本部
故郷
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 3人 / 8~10人
- 英雄
- 3人 / 0~10人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/01/13 12:00
- 完成予定
- 2016/01/22 12:00
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言
オープニング
●
薄暗く、不愉快な湿度が塗られた部屋の中には人間の骨が散らばっていた。髑髏の照明が部屋の主を綺羅びやかに照らす。
「今こそ動くべきだな。ニンゲン共は皆浮かれている。ここは、逃したくないな」
前回の襲撃に失敗したマーヴェロ・リーダス、所謂愚神は新たな従者も見つけ着々と準備を進めていた。他の愚神を超え、神となる存在になるための準備だ。
「私も、それが最善かと。主の希望に沿うよう、しっかりと仕事はさせていただきます。して、どういった物語をご希望でしょう?」
髑髏に照らされる愚神、そしてその愚神の瞳が照らす先には従者の姿があった。
「ニンゲンが……そう、大量に集まる瞬間を狙う。離散しておらず、一つの施設に収まっている所を狙う。お前が制圧した所に我が登場し、ニンゲンのライヴスを奪い、次々にドロップゾーンを形成する」
「それだと、他の愚神もやっていそうな内容ですね」
「二番煎じ、いやそれ以上か。確かに、それじゃあ意味がない。お前、良い事を言うな」
「ご光栄に授かります」
分厚いローブで身を包み、眼鏡をかけた成人の男は帽子を取ると深く礼をした。
「何か案はないのか」
「あります」
男は即答した。マーヴェロは満足気に笑いながら言葉を続けさせた。
「その案というものですが。主が先ほど申した通り一つの施設に大量の人間が収まる所があります。そこを私が襲撃し、主が大量のドロップゾーンを形成する。そしてここからがポイントです。もしこの作戦が私の思う通りに進んだなら、日本中を震撼させる事ができるでしょう」
「世界中、じゃないのか」
「まだ早いですね。日本中でいきましょう」
「で、方法は」
「実に簡単です。我々は事前準備をする必要が全くありません」
「焦らすでない」
「ここを、狙うんです」
従者は一枚の紙を見せた。何かの雑誌から切り抜かれたものだ。
●
佐藤(さとう)純(じゅん)のリハーサルは完璧だった。合唱団、オーケストラとの息もぴったりで一週間の生活習慣が功を奏して喉と腹の調子も抜群に良い。日本中を今騒がせている売れっ子歌手がライブを行うには最も適当な日であった。
「では佐藤さん、よろしくお願いします」
「はい、俺頑張ります!」
まだ二十二歳の彼がここまで売れる切っ掛けとなったのは時代の雰囲気を掴んだ作品を生み続けてきた事が原因だろう。他にも人の良さ、礼儀の良さ、ファンとの付き合いの距離もバランスが取れて良好。他にも様々な要素を含み人気となった。
売れっ子となってから三年間。絶頂期は過ぎてしまったものの、今でも彼のファンはどこにでもいる。
佐藤は緊張していた。これが初めてのライブであると同時に本番にはいつも弱い。若い人気者特有の悩みが最大限発動されていて、今日は何度手の平に人という文字を書き続けてきただろう。
「一曲目はなんでしたっけ」
物忘れは酷くないが、緊張のあまり彼はマネージャーにそう訊いた。
「勇気国家、でした」
「分かりました、ありがとうございます」
「緊張してますね」
マネージャーの男性は佐藤を安心させるよう微笑んだ。
「ええ、はい」
「大丈夫ですよ。自信を持って。たくさんのお客さんが集まっているのですから」
「あの、もしすごく緊張して失敗してしまったらどうすれば」
「緊張しています、と言ってしまうのが一番です。佐藤さんの意外な一面が見れてお客さんも喜ぶでしょう」
最大限安心させたとマネージャーは立ち上がり、佐藤を舞台の上へ案内する事になった。
「さあ、いきましょう」
直立(すぐた)満(みつる)とマネージャーの胸ポケットに掲げている名札に書かれている。
