわよ。エージェント達に分かりやすく伝えるために」
坂山はすぐにエージェントに招集をかけた。
●
東棟は今、まさに混沌としていた。葉山はその中で、とにかく患者達をまとめるために一役買っていた。
「大丈夫、大丈夫です。皆さん私の後についてきてください」
患者の群れを引き連れて、従魔と離れた場所に誘導していた。広めの病室に籠城し、扉前にベッドや様々な器具を設置して開けられないようにして、窓からは離れるよう指示も忘れなかった。
――あなたはH.O.P.E通信士だったみたいですね。
患者たちを全員座らせ、言葉も喋らせないように静かにしていた。後はエージェント達を待つだけだ。
――あの事件の時、私も丁度あのアミューズメントパークにいましてね。あなたの活躍を見ていたんですよ。
ただただ静かに……。
――おや、その傷はもしかしてあの時の。
脳裏から繰り返される言葉が、もしや……という言葉を生み出していた。もしや、の先に続く言葉は坂山の予想と似ている。
あの愚神は生きているのかもしれない。
そこから先に続く言葉は坂山とは違った。
あの愚神が従魔達をここに呼び寄せたのかもしれない。
「大丈夫よ……」
一つだけ葉山には気掛かりな事があった。彼女の家族は今日、病院にお見舞いにきているのだ。飲み物を買ってくるといったきりだから、不安感を募らせるのだ。
解説
●目的
病院内の調査。患者達に付きまとう幻覚の排除と保護。
●一体何が?
「最後にあなた達と、」で倒されたはずだった愚神が生存しており、RT病院に潜入。その最中、患者一人一人に幻覚作用を及ぼす行動を取った。(その行動については下記にあります)
全ての患者に幻覚を起こし、患者以外の全員の姿を従魔に見せるようにして、混乱を巻き起こす。
●愚神について
名称「ボリン」
頭脳的に行動する愚神だが、回避命中共に優秀。二本の刀とトラップによる攻撃をする。主に幻覚による攻撃を得意としており、刀やトラップで対象を傷つけ、幻覚を引き起こす。病院内には至る所にトラップがあるが、トラップに引っかかっても気づく事はないだろう。気づかないうちに幻覚を引き起こすのだから。
主に人間同士を戦わせる事で自分は何もせず人間たちからライブスを吸収する事を目的として、事件を起こした。
●患者の行動
医者やリンカーから逃げ回る。他に、物を投げてくるなど攻撃的な患者も多数いる。
葉山を筆頭として逃げていた患者達はよほどの事がない限り籠城を続ける。外部からの接触は一切立つ姿勢を見せる。
●本物の従魔の登場
エージェントが病院に辿り着くのを見た愚神は本物の従魔を東棟の窓から招く。急いで患者達を避難させる必要があるが、エージェントも今では従魔に映る彼らをどう避難させよう?
●その他情報
患者数:302人。籠城組は30人。
従魔数:50匹。
●病院について
敷地内には東、中央、西と三つの四角形の建物がある。中央は主に一般的な内科病院の形を取り、東はメンタルクリニック用、西は外科、整形手術等をする時に用いられる。
事件は東で発生しており、医師達の判断で東と中央を繋ぐ廊下は頑丈なシャッターで閉じられており、東棟以外に被害はない。
また、東棟は十階建てで、一、二階が診察室。三階以降が病室となる。給油室、待合室、テレビが各階に置かれる。
マスターより
「最後にあなた達と、」のシナリオは最後の最後になって全てが濁って終わりました。今回のシナリオはその続編となります。
もしも今見ている物の一部が幻覚だとしたら、と考えるとかなり困惑してしまいます。今見ている物、もしかしたら全て幻覚かもしれないのです。
夢とはまた違う、不思議な世界にいながら誤った視覚情報が送られてきている。今見ている物が絶対的に間違いではないと知るためには、別の視覚を見ないといけないのですが、絶対にできません。
幻覚も場合によっては不幸ではない。知らぬが仏のようなものです。
結末を読み終わると自然と、この四行程度の言葉は分かります。
それでは任務の方、よろしくお願いします。
リプレイ公開中 納品日時 2016/05/27 19:17
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相談卓
最終発言2016/05/22 03:19:12 -
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最終発言2016/05/18 09:25:41