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絶零 ドラマチックイベント(後半):リプレイ

PCイラスト
黒蜂
aa3493
PCイラスト
軍司 義将
aa1706
PCイラスト
エリヤ・ソーン
aa3892
PCイラスト
狒村 緋十郎
aa3678
PCイラスト
キース=ロロッカ
aa3593
PCイラスト
桜小路 國光
aa4046
PCイラスト
真壁 久朗
aa0032
PCイラスト
志賀谷 京子
aa0150
PCイラスト
枯不木 恵
aa4293
PCイラスト
餅 望月
aa0843
PCイラスト
御手洗 光
aa0114
PCイラスト
廿小路 沙織
aa0017
PCイラスト
百目木 亮
aa1195
PCイラスト
木陰 黎夜
aa0061
PCイラスト
努々 キミカ
aa0002
PCイラスト
イリス・レイバルド
aa0124
PCイラスト
御童 紗希
aa0339
PCイラスト
加賀谷 ゆら
aa0651
PCイラスト
フィアナ
aa4210
PCイラスト
杏子
aa4344
PCイラスト
月鏡 由利菜
aa0873
PCイラスト
世良 杏奈
aa3447
PCイラスト
GーYA
aa2289
PCイラスト
雁屋 和
aa0035
PCイラスト
木霊・C・リュカ
aa0068
PCイラスト
紫 征四郎
aa0076
PCイラスト
九字原 昂
aa0919
PCイラスト
小鉄
aa0213
PCイラスト
齶田 米衛門
aa1482
PCイラスト
御代 つくし
aa0657
PCイラスト
フィー
aa4205
PCイラスト
東海林聖
aa0203
PCイラスト
八朔 カゲリ
aa0098
PCイラスト
御神 恭也
aa0127
PCイラスト
月影 飛翔
aa0224
PCイラスト
免出 計一
aa1139
PCイラスト
十影夕
aa0890
PCイラスト
赤城 龍哉
aa0090
●総督
 ヴァルリアの背から拡がる“翼”――放熱板が、エージェントの猛攻によって爆ぜた。
 赤くただれた欠片が凍雪へこぼれ落ち、熱い蒸気を噴き上げさせる。
 がくり、がくり――躓くように、ヴァルリアがついに地上へその膝をついた。
 息をのむエージェントたち。
 が、ヴァルリアは立ち上がる。
 その周囲に、絶対零度のフィールドを展開して。
「させるか……! 喰らえ、黒蜂特大の針を!!」
「落ちてきてくれたあんたにご挨拶だ、ってな」
 黒蜂(aa3493)と軍司 義将(aa1706)、ふたり小隊である【黒蜂】が息を合わせてRPG-07Lを放つ。
 ヴァルリアの頭部を目ざす擲弾ロケット弾。しかし、その2本の針は目標へ届かず、フィールドに阻まれて弾けた。
「だが目隠しにはなる――遠距離攻撃を集中させろ! 前衛を前へ送り出すぞ!」
 【古書】小隊の攻撃班を率いる沖 一真(aa3591)が自隊、そして周囲のエージェントを促し、自らも金烏玉兎集を展開した。
「……」
 エージェントの攻撃のただ中、ヴァルリアは無言のまま、その身に凍気をためて立つ。その無防備なはずの体を、絶対零度のフィールドが守る。
 そして。攻撃の運動エネルギーはすべてフィールドに吸い取られ、凍雪に落ちた。
 あれでもまだ展開できるのか!?
