本部
いつだって狐は美人にしか化けない
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 6~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 6日
- 締切
- 2016/02/03 15:00
- 完成予定
- 2016/02/12 15:00
掲示板
-
シナリオ相談
最終発言2016/01/31 07:09:35 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/02/02 23:27:07
オープニング
●栃木県那須市湯本・某旅館『女湯』
「んーっ……!」
詰まった様な呻きを漏らし、イルミア・フローレント(az0015hero001)は露天風呂の中で思いっきり全身を伸ばす。
「くはぁ……!」
そして、限界まで伸ばした体から一息に力を抜く。急速に弛緩した筋肉へ温もりが一気に染み渡り、イルミアの全身をジンジンとする快感が包む。
「ふあぁ……」
イルミアは満ち足りた様に溜息を吐き、力の抜けた体をそのまま湯の中に揺蕩わせた。
「ふふっ……イルミアさん、気持ちよさそう」
常になくリラックスした様子のイルミアに、隣で湯に浸かる潤巳リナが小さく笑って言う。
「んー……最近、大きな作戦が続いたからね」
生駒山で行われた一連の作戦はどれも困難を極め、命の危険を感じた事も一度や二度ではない。いつも元気なイルミアだが、激戦による疲労は少なくない。
この温泉へ休養に来たのも、それを気遣ったリナの発案によるものだ。
「HOPEのお仕事って、やっぱり大変なんだ」
「そうね、愚神や従魔はどんどん強くなるし……」
「ちょっと、心配だな……」
「でも、大丈夫よ。アキラと二人なら、どんな困難でも乗り越えてみせるわ」
「う、ん……そうだよね」
リナは少し複雑な面持ち頷く。イルミアの言葉からは、アキラに対する強い信頼が感じられた。それは、良い事なのだろう。けれど、イルミアとアキラの心が、幼い頃からずっと一緒だった自分よりも近くなってゆく事に、リナの心は僅かに曇る。
(やっぱり、能力者と英雄の絆って、唯の幼なじみよりも強いのかな……?)
「そうだな、俺とイルミアなら、どんな困難でも乗り越えられるよ」
表情を曇らせるリナとは対照的に、和波アキラ(az0015)はイルミアの言葉に力強く応えた。
「……え?」
一瞬の沈黙の後、リナの動揺した声。
「調子に乗っちゃ駄目よ。ニンフェットの時なんか、危なかったわ」
だが、イルミアはそれに気づかず、アキラを軽く窘める。
「実際あの時は……」
「……ちょ、ちょと待って! 何でアキラ君が居るの!?」
「……え?」
驚きの声を上げるリナに、イルミアがきょとんとした声を上げる。
「だって……ここ女湯だよ!?」
「えっ……あっ!?」
イルミアは慌てて声がした方を見る。見慣れた顔がこちらを見ていた。その顔は、間違いなくイルミアが契約する能力者、和波アキラのものだ。
イルミアは一瞬呆気にとられ、それからハッとして自分の体を見る……風呂なのだから、当然裸だ。
「なっ!? なぁっ……!?」
イルミアはバチャバチャとお湯を跳ね上げ、アキラの視線から慌てて自分の体を隠す。
「どうしたの、イルミア?」
その様子を、アキラは不思議そうな顔で見つめた――。
●『男湯』脱衣所
「はぁ……気持ちよかったな」
風呂から上がりの体をリクライニングチェアに横たえ、アキラはのんびりと呟く。
「たまには……こういうのもいいな……」
湯上がりの気怠さに、アキラの瞼が緩やかに落ちようとしたその時、ドタドタというけたたましい足音が脱衣所に響く。
「……なんだ?」
不審に思ったアキラが目を開くと、そこには見慣れた顔。
「イルミア!?」
何故かすごい形相をしたイルミアが、一直線にアキラの方へ向かってくる。
「お前……ここは男湯だぞ!?」
イルミアはアキラの問いには答えず、彼を睨み付けた。
「アキラ……」
「う、うん……?」
その気迫に押され、アキラが思わず身を引いた瞬間――。
「おわぁ!?」
イルミアの突き出した煌銀の槍が、アキラの頬を掠めリクライニングチェアに突き刺さった。
「あ、危ない……何すんだ、イルミア!」
「あんな大胆な事をしておいて、白っばくれるつもり!?」
イルミアは引き戻した槍をくるりと返し、柄をアキラの頭に向けて振り下ろす。
「ちょ……!?」
一応手加減はしている様で、何時もより攻撃速度は遅い。アキラはチェアから転がり落ち、何とかその一撃を躱した。
「ま、待てよ、イルミア!」
「待てないわよ! 乙女の素肌を見ておいて……万死に値するわ!」
「な、何のことだ?」
「女湯に入ってきたじゃない!」
「女湯!?」
「そうよ!」
