どうしてこうなった。
　『あなた』達は、目の前に光景に愕然としていた。
　目の前では、パートナー達が何やら論争している。
　それも、彼ら自身のことではなく、『あなた』達自身のことで。

　ということで、『あなた』達は口論の原因を聞いてみた。

　最初は、カレーの話題だったそうだ。
　本日研修に訪れてるムンバイ支部がインドとあって、カレーと結びついたらしい。
　日本のカレーライスとインドのカレーは違うと言われているが、問題はそこではなかった。
　まず、彼らは辛いカレーを食べられるかという自身の味覚に関する話題で会話をしていたようだ。
　続いて、パートナーはどうなのかというそれぞれのパートナーの味覚の話題。
　うん、ちょっと近づいてきた。
　そこから、パートナーは自分の味覚に合わせたカレーを食べるかという方向へ話が進んだらしい。
　合わせてくれる、それぞれ美味しいと思うものを食べる……そうした話から、やれ、味覚位合わせてこそだとか、別個に作ればいいじゃん、うちにそんな鍋の余裕はない、どっちかが我慢だ……まぁ、そこから、パートナーはどんだけ自分のことを思ってくれるかという話に行き、最終的にパートナーの気遣い方選手権みたいになり、現在に至っている模様。

　ここは食堂。
　彼らの為に飲み物をと準備して持って来たら、この事態。
　５分位しか経ってないのに、何で。

「まぁ、このままでも仕方ないと思いますので」
　騒ぎを聞きつけてやってきた研修の担当者がほわんとのたまった。
「これで勝負つけてはどうでしょうか」
　手にしたそれは、猫の尻尾。
　え、何。
　『あなた』達が目を瞬かせていると、担当者は「研修の一環にもなりますし」と前置きした上でこう仰ったのだ。
「二人三脚的な尻尾取りゲームをしましょう」
　そうしている内にお互いパートナーとそれぞれのやり方で信頼関係を築き上げていることに気づき、禍根なく認め合えるだろう。
　本当に平和的解決になるだろうかという疑問もなくはないが、このまま発展させても、最後には手が出たりしそうなので、『あなた』達はその提案を受け入れ、パートナーへ声を掛けるのだった。

●状況整理
・パートナー（能力者・英雄どちらでもＯＫ）が席を外している間に、何故か自分のことで皆と論争していた。
・埒が明かないので、研修担当者の提案を受け入れ、二人三脚な尻尾取りゲームで勝負をつける（やってる内に互いを認め合えるだろうとのこと）

●ルール
・論戦をしていた方が猫尻尾をつける。尻尾を取りに行けるのは論戦をしていた方だけ。尻尾がない方は尻尾を取りに行けず対戦相手の妨害行為も禁止されているが、パートナーのフォロー（声を掛ける・周囲警戒他）は可能。
・話題にされていた方とはロープで互いの腰を繋ぐ。
（ロープは腰に結ぶのに必要な分を除外して３０mの長さ）

例：能力者が英雄のことで論争していた。
猫尻尾は能力者が装着。
両者腰にロープで結び連結、ロープの長さはピンと張った状態で３０m
（つまり最大で３０mしか離れられない）

・当然共鳴禁止、バトルロイヤル形式で自分以外の猫の尻尾を取りに行く。
・ちなみに場所はムンバイ支部の地下にある格闘技訓練を行う部屋で行われる。
広さはテニスコート（シングルス）２つ相当の広さ。遮蔽物は一切ない。
・初期配置は担当者が決める（ダイスで決めます）、各々の距離が近過ぎず遠過ぎずで調整する模様。
・猫の尻尾を取られたら脱落、最後に残った人が勝者。
・アイテム使用の一切禁止、両者の呼吸を合わせ、地力のみでの勝負。

●余談
・本日の研修内容は、常識が異なる場合もあるパートナーとの協調に関するもの。ディスカッション形式だったらしい。

●注意・補足事項
・皆でしくわきゃわきゃとヒートアップしながら尻尾を取り合ってください。パートナー回しとかそんなことは多分ない。
・最後に認め合い、禍根が残らない内容であるなら、論戦しつつ尻尾取りしてもOKです。
・禁止行為を行った場合、即失格になります。
・卑怯上等で勝利＜楽しくヒートアップとなります。こちらを踏まえてプレイングいただければ幸いです。