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絶零 第1フェーズ:リプレイ

PCイラスト
小詩 いのり
aa1420
PCイラスト
大佐田 一斗
aa3772
PCイラスト
雅歐 兵太
aa4333
PCイラスト
鶏冠井 玉子
aa0798
PCイラスト
桃山 まゆ
aa4218
PCイラスト
黒咲 あげは
aa4283
PCイラスト
上田 大吉
aa3773
PCイラスト
鯨井 寝具
aa2995
PCイラスト
符綱 寒凪
aa2702
PCイラスト
鎌 岱陀
aa4520
PCイラスト
秋姫・フローズン
aa0501
PCイラスト
鞠丘 麻陽
aa0307
PCイラスト
染井 桜花
aa0386
PCイラスト
飛岡 豪
aa4056
PCイラスト
水澤 渚
aa0288
PCイラスト
九十九 サヤ
aa0057
PCイラスト
雪ノ下・正太郎
aa0297
PCイラスト
榊原・沙耶
aa1188
PCイラスト
紺野 あずき
aa3833
PCイラスト
魅霊
aa1456
PCイラスト
酒又 織歌
aa4300
PCイラスト
マリアンヌ・マリエール
aa3895
PCイラスト
幻・A・ファビアン
aa3896
PCイラスト
桐ケ谷 柴乃
aa5024
PCイラスト
蔵李・澄香
aa0010
PCイラスト
江口 焔
aa1072
PCイラスト
ビヨンデッタ
aa4551
PCイラスト
不知火 轍
aa1641
PCイラスト
ゼノビア オルコット
aa0626
PCイラスト
紫波 和真
aa1436
PCイラスト
ルイン・アンゲル
aa3726
PCイラスト
ミハイル・エッカート
aa0315
PCイラスト
六万 唐津
aa2368
PCイラスト
白市 凍土
aa1725
●プロローグ
 作戦開始から少しして、踏み固められた雪原の向こうに黒い一団が見えた。
 魑魅魍魎、悪鬼百霊。この世の者とは思えない死の行軍。
 それらは友軍たちの足跡を頼りに進軍していた。そう、ドロップゾーン内激戦区に向かった友軍たちの足跡。
 端的に言うと奴らは背後を取るつもりなのだ。
 霊力で守られているエージェントたちからすら熱を奪う、強力なドロップゾーン、その中心へ向かった仲間たちが、体力を余らせて帰ってくるとは思い難く、彼らと言えど疲弊した状態ではあの敵の軍勢を捌き切れまい。
 さらにはゾーン奥の仲間たちからの定期連絡ではその戦闘の苛烈さが伝わってくる。負傷者も多いらしい。
 自分たちの仕事はここで待つことだったが、今の状況、ただ待っているだけとはいかなそうだった。
 決断の時が迫っていた。
「どうする?」
 小詩 いのり(aa1420)は改めて是非を問う。
 そこには各隊のリーダーが集めらていて今後の方針を決めるための話し合いが行われていた。
「ボクは行こうとおもう」
 いのりは告げる。その瞳はすでに覚悟を決めていた。彼女がリーダーを任されている小隊【ゆるり】にも全て伝えてあった。
 そしてそのいのりの言葉に【アメフト】リーダー、大佐田 一斗(aa3772)は頷いた。
 そしてこの地域の【蝶】を任されている雅歐 兵太(aa4333)と顔を見合わせてからつぶやく。
「行こうぜ、とっとと準備して、背後からあいつらを叩く」
 さらに兵太は遥か先をみやる、地平線に隠れて見えないがその先には野営地があり、傷ついて帰ってきたエージェントたちを迎えるべく炊き出しが行われているのだ。
 もしもの可能性、あの一団がもし反転すれば彼らが狙われることになる。それをさせるわけにはいかない。
「最大限のバックアップをします」
 その言葉に【フーズ】を取りまとめている鶏冠井 玉子(aa0798)は頷いた。