 エージェントたちの心が揺らいだ、そのとき。
『衝撃波が来ます! 全い――』
 情報統括小隊【蝶】の林 次郎(aa4380)、その通信がぶった切られて。
 凍れる衝撃が戦場を噴き抜けた。
 未だ経験の少ないエージェントたちが凍土へ転がり、衝撃に耐え抜いた者もまたその身を裂かれて血を流した。
「まさか、これほどのものとはな……」
 ヴァルリアが呟く。
 そこへ、どこから沸き出したか、ナイン・デュオの群れが襲い来る。無数のビットが空を押し退けて場を埋め尽くし、殺到する――
「食いとめます!」
 レイディアントシェルを発動させた聖盾「アンキレー」を掲げたエリヤ・ソーン(aa3892)が高く声をあげた。
 襲い来るビットをなめらかなステップワークで置き去り、一気に踏み込んだ彼女はライヴスの輝きを映す聖盾でビットを叩き落としていく。
 たとえ先をすべて塞がれたのだとしても、ただ一穴、誰かが進む道を拓ければいい。先制を担うエージェントたちがエリヤに続き、ビットの壁へ、そして本体へ、猛然とAGWを突き込んでいく。
 主を失い、ぼそぼそと雪に落ちるビット。それを蹴り飛ばし、踏みにじり、割り砕きながら、エージェントは残るナイン・デュオを攻め立てた。
「この先に明日があるんです! 絶対に、あきらめません!」
 果たして。エリヤの血に飾られた聖盾が、空へと突き抜けた。
「来たぞ、レガトゥス!」
 炎剣「スヴァローグ」を手に先陣を駆ける狒村 緋十郎(aa3678)が、ついにヴァルリアへ切っ先を突き込んだ。
 刃が自動生成されるフィールドを押し割っていくが、7枚めに食い止められ、止まった。
 縫い止められた緋十郎を、ヴァルリアから漏れ出す凍気が捕らえ、侵していくが。
「俺の任務はおまえを倒すことじゃない。繋ぐことだ」
 緋十郎が、凍りついた刃をフィールドから力尽くで引き抜いた。
「教えていただきに来ましたよ。その放熱機能に直接熱を叩き込むとどうなるか」
 そして言葉を継いだのは【古書】の隊長にして奇襲班の班長、キース=ロロッカ(aa3593)。
 緋十郎へ向けていた眼を背後へまわそうとしたヴァルリア、その“翼”の傷口に、跳躍から降下へ移っていたキースの双炎剣「アンドレイアー」が突き立った。
「その翼をもらい受けます!」
 キースと共に奇襲を担った桜小路 國光(aa4046)のライヴスブローがその切っ先をサポート。
 えぐられたヴァルリアの傷口から熱気が噴き上がる。
 しかし、ヴァルリアは動き続ける。キースを振り落とし、その体へ爪先を――
「させませんよ――オレは友を守りたくてここへ来たんですから!」
 跳び込んだ國光がキースをかばい、その背に爪先を受けた。
 ふたりの撤収を補助すべく、【古書】の面々が攻撃を開始。そして。
「【古書】の奇襲を繋ぐ。【鴉】、続け!」
 【鴉】小隊が隊長である真壁 久朗(aa0032)の号令を受け、前へ。
 久朗の体がキース、國光への射線を塞ぎ、その左右に【鴉】の隊員たちが展開する。
 と。
 ヴァルリアの周囲が歪み。
 異世界があふれ出した。

 断続的に出現する極小規模のドロップゾーン、その内は絶対零度の世界だ。
 近接攻撃担当のエージェントはその凍気で傷つけられ、さらには外で待ち受ける遠距離攻撃担当のエージェントもまた、ドロップゾーン解除と同時に放たれる溜め攻撃に打ち据えられ、倒れ伏す。
「背中に回って放熱板を――って、ドロップゾーン邪魔! 背中どっち!?」
 威勢よくぼやきながら、【戦狼】小隊のアーチャー、志賀谷 京子(aa0150)が膝をついて月弓「アルテミス」を構えた。どれだけ声をあげようと、定めた狙いはわずかにもぶれることはない。
『ドロップゾーンが消えます! 3、2、1』
