本部
逃亡者を庇護せよ
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 9人 / 5~10人
- 英雄
- 9人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/04/26 22:00
- 完成予定
- 2016/05/05 22:00
掲示板
-
【相談卓】
最終発言2016/04/26 02:34:26 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/04/25 22:51:13
オープニング
降りかかる全ての事は、運命だから仕方がないことだ。
自分が、シーカの最高幹部に指名されたことも仕方がない。
たった一人の身よりである祖父が亡くなったことも仕方がない。
自分が、祖父の友人に命を狙われることも仕方がない。
それでも、人にはそれぞれ崇高な義務がある。
……祖父が生前に、よく言っていた。
●
シャーム共和国は、東地中海に面した国である。
気候は地域によって差があり、南部に行けば肥沃な土地もあるが、中心部になるほどに乾燥が激しく砂漠の国となる。それでも、シャーム共和国が豊かなのは石油資源にも恵まれたおかげであろう。そんな国のとある町で、少女はふらふらと歩いていた。
少女エステルは、空腹だった。
祖父の友人フランツに追われる彼女は、もう一日以上なにも食べてはいない。エステルを育てた祖父ヤーセルはシーカの最高幹部らしい厳格な人間であったが、育ち盛りの彼女の食事を抜くような人物ではなかった。屋敷にいた使用人達も、エステルに美味しい食事を作ってくれていた。
今は、もうみんないない。
祖父ヤーセルは死に、屋敷の人間たちも皆殺しにされた。確たる証拠はないが、弱冠十三歳のエステルは自分の周りで起こった死の原因が自分の後見になるはずのフランツにあると感じとっていた。
「あ……シャワルマ」
羊肉とスパイスの香りが、鼻孔をくすぐる。二重のうす焼きの生地に肉を包んだ料理の香りは、空腹を猛烈に刺激する。
「きゅるるる」と恥ずかしいぐらいに、エステルの腹は鳴った。大通りにあるにしては、シャワルマを出す店は客が少なそうに見えた。昼時の時間にしては少し遅いためかもしれない。だが、店に入るにしても先立つものをエステルは持っていなかった。
――私が持ち出せたのは……シーカのメンバーの『証』とおじい様から頂いた『宣誓の書』だけ。お金なんて、ぜんぜんない。
『腹がへったのか?』
わびしい気持ちのエステルに声をかけたのは、一日前に契約したばかりの英雄であった。使用人達の血に染まった屋敷の中で、愚神に殺されそうになったエステルを助けた女性の英雄。フランツが差し向けたと思われる愚神の間の手からエステルを守った彼女は、無表情で考え込む。エステルを守ると誓った英雄アルメイヤは、なんの前触れもなく店の硝子を鞘に入れたままの剣で割った。
「なっ、なにをしているのですか!」
『忘れたのか、主よ。あなたは「我々はシーカ。混沌の敵たる堕落と衰退を討つ刃」と宣言し、私は「ならば誓う。私は刃也。あらゆる災禍より主を守る刀なり」と答え誓約を結んだ。その空腹からも、私はあなたを守りとおす』
エステルを助け出したアルメイヤは、全ての記憶を失っていた。アルメイヤという名さえ、エステルが付けたほどだ。そして、アルメイヤは恐ろしいことに善悪の基準さえも持ちあわせていなかった。
「駄目です! アルメイヤ、持たざる者から奪ってはなりません!! 絶対に!」
エステルの叫びに、アルメイヤは素直に従った。ほっとするエステルであったが、店の奥からガタイの良い男たちが出てくる。
「お譲さんたち、なにやってくれてんだよ。ここは俺たちが出資してる店だぜ。俺たち、アンタらのことシメなきゃなんねぇだろうがっ!!」
「ごめんなさい! べっ、弁償は後日かならずします。お願いです、許して下さい」
「あんたみたいなチビじゃなくて、こっちの姉ちゃんに言ってんだよ!」
「きゃっ!」
男は、エステルを乱暴に押しのけた。小さなエステルはその衝撃で路上に転がり、地面に落ちていた硝子の破片で切ってしまった。
エステルの指を伝う血を見た瞬間に、アルメイヤは男たちを敵であると認識した。
●
「だれか、HOPEに連絡しろ!」
野次馬の一人が叫ぶ。
エステルと共鳴したアルメイヤはあっという間にギャングたちを倒し、通報を受けた警官たちすらも敵に回して立ちまわっていた。
(……ダメ。アルメイヤ、やめてください)
「やった、警官があの女の武器を折ったぞ!」
「いや……見ろよ」
(おねがい……アルメイヤ、やめて)
野次馬が、アルメイヤの頭上を指さす。何もないはずの空間から、彼女は先ほど折れたはずの剣と全く同様のものを取り出した。
「止めだ」
アルメイヤの頭上に大量の剣の複製品が現れ、警官達を狙っていた。
(私は、戦いたくはないの!!)
解説
・店の前で大暴れしている女性リンカーの確保
シャワルマ店の前……人通りが多いが、野次馬が集まっている状態。大通りのために道は広いが、ほとんどの面積が自動車用の道路であり歩道の幅は人三人分程度。現在、交戦していない警察によって野次馬の避難と車の交通止めがおこなわれ始めている。
シャワルマ店……アルメイヤがギャングや警官と暴れたために、ほぼ半壊状態。椅子やテーブル、調理器具などがいたるところに散らばっている。
ギャング……五名出現。目覚める気配もなく、店の中で気絶している。
交戦している警官……五名出現、全員がリンカー。自力で歩ける程度には負傷している。(PL情報――リプレイは、警官たちにアルメイヤが攻撃を仕掛けようとするところから始まります)
・アルメイヤ……長身美女の英雄。かなり戦いなれており、武器は細身の剣。折れても代用品を空中から召喚が可能。PLに囲まれたり、遠距離からの攻撃を受けた際には大量の模造品を召喚して照射する。剣戟は正確無比であり、相手の急所(喉や目)などを集中的に狙ってくる傾向がある。しかし、掃射に関しては命中率が悪く、数撃ち当るの状態。アステルに忠義を誓っており、彼女を守るためならば何でもする。
・エステル……とある理由から、逃亡している少女。リンカーとしての経験は浅く、共鳴しているとアルメイヤの行動に関与できない。(PL情報……アルメイヤを戦闘不能にすると、共鳴が切れる)
マスターより
こんにちは、落花生です。
シャーム共和国は架空の国ですが、シャワルマは本物の食べ物です。ケバブのピタパンの代わりに、クレープみたいな二枚の生地で肉を巻くそうです。写真で見る限りは、ケバブより肉比率が多そうでした。
リプレイ公開中 納品日時 2016/05/05 18:31
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最終発言2016/04/26 02:34:26 -
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最終発言2016/04/25 22:51:13