「安心するといい、最高のもてなしを用意して待っている」
 全員の心が決まった。
 作戦開始の鐘が鳴る。


●接敵
 一面平坦な雪原。そこに身を隠す場所などありはしない、だから御剣 華鈴(aa5018)は雪煙を巻き上げ、敵軍めがけ矢のように進撃していた。
 何も気にせず、ただただ敵を倒すために。
「ふぇにや、初陣である……。ゆめゆめ……油断めされるな……」
 その隣を並走するのはエリーヌ・ペルグラン(aa5044)をはじめとする【涼分隊】のメンバー。
「一番槍は俺だ!」
 だが、その遥か先を走る男が、勢いそのままにイクサカバネに切りかかった。一斗である。
「雪をも溶かすアメフトの意思! 赤い髪は伊達じゃァないぜ!」
 その声を受けると、小隊【アメフト】指揮は高まり。一斉に武装を抜いて敵に襲いかかった。
 そこで初めて知性の存在しないイクサカバネ達は敵の存在に気が付き。それを率いるルタは反転した。
 ここに戦いの火ぶたは切って落とされたのだ。もう後戻りはできない。
 降りかかる火の粉を払うがごとく、凍った死体たちをバットでひたすらに打っていく一斗に。ブルームフレアで周囲を焼いていくエリーヌ。
「今のわたくしはまだ無力……今はやれることをするだけですわ」
 自分たちがミイラ取りにならないように慎重に、けれど確実に敵の隊を引き裂いていく。
「わたしが求める明るい明日の為に、今は前に進むだけ!」
 桃山 まゆ(aa4218)はその手の武装を巧みに使い分け。寄らば斬り、離れれば撃つ、分厚い敵の層を切り開く。
「隊長……」
 そう一斗の背後から迫るイクサカバネを押しとどめる黒咲 あげは(aa4283)
 掌底でよろめかせジェミニストライクでその活動を止めさせた。
「サンキューな」
 そうあげはと一斗は拳をぶつけ合わせると戦いに戻っていく。
「身を裂く凍風も、身を裂く思いに比べたら……耐えられる」
 あげはは噛みしめるようにそうつぶやいた。
 さらにアメフトメンバーに群がるイクサカバネが頭蓋を弾かせながら地面に倒れた。
 上田 大吉(aa3773)の狙撃である。
「ロシアの狙撃兵の気分だな。それなら仕事っぷりも真似しねえとな」
 ぐいぐい前に出る隊長たちが危険な目にあわないように一歩引いたところから戦場を管理する大吉。
 そしてまた体長たちに群がる屍を屠ろうと銃を構えるが、その耳のインカムがノイズを吐いて動きを止める。
【蝶】からの情報配信だった。
「どうやら、ゾーン内での戦闘が一区切りついたようです。多数の仲間が撤退してきます。負傷者あり、繰り返します負傷者あり」
 素早く兵太は情報をまとめ、撤退のルートを全員に示していく。
「え、えー……と。皆さん、あまり無理はなさらないように……」
 丁寧に視覚化されたその情報は一目でわかりやすく、これをたどっていけば帰れるという思いが明確な希望となって皆の心に宿る。
「では、活路を切り開こう」
 華鈴は大剣を振りかざすと涼分隊の面々へと静かに告げた。
 そして迫るイクサカバネへと重たい一撃を叩きつける。


●炊き出し
 争いが本格化しつつある、白色の戦場。その向こうで吹きすさぶ風にも負けず野営地を設置に精を出すエージェントがいた。
 膨大な量のかまくらと、いくつかのテント。その中でフライパンを振るっているのは玉子である。
 寒さ厳しい中での疲弊や負傷は生命に関わる。そう彼女率いるフーズをはじめとした糧食組が組織された。
 大なべを駆使して戦闘員全員に当たる分のボルシチを作っていく。
「この鮮烈な紅色こそが、明日に繋がる命の源だ」
 その鍋を、フライパンを炙る炎は、このシベリアの地では小さな炎だが。戦士たちを癒す大いなる炎でもある。
 その動きをサポートしているのは鯨井 寝具(aa2995)皿の準備や、具材の切り分けなど大忙しである。