 ドロップゾーンの観測と情報伝達を担う【蝶】の枯不木 恵(aa4293)の張り詰めた声が通信機ごしにエージェントたちを促した。
「【鶏鳴机】は左翼から攻撃! 放熱板への攻撃をサポートしますよ!」
 隊長、餅 望月(aa0843)の号令一下、【鶏鳴机】がドロップゾーンの内から現れたヴァルリアへ向かった。
 役割など関係なく、全員がただ一心にナイン・デュオをかきわけ、ヴァルリアを攻め、傷つき倒れ、また立ち上がって攻める。
「バトルメディックは情報を共有して回復をお願いしますわ! 次の攻撃が来る前に、急いでくださいませ!」
 回復担当小隊【英雄ノ唄】の隊長、御手洗 光(aa0114)は自身の傷をそのままに、ひとりでも多くの仲間を救うべく戦場を巡る。
「重傷者は後方に退避していただきますわ! 前へ進まれる方も、どうか無理はなされませんよう……」
 光と共に行く廿小路 沙織(aa0017)もまた、必死に治療を続けていた。
「そんな簡単に死なせねぇよ。人手が減りゃ、後が厳しくなるからな」
 【黎明】小隊隊長、百目木 亮(aa1195)が重傷者へエマージェンシーケアを撃ち込み、口の端を歪めた。
「――だから嬢ちゃんも、そのときってのが来るまで無茶すんなよ」
「はい……」
 【黎明】唯一の隊員である木陰 黎夜(aa0061)がうなずき、地上に墜ちてなお不遜に立ちはだかり、エージェントたちを睥睨するヴァルリアをにらみつけた。


●乙女
 果てなき死闘を繰り広げる回復担当者たち。
 しかし、支援を受ける前線のエージェントたちの心身は確実にすり減っていく。排熱が滞り、その力を減じているはずのヴァルリアよりも早く。
「溜めが長い! 強力な攻撃が来るぞ!」
 【BR】小隊の後衛、努々 キミカ(aa0002)の警告が響く。
 純然たる凍気の奔流――フルバーストが雪原を駆け巡り、多くのエージェントを押し流し、叩きつけ、凍てつかせた。
 静寂が戦場を押し詰める。
 心地よさげに小首を傾げたヴァルリアだったが、その動きが、止まった。
「ボクはまだ、止まってないよ!」
 左腕に装着したパラディオンシールドを押し立て、声を張るイリス・レイバルド(aa0124)。
 さらに、その背から伸び出す黄金の羽と一体化した救国の聖旗「ジャンヌ」が神々しい光を放ち、彼女の歩みを、そしてエージェントたちを照らす。
「この旗は明日への導(しるべ)。きみの望む零の夢を越えて進むボクたちの意志。きみには絶対侵せない。ボクが絶対、侵させないっ!!」
「静止せよ――」
 イリスの眼前に、ヴァルリアが現れた。
 超高速移動が裂いた空間に遅れて空気がなだれ込み、極冷の烈風と化してイリスを打つ。
「止まらないよ、絶対に!」
「沈め」
 イリスの喉をヴァルリアが鷲づかむ。
 凍気がその体を侵し、自由を奪っていく。
 しかし。イリスの両脚は屈さない。全力をもって地を踏みしめ、全霊を込めてヴァルリアに抗い続ける。
「先へ……行くんだから。ボクたち、みんなで!」
 イリスが口内に含めていた賢者の欠片を噛み砕き。
 パラディオンシールドの縁をヴァルリアへ叩きつけた。
 不屈。その意志を示すために。
 その思いに、エージェントたちが一斉攻撃をもって応えた。
 屠剣「神斬」を大上段に構えた御童 紗希(aa0339)が吼える。
「ああそうだ! 勝つのは、俺らだ!! 俺らがそれを信じなくてどうすんだ!? デカイのかましてこのままブッ飛ばしてやれ!!」
 渾身のヘヴィアタックが、イリスを捕らえたヴァルリアの腕を打った。
 ヴァルリアはイリスを地に叩きつけ、わだかまった凍気を光線に換えて薙ぐ。
 イリスの守り、そして紗希の鼓舞を受けたエージェントが、その凍気を越えてヴァルリアへ斬りかかり、突きかかり、撃つ。