直立は舞台に佐藤を出した後、先ほど届いたファンレターの中で見つけた不可解な便箋を見て、中身を再び見直した。
差出人不明のその手紙は最初、佐藤をまるで叱るかのような文面――「人気者になっているからって、調子に乗ってちゃいけないよ」――が続いているが後半の方になると功績を讃える文面――「よく頑張ってこれたね、私は嬉しいよ」――が目立ち、応援の言葉で締めくくられている。
その内容から直立は佐藤の両親からの手紙かと疑ったが、佐藤は決してそんな事はないと言いはった。
佐藤の否定は最もな物で、東京にきて歌手になると彼がいうと佐藤一家は盛大に揉めたそうだ。そんな家が今更こんな手紙送るはずないと佐藤は言い張っていた。
文章の中に暗号が隠されているのではないかと探していると、佐藤控室の扉が突然開かれて施設警備員が入ってきた。
「先程宅配便で覚えのない物が届いたんですが。ちょっと来てくれませんかね。検査室の方で今中身を検査しとるのですが」
「差出人は?」
「不明、でしたね。万が一を思ってまだ中身を開けてないんです」
嫌な予感を察知した直立は急いで検査室へと向かった。
途端、施設に轟音が鳴り響いた。すると一瞬で炎は不自然な形で広がり、施設の外側を完全に包み込んでしまった。
佐藤は生きた心地がしなかった。
解説
●目的
ライブ会場には現在、三人のヴィランが会場を支配しようとしています。リーダーと取り巻き二人が舞台上に上がって観客を人質にし、立て籠もっています。
あなた達の目的は人質の解放とヴィランの退治、逮捕です。
●状況
四角形の建物の外側のみ炎が包まれており、観客が脱出できずにいます。
また、ヴィランの指示により老若男女問わず椅子に座らせられており、パニック状態にはなっていません。佐藤は手足を縛られ床に寝転ばせられています。
●ヴィランの集団
・ジスター=ハイイェ
集団のリーダー的存在で、シナリオに出てきた愚神マーヴェロの従者。
遠距離からの高火力な魔法を使うヴィラン。主に火属性の魔法に拘り、状態異常系のスキルも多数持っている。これといった弱点はないが、防御力が低い。
「全ては主のために」
・ディク=ジェモン
味方のサポート、回復役を努める少年。攻撃スキルはあまり持ちあわせておらず火力も低いが、その分味方への援護は強力。
一つ特徴があり、彼は透明化して周囲を惑わす。能力者のスキルではなく、技術によるもの。
「ヒッヒヒ、僕が見えるかなぁ?」
・ソーディ・マオ
女性の近接格闘士。二本の剣から繰り出される連撃を止められるだろうか。束縛系状態異常スキルの所持や、攻撃力を高めるスキルを持つ。
戦闘中、余裕があれば魅惑的な一面を見せる。男性女性問わず言葉であなた達の戦意喪失を誘う。
●施設について
大まかに一階、二階と分けられており、二階はほとんどホールの面積で埋まっています。一階には和食、中華二つの食事所があり、カウンター、観光ガイド、コンビニエンスストア等があります。屋上はありますが頑丈な扉に防がれ一般人は出る事はできません。
●特殊
今回、あなた達は元々ライブ会場の観客として現場に居合わせるのも良いとします。勿論、オペレーターに依頼を任せられて後々登場しても良いでしょう。
マスターより
リンカーの皆様方、いつもお疲れ様です。
マーヴェロ・リーダスについてですが以前の私の執筆物の中にも登場しているので、参考になるかと思いますのでこちらに記述します。
http://www.wtrpg0.com/scenario/replay/663
さて今回の物語ですが、差出人の手紙、誰からなのでしょうね。そして一体どんな意図が含まれていたのでしょう。また、ヴィランとの戦いも激化が予想されます。
長いシナリオになるかと思いますが、過去作に負けない程の気合を入れて書かさせていただきます。
ちなみに佐藤氏が開くコンサートですが、あけましておめでとうコンサートのようなものです。
成功を祈ってます。
参加受付中 プレイング締切日時 2016/01/13 12:00
参加にはSC1,000が必要です。
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最終発言