 そして用意されているのはボルシチだけではない
「寒過ぎると温かい物欲しくなるよね!」
 符綱 寒凪(aa2702)はそう告げると、洗い終わった鍋の具材を切り始めた。
 彼女率いる小隊【鍋会】は大量の鍋料理を行っていた、それだけではない。
 外にある、かまくらは全て彼女たちが作ったもので。冷たい風をしのいでほしいという思いゆえの行動だった。
 そんなかまくらを、もういくつ作っただろうか鎌 岱陀(aa4520)は地面にシャベルを突き刺して一つため息をついた。
「世界は広いな」
 そう岱陀は一際大きいかまくらに背を預けて一息ついた。
 そしてその大きなかまくらの中には【蝶】や【八咫烏】の面々が入っていて、情報統制のために大忙しだった。
 例えば、秋姫・フローズン(aa0501)
「情報は…………お任せください…………」
【八咫烏】のメンバーである彼女は。地図に縦と横の線のグリットを作成して配布していた。戦場をブロックで分けて瞬時に把握できるように記号を振ってある。それを元に出す指示は的確でわかりやすかった。
 外の情報を受け取り、称号、繋ぎ合わせ、戦場にフィードバックする。
 そんな情報収集チームのアンテナの役割を担っていたのが鞠丘 麻陽(aa0307)
 彼女は外に出て双眼鏡を使い、数キロ先の戦場の情報を中継している。
「状況を確認するんだよ」
 戦場は刻一刻と様相を変える。包囲網に穴があけばそこをつくように指示をだし、分厚くなった場所からは引くように命じる。そのおかげもあってか、後方支援組に目立ったダメージはなかった。
「染井さん、そちらはどう?」
 麻陽がインカム越しに問いかけると染井 桜花(aa0386)はしばらく考えた後インカム越しにこう告げた。
「…………収集開始」
 小隊【八咫烏】の染井 桜花は戦場にあって、より詳しい情報を届けている。
 基本的に回避に専念しつつ仲間のサポートに徹する構えだ。
「負傷した人たちは、あとどれくらいでくる?」
 その桜花の問いに秋姫は答える。
「あと三分程度です」
 気を抜けない戦況の管理に神経をすり減らす面々だったが。その面々の鼻腔をくすぐる香りがある。
 秋姫が振り返ればそこに立っていたのは寝具。そしてその手のトレイには完成したばかりのボルシチが乗せられていた。
「根詰めっぱなしは毒だ、あんたらも一息ついちゃどうだ?」
 その言葉に甘え情報収集チームは交代で食事をとりながら、情報戦を続ける。


●戦場の最中のナイチンゲール
 負傷兵たちが視認できる距離までやってくると、敵の兵団がその負傷兵たちの列へと流れて行った。
 特にルタが彼らを気にし始めるが、行かせるわけにはいかない。
 立ちはだかったのはふたつの小隊【白犬隊】【命綱】である。
「小隊【命綱】、ここに参上!皆を救うための力、存分に揮わせて貰おう!」
「退路を断つのが狙いか! 返り討ちにしてやるしかないな……燃えてきたぜ!!」
 多々良 灯(aa0054)は銃口をルタへと向け。白に栄える赤き戦士、飛岡 豪(aa4056)は拳を突きつける。
 二人のリーダーを守るように【命綱】【白犬隊】が陣を敷く。ルタ率いる部隊誰一人いかせないと告げるように。
「大丈夫か? 渚」
 そう灯が問いかけると。
「なんか今回めちゃめちゃ怖いけど頑張る」
 水澤 渚(aa0288)は震えながら前に出た。灯と並び立つ、全ては彼が傷つかないために。
「手はず通りにいく、連携してこの分厚い壁を破って、あいつらを迎え入れるぞ」
「お帰りって、言ってあげるんだ!」
 二人の言葉に拳を突き上げ応じる仲間たち。
 同時に、遮るものを蹂躙せねば突破は不可能だとルタは判断。灯めがけ突進した。
「これ以上、みなさんを傷つけさせません!」