 絶対零度のフィールドの奥に隠れたヴァルリアは、それらを見ることもなく凍気を溜め、衝撃波を放った。
 足元を固められたエージェントが、倒れることすらできずに仲間の行く手を塞ぎ、包囲陣を乱す。
「撃ち続けろ! 俺たちの手が止まれば前衛の足も止まる!」
 目を塞ぐ血を掌で拭き払い、魔法攻撃を続ける一真。
「当たらないなら、当たるところまで行く――!」
 ソフィスビショップでありながら前線に立ち続ける【戦狼】の隊員、加賀谷 ゆら(aa0651)が駆ける。
 冷凍光線をヘッドスライディングでくぐって1回転、立ち上がってさらに駆け、ヴァルリアのフィールドを蹴り押さえて体を固定。
「寒さにはもう飽きた。終まいにさせてもらう」
 フィールドの隙間からサンダーランスを投げ込み、ヴァルリアの“翼”の傷を焼く。
 かすかに体をかがめるヴァルリア。強引にゆらを払い退け、1歩後退。フィールドを前方へ集め、凍気を溜めにかかった。
 【戦狼】のひとり、フィアナ(aa4210)が、ライヴスシールドの奥からそのヴァルリアを透かし見た。
 エージェントの攻撃を受け続ける“翼”の傷口はまだ開いたままだ。それなのに、ヴァルリアはなお止まらない。
 彼女は額に浮いた汗をぬぐい、ふと、気づいた。
「暑い――?」
 つぶやいたときにはもう、彼女は跳び出していた。

 エージェントの攻撃を受けたヴァルリアの体がのけぞった。
 まとわりつき、しがみつく近接攻撃担当のエージェントを振り落としながら凍気を溜め、衝撃波を放つが、これまでほどの効果を成すことはできない。
 再生を続ける絶対零度のフィールドの隙を縫ってヴァルリアを撃つ遠距離攻撃。届く数が刻々とその数を増していく。
「――ヴァルリアの再生、鈍っています! 傷を押し拡げていけば……」
 口を突いてこぼれかけた言葉をあわてて噛み殺す恵。情報に携わる者が伝えるべきは事実。希望や憶測であってはならないのだ。
「盾持ちの人、戦列組んで! レガトゥス級を包囲するんだ!」
 イリス、そして盾持ちのエージェントが鶴翼陣を形成し、左右からヴァルリアを押し包みにかかる。
 ヴァルリアは背から噴き出し続ける熱気を浴びながら、ぎちぎちと龍面を巡らせ、冷凍光線を薙いだが――エージェントの盾を貫くことはかなわない。
 そこへ、ナイン・デュオが数体飛来する。
 ビットを闇雲に飛ばし、ヴァルリアを守って身を寄せる。
 ヴァルリアの損傷に伴ってナイン・デュオの戦闘力もまた低下の兆しを見せている。だが、撃破されたナイン・デュオから放出された冷気の残滓はヴァルリアに回収され、そのライヴスを僅かながら回復させていく。
「零に、還れ」
 ナイン・デュオの冷気で体を冷やすと同時に蓄積されたライヴスを、さらに高めるヴァルリア。
 急ぎ散開しようとしたエージェントたちを止めたのは、キースだった。
「たとえ一時その身の絶対零度を取り戻せたのだとしても、放熱板を損なった以上、長く保てはしません。時間を与えて再生される前に……攻め切りましょう」
 エージェントたちの目に光が灯る。
 ヴァルリアに時間を与えれば、それだけ明日が遠のく。
 ここで退くわけにはいかない。還るために、踏み出さなければ。
「盾装備のみなさん、私の指示で角度を整えてください!」
 盾持ちのエージェントが陣形を整える中、ヴァルリアの計測を続ける恵。
 彼女は慎重にヴァルリアを探り、そして。
「――僕の指すほうへ!」
 果たしてヴァルリアのフルバースト――純然たる凍気の奔流が、恵の指先へ喰らいつき、その体を飲み下した。


●静止
 凍気が並べられた盾の壁をこすりつけていく。恵の指示で直撃は避けたものの、それを構えるエージェントたちの腕が、体が凍気の余波で凍りついた。
「――まだ倒れる時じゃない! ヴァルリアを討つまで耐えるんだ!」