そんな覚えはない。だが、イルミアは話を聞いてくれそうになかった。再び槍の柄が振り上げられ――。
「濡れ衣だ!」
「待ちなさい!」
アキラは素早く跳ね起きると、それが振り下ろされるより先に、脱兎の如く脱衣所を飛び出す。イルミアもそれを追う。
だが、追跡劇とはならなかった。脱衣所を飛び出したアキラは、すぐに近くに居た女性と衝突する。
「うわっ!?」
「きゃっ!」
彼女を巻き込んで転倒するアキラ。
「す、すみま……せん!?」
慌てて起き上がり、アキラは女性に謝罪する。だが、女性の顔を見た瞬間、アキラの言葉が止まった。
「イル……ミア?」
女性の顔は、まさに今彼を追いかけてくるイルミアのものだ。混乱し、硬直するアキラの背後から、もう一人イルミアが現れる。
「逃がさないわよ! 絶対に許さな……って、え?」
だが、彼女もまた、アキラと共に床に転がる女性の顔を見て動きを止めた。
「え……私? えっ? えっ?」
「どういう……事だ?」
硬直する二人を前に、床に転がった方のイルミア(?)はクスリと小さく笑い、両腕をアキラの首に回す。
「アキラったら、大胆ね……」
「大胆って……え? なに? 何のこと?」
想像を超えた事態に混乱するアキラ。
「こんな所で押し倒すなんて……二人っきりになるまで、待てなかったの?」
そう言うと、イルミア(?)は首に絡めた腕を引き寄せ、彼の唇に自分の唇を寄せる。
「えっ? いや………駄目だよ、イルミア(?)……そんな……!?」
明らかに不自然な状況。だが、アキラも思春期まっただ中。イルミア(?)の積極的な誘惑につい流されてしまいそうになる……しかし。
「何してるのよ!」
白い肌を真っ赤に染めたイルミアが、槍の柄を振り回して二人を引き離した。
「うわぁ!?」
「キャン!」
アキラとイルミア(?)は槍を避け、慌てて身を離す。
異変はその時起きた。不自然な体勢から飛び退いたせいで、床に尻餅をついたイルミア(?)の姿が、なんと小さな狐の姿に変わったのだ。
「き、狐……!?」
こちらも尻餅をつきながら、目を白黒させるアキラ。子狐はその目の前を、慌てた様子で逃げ去った。だが、イルミアには分かった。それが唯の狐ではない事が。
「違うわ! あれは……従魔よ!」
解説
●状況
連戦と疲れを癒やす為温泉に来た和波達ですが、ここでも従魔に遭遇してしまいました。皆さんも同じく、たまたま事件に遭遇します。とはいえ、特に目的というものはありません。従魔を捕まえてもいいですし、無視して温泉や施設を楽しんでもOKです。ただし、従魔は皆さんのライヴスを狙って来ます。
従魔は変身能力を持つ上、変身相手の恋愛的な好みを察知でき、皆さんにとって魅力的な異性(同性)に変身して誘惑をかけてきます。
変身能力は万能でなく、一度見たもの(参加PC及び参加英雄、アキラ、イルミア、リナ)にしか化けられず、記憶や癖などもコピーできません。
対象を誘惑できそうな人が旅館に居ない場合、英雄が参加しているなら英雄に、参加していなければ二十歳頃の妖艶な女性に化けます。
旅館の主な施設は「露天風呂」「ロビー・ラウンジ」「遊技場」「売店」です。ロビー・ラウンジには休憩用のチェアがあります。遊技場には古いゲーム筐体と卓球台。売店では、温泉まんじゅう等のお土産ものが売っています。
シナリオ開始時の所在地は上記の四カ所か自室でお願いします。能力者と英雄は別の場所でもOKです。
シナリオスタートはOPの直後で、皆さんはまだ従魔の存在を知りません。実際に遭遇するか、和波達に遭遇すれば事態を把握します。和波達の現在位置は「露天風呂」です。
●登場
イマーゴ級従魔『一尾』
子狐の従魔。対象の心を少しだけ読み、好みの異性(同性)に変身し誘惑します。戦闘力は皆無。非リンク状態で軽く殴るだけで唯の子狐に戻ります。数は不明。
『潤巳リナ』
小柄でおさげなアキラの幼なじみ。ふわふわしてるけど清楚なしっかり者。
●追記
PCにとって魅力的と感じる人が、参加PC及び参加英雄、アキラ、イルミア、リナの中に居た場合、従魔はその人物に化けます。そのような人物が居ればお教え下さい(誘惑された時の反応なども)。
マスターより
新年早々重めのシナリオを出した事を反省し、今回は久々の和波・イルミアコンビで冬になる多発するお風呂回です。狐を追うも温泉に浸かるもご自由に。
なお、HOPEのエージェントは事件解決の為ある程度の超法規性が認められていますが、特に理由も無く女湯(男湯)を覗いたりすると、後で上から処罰とかもあるそうです。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2016/02/08 20:04
参加者
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最終発言2016/02/02 23:27:07