 九十九 サヤ(aa0057)はライヴスフィールドを展開、それにひるむように従魔たちは動きを一瞬止めた。その隙を狙って豪はスノウゴーレムの足元をスライディングで抜けるとはじかれるように飛んだ。
 その足に膨大な霊力が集まっていく。
 不意に現れたヒーロー『爆炎竜装ゴーガイン』の蹴りをルタは回避できない、その手の刃ではじくことを選択する。
 周囲に霊力の燐光がほとばしった。
 豪は弾かれるように着地、追撃とばかりに迫るイクサカバネの攻撃を雪ノ下・正太郎(aa0297)とサヤが遮った。
「勧進帳の弁慶張りに踏ん張るぜ」
 宗太郎は告げると、限界まで上がりきったレートにまかせライブスブローで敵を吹き飛ばす。
「ありがとうみんな」
 そう静かに告げ豪は真紅のマントをはためかせる。
 周囲の雪が熱波で溶けていく。その温かさに守られながら命綱の面々はルタを見据えた。
 そしてルタ率いる従魔本隊へと食らいついて離さない。
 その隙に救護班が負傷したリンカーたちに合流した。
「エージェントたちは殿を務めてくれてて。俺達……」
 木の枝を杖代わりに歩み寄るリンカー、そんな彼にいのりたちは歩み寄ると告げる。
「うん、わかったありがとう、もう大丈夫、安心して。今はゆっくり休んでね」
 リンカーは涙をにじませて意識を失った。その彼を榊原・沙耶(aa1188)が背負い運び出していく。
「あとは僕たちにまかせて。いこうみんな」
 その号令で【ゆるり】の面々は移動しながらの治療を試みる。
 きちんとした治療は戦域を無事にぬけてからになるが。仲間たちの足止めがうまくいっているのでこちらに敵が来る様子はない。
 念のため迂回して拠点を目指す。
「負けないでください……! 微力ながら私も力になりますから……!」
 紺野 あずき(aa3833)が負傷著しいエージェントに肩をかし、共に雪原を歩いていく。
「邪英化した人たちも心配だけど、ボクらの目的は作戦全体の成功だからね!」
 そう殿を務めるいのり。だが戦場からはぐれたイクサカバネがその背を狙う。
 しかし。
「ここまでくれば大丈夫です」
 そのイクサカバネの手が届くことはなかった。
 魅霊(aa1456)はその手の刃を翻し。地面に倒れたイクサカバネを見下ろしている。
「我は毒あるもの、害あるものを断つ。我もまた、希望たらんと欲するが故に!」
 拠点防衛をしていたエージェントたちの防衛ラインに入ったのだ。
 これで敵に背を取られる心配はない。
「これで大丈夫。でも、まだあまり無理はしないでくださいね。さて、次は…………」
 酒又 織歌(aa4300)は治療の済んだメンバーからかまくらへと誘導していった。
 織歌そして再び走り出す。動けないほどに疲弊したリンカーは山のようにいる。極寒のシベリアにおいて汗をかけるほどに織歌は休む暇もなかった。
「負傷者の具合が、あまりよくないです」
 織歌は通りがかったいのりにそう告げた。
「うん……」
 いのりも暗い声で告げる。
「タグはあるよ」
「トリアージ、するしかないでしょうね」
 トリアージとは、負傷者を重症度、緊急度などによって分類し、治療や搬送の優先順位を決めることであり、救助、応急処置、搬送、病院での治療の際に行う選別行為のこと。
 正直こういう事態になることは予想できていた。
 そのための準備もしてある、だが、その決断を下すのは少女たちにとってとても辛いことだった。
「救える命を、救うために、今やれる最大限のことをしましょう」
 織歌はそう告げると患者にまた向き直る。その後ろ姿にいのりは告げた。
「まだ、後ろから来るんだって。だからボク、行ってくるね」
「わたしもいきます」
 魅霊がいのりたちを送り届けるために護衛に志願する。
 この拠点までたどり着けなければ、そもそも満足な治療が行えない。そのために【ゆるり】のメンバーは再び戦場へと足を運ぶのだった。