 【鶏鳴机】小隊の杏子(aa4344)が、インタラプトシールドで壁を支えつつ、月鏡 由利菜(aa0873)、そして世良 杏奈(aa3447)、ふたりの同僚を返り見る。
「私らが耐えられるうちに頼むぞ」
 餅が由利菜の手にライヴス結晶を握らせ、サムズアップ。
「行くんですよね。支えますよ、ワタシたちみんなで!」
「はい――!」
 深手を抱え、なおここに立つエージェントたちが覚悟を決めた。
 行く。
 討つ。
 GーYA(aa2289)始め、仲間の盾に守られていたエージェントがヴァルリアへ跳ぶ。
「魂の炎を燃やして紡いだ、未来へ向かうあたしたちの絆。かならずあなたの先へ――青い空へ繋いでみせるよ!」
 緊急チャージされたヴァルリアの冷凍光線がエージェントたちを薙ぎ倒すが、しかし。
 ある者は吼えた。
 ある者は噛み締めた。
 ある者はため息を漏らした。
 ある者は友に目線を投げた。
 そして倒れた仲間をかばい、先へ。
 先に立つ絶零の総督ヴァルリアへ。
 命の熱のすべてを得物に託し、打ちかかる。
 最初はわずかに、徐々に大きく遅れ始めるフィールドの発生。その隙を縫ってエージェントはさらに攻め立てた。
 絶対零度の崩壊が、ここに始まっていた。
「当たって抉って――後はよろしくお願い」
 廃墟の屋上に身を潜めていた【戦終聞】の隊長、雁屋 和(aa0035)がヴァルリア目がけて跳び降りる。
「友だちが世話になった礼をさせてもらう。雪を舐めろ――エージェント各員、耐衝撃体勢をとってくれ。揺らすぞ」
 主導権を英雄に託した木霊・C・リュカ(aa0068)は、和と共に降下しながらLSR-M110を三点バーストで連射。その弾のひとつひとつに込められたライヴスが着弾と同時に起爆し、多重の衝撃波でヴァルリアを押しつける。
 倒れぬまでも動きを止めたヴァルリア。その頭頂に和が到達し、龍面の眼へ“御骨頂戴”と銘打たれた炎剣「スヴァローグ」を振るい、炎の彼岸花を燃え立たせる。
「私はあなたを零の世界へなど行かせない。ここで仕留めます、かならず!」
 和の後方から紫 征四郎(aa0076)が伸べたデストロイヤーが龍面に突き立ち、穂先に仕込まれた疑似ライヴス炉を起動させた。爆発の衝撃がさらにヴァルリアを押しつけ、その身を折らせる。
「今ここで、僕にできることをやるだけです」
 【戦終聞】とは逆方向の廃墟に潜んでいた九字原 昂(aa0919)が、地不知を発動して壁を駆け下りて。
「見えなければかわすこともできないでしょう?」
 その体をもって龍面を包み、ヴァルリアの眼を完全に塞ぐ。
 ヴァルリアがその体を掴んで地へ叩きつけるまでの時間――それを得た久朗が、愛槍たるフラメアでヴァルリアを羽交い締め、渾身を振り絞った。
 その体を凍気が、熱気が、容赦なく侵し、えぐり、傷つけていく。
 それでも彼はその回復スキルを自分ではなく、攻め寄せる仲間へ向けて放ち、叫ぶ。
「討て――!」
 隊長の決死に応えたのは、【鴉】。
「拙者は右、米殿は左へ!」
 隊員の援護を受けて駆ける小鉄(aa0213)が、横を行く齶田 米衛門(aa1482)に言い。
「おう、行ぐで!」
 米衞門が強くうなずいた。
 【鴉】の援護攻撃が彼らの背を押し、その足をさらに加速させる。
 それを迎え討つべきヴァルリアのフィールドの再生が追いつかない。力場が揺らぎ、形になりきれない。
「ただひたむきに、叩くでござる」
 肉薄した小鉄。手に握り込まれた苦無が、横薙ぎ、斬りあげ、そして。
「米殿っ!」
「打ち抜くッス!!」
 米衞門のWアクス・ハンドガンが、小鉄の二連撃の間に思いきり振りかぶられ、小鉄最後の斬り下ろしに合わせて龍人体を打ち据えた。