●病を駆逐する
 戦いの趨勢は逆転しつつあった。
 局所的な話ではあるが、エージェントたちが集合に成功したのである。
 であれば質で勝るエージェントたちH.O.P.E.側が有利になっていく。
「マホちゃぁん、ママの言うことをよく聞くのよぉ?では、いきますわぁっ」
 この勢いを削ぐまいとマリアンヌ・マリエール(aa3895)は突貫する。
「えーい、どけどけー!」
 幻・A・ファビアン(aa3896)を含めた【華獣双舞】のメンバーはまだまだ戦えた。戦況を塗り替えていく。
 だが一番の懸念材料がまだ残っている。
 ルタだった。
 ルタはその持ち前の戦闘力と機動力で、エージェントを突破。
 せめて戦果を残そうと負傷兵たちを収容する拠点へと突撃する。
 それを支援するように何体かのイクサカバネも拠点へと向かう。
 当然それを予測して防衛に回るエージェントもいた。
「皆様、無茶はいけませんわよ。必ず生きて戻って来てくださいませ!」
 桐ケ谷 柴乃(aa5024)はけが人に肩をかし拠点を目指していたがイクサカバネに追いつかれると判断すると反転。
 彼には自力でたどり着いてもらうように言い含めて敵と対峙する。
「……邪魔をするなら切り捨てますわよ!」
 その目の前に魅霊が立ちはだかるが、彼女も疲弊している、ルタと真っ向から戦える力は残っていない。
 そのチャージを捌けるか、不安に思いながらも真っ向から相対する。
 だが、その時である。
「病魔の愚神、いのりたちは狙わせないよ」
 最後の砦として立ちはだかるものがいた。【ゆるり】所属蔵李・澄香(aa0010)。そしてそれを肩に乗せるのは巨大ロボットと見まごうほどに剛健な江口 焔(aa1072)である。
「サーチ&デストロイ! GOGO!」
「気軽に言ってくれるな」
 そう軽口をたたきあう二人に、いら立ちを隠そうともしないルタ。
 最終決戦が始まろうとしていた。
 ルタはその機動力にまかせて刃を振るう、普段の澄香ではあっという間に距離を詰められ苦手な接近戦となってしまうだろう。
 だが今日は違う。
「おい魔法少女。戦車やろうぜ。お前主砲な」
 焔が澄香を乗せたまま動いた。その刃をかわし、そらし、はじいてまた適切な距離を取る。
 そしてタイミングを合わせて澄香はブルームフレアを放った。
 2人であれば傷ついたルタと渡り合える。
 そう確信した。
 雪を跳ねあげて戦う三名。
 ルタの纏う霧のおかげでその攻撃はつかみどころが無く焔の体力を着実に奪っていく。
 だがそれでも足は止めず、隙あらば自身も攻撃を加える。
「さすがに二人じゃ無理があったんじゃねぇか?」
「そうは言ってられないよ!」
 澄香の頬に冷や汗が伝う。今は広範囲型の魔術が使えているから拮抗できているがそれが無くなった場合どうなるだろうか。
 自分は戦闘が得意ではない、その負い目というか引け目が顔を出し始める。
 場合によっては撤退を、そう思った矢先。ルタへと魅霊が背後から一撃加えた。
「やらせない! 姉さんは絶対に」
「俺は!?」
 焔が唖然と叫んだ直後、魅霊は二人を弾き飛ばすように飛んだ。
 驚く澄香、その直後。耳に聞こえた風切音。
「いくら動けたって、逃げ場がなければ意味がないわ…………ねぇ、バアル?」
 突如上空からの飽和射撃。カチューシャを放ったのはビヨンデッタ(aa4551)による逃げ場のない攻撃と、上がる雪煙に前後不覚に陥るルタ。
 しかし足を止めたのは判断ミスだった、動いていればよかったのだ、立ち止まってしまえばその位置を記憶した狙撃主に頭を打ち抜かれてしまうから。
 直後空を裂く轟音。
「直撃した……が、さすがケントュリオ級。まだ動いている」
 不知火 轍(aa1641)は鷹で観測主の役割を担っており、その情報をもとにゼノビア オルコット(aa0626)がルタを穿つ。
「目標六時の方角に、時速三十キロ程度で移動を開始、速度が上がりきる前に打てるか?」
 角度、到達射撃点到達予測、カウントダウン。
 そしてゼノビアはコクリとうなづくと弾丸を放った。
 その弾丸はルタへと突き刺さりその体が横っ面にはねる。
 雪の上を転がるルタ。そしてルタが起き上がった時、その額に赤い点が一つ浮かび上がった。
 それだけではない、全員がルタを取り囲むようにその場に立っていて。そして。
 直後集中砲火。
 いかにケントゥリオ級と言えどこれだけの同時攻撃を受けてはひとたまりもなく、焼けて燃え堕ちるように黒い霧は消えて行った。
 ルタ撃破の報告を情報部が受けると、かまくら内で歓声が上がった。 
 同時に、統率する者を失った部隊は瓦解、戦力の主軸を失って攻撃が大きく乱れ、後退する敵も観測された。
 ここで兵太は追撃戦は不要と判断。拠点周りに近づく敵の排除のみを指示し、撤退を号令した。
 ひとまずここでの激戦は収束の兆しを見せたのである。


●エピローグ
 結果指揮官を失った部隊は散り散りになって撤退を始める。
 後方支援部隊に目立った被害は無く。前線から戻ってきたエージェントたちの治療に当たった。
「治療の必要な方は此方へ!退くも進むも、命あっての選択ですよ!」
 紫波 和真(aa1436)はそう【雨*花】の中心として赤十字の旗を掲げ負傷者を集めていた。
 あずきはそれに合わせスキルをフル活用、傷の深い物から対応に当たっていく。
「はいはーい、ルインちゃん様が折角持ってきたんだから活用してよね~?」
 ルイン・アンゲル(aa3726)はせっせと倉庫と現場を往復し医療物資の補充に走っている、手が空けば重症患者にグルグルと包帯を巻いていく。
「毛布の支給などある、辛い物は遠慮せず名乗りを上げてくれ」
 そう負傷兵が固まるプレハブで声をあげているのは小隊【大企業】を取りまとめるミハイル・エッカート(aa0315)だった。
 けが人に毛布等配っていく。
「怪我して体まで冷えたら辛いだろう」
 それについて回るのは早乙女 ぷらむ(aa0598)
「私のハートであなたを温かく包んであげる」
 そう愛嬌をふりまきながらスキルでの回復を続けていた。
 傷が軽いメンバーへはボルシチ、鍋等が手渡される。その一段の中に六万 唐津(aa2368)もいた。
「ここまで来て鍋たぁワシも焼きが回ったもんだぁ」
 卵とマグロを具材として提供。豪快に鍋の中に放り込み、グルグルとかき混ぜる。
「ブランデーは好きな奴が飲め! 糖分入ってっから元気出るぞ」
 そう告げて酒を振る舞い笑った。
「寒いとやる気も無くなるだろ?」
 白市 凍土(aa1725)はそう、鶏がら、醤油ベース、味噌ベース、塩ちゃんこ風、核種鍋のスープを継ぎ足していく。
 その湯気と香りからすでに疲れが癒えていくような錯覚をエージェントたちは受ける。
 口に含めば舌が敏感に味を感じ取り、生きて戻ってきたのだという実感が胸にあふれた。
 ドロップゾーン内で何を見たのだろうか。涙ぐむエージェントもおり。
 命を落としてしまった誰かに懺悔する声もあった。
 厳しい戦いだったのだろう、だがそれもここで一端の幕引き、ここからどうなるかは情報を統合したのちの話になる。
 それまでにはわずかに時間がある、後方待機していた部隊の活躍で周囲に敵の影は無い。
 エージェントたちはゆっくりと休むことができた。
 だから皆一様に今は生きて再会できた喜びを分かち合いたい、そう皆で同じ食卓に着いた。

担当:
鳴海MS
監修:
御神楽
文責:
クラウドゲームス株式会社
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