「零に還るのは、あなただけ……! 今度こそ誰も連れていかせない!」
 【鴉】の後衛、御代 つくし(aa0657)に開かれた極獄宝典『アルスマギカ・リ・チューン』が炎を喚び、ヴァルリアの傷ついた“翼”を焼く。
 ここでついに凍土へ墜ちる久朗。
 解放されたヴァルリアの眼が、自らに迫るエージェントへ向けられた。その腕が凍気を撓め、彼らを打ち払わんと振り上げられるが。
「こっち!」
 守るべき誓いを発動させたフィアナが不敵な笑みを閃かせる。
「みんなの攻撃、私が繋ぐんだから!」
 ヴァルリアの拳がフィアナを打ちつけ、突き上げ、掴み、なお叩きつけた。
「どんなに痛くても、苦しくても……退かないし、負けない!」
 彼女に応えたものは言葉ならぬ、リンクバーストしたフィー(aa4205)の突貫。
 迫る凍気が肌をぴりぴりと痛めつけるが、呷ってきたヴォトカはドコへいった? は彼女の脚に踏み出すための熱を灯す。
「そんなに還りてえなら独りで還りな!!」
 魔剣「カラミティエンド」の重い刃が凍気を押し割り、フルスイングで三度“翼”を打った。
 そして。
 炎に包まれた“翼”に無数の亀裂がはしり――割れた。

 ヴァルリアの体が揺らぎ。

 止まった。

「……オレの気はすんでねェけどな、無理しないって約束しちまったし。しょうがねェからトリは任せたぜ」
 【戦狼】のアタッカー、東海林聖(aa0203)が拳を八朔 カゲリ(aa0098)の胸に押し当てた。
「おまえの思いを連れて行くよ」
 カゲリはライヴスソウルを握り込んだ拳で聖の胸に触れ、リンクバースト。
「今がそのときだ。頼んだぜ、嬢ちゃん」
「亮さん、ありがとうございます。……いってきます」
 亮にうなずきを返した黎夜がリンクバーストし、迸るライヴスを翼のごとくに広げ、跳んだ。


●共鳴
「この機を逃すわけにはいかん」
 ライヴス結晶を割り砕いた御神 恭也(aa0127)のドラゴンスレイヤーが、ヴァルリアの背を――“翼”の根元だった箇所を粉砕した。
「すべてを、零に」
 ヴァルリアのコントロールで浮き上がったナイン・デュオのビットが恭也とまわりのエージェントを打つ。
 エージェントたちは得物を振るい、最後には自身の体をもってビットを止め、倒れ伏していった。自分が守った1歩を後に続く仲間へ託して。
「……うちは、零になんか、還らない……亮さんも、みんなも」
 思いを込めた黎夜のサンダーランスはヴァルリアのフィールドを貫き、その本体へ突き立った。
「あなたを倒せばすべて終わる! 覚悟して!」
「貴様に私たちを退けることはできん! この背は多くの手に支えられているのだから!」
 同じ【鶏鳴机】の友のクロスリンクで支えられた杏奈のサンダーランスが、由利菜のイリヤ・メック“ナンナ”がヴァルリアを突き崩す。
「我が戦友たちの絆を重ねた剣閃――貴様が滅びるまで刻み込む!!」
 ヴァルリアの拳を額で押し止め、英雄を映して凜と立つ由利菜は手首を返して連続突き。腹部を削った。
「……これが俺たちの生命の熱、おまえが消せない熱だ!」
 先に【戦終聞】が足がかりとしたのと同じ屋上からダイブした月影 飛翔(aa0224)が空中でリンクバースト。腹を突かれて身をかがめたヴァルリアの背の傷にブレイブザンバーを突き込み、ライヴスの熱をねじり込んだ。
 それと同時に、ウィザードセンスで魔力を押し上げていた免出 計一(aa1139)もまたヴァルリアの背に取り付き、飛翔が離れた後の傷口に自らの手を押し込む。リンクバーストの偽りの加護も、仲間の支えもない彼の腕は見る間に焼けただれ、凍りついていくが。
「たとえ零に戻っても、俺たちは前に進むんですよ!」
 ブルームフレアの炎で、内から熱の排出口たる傷を焼き塞いだ。
「ああ」
 ヴァルリアが息をつく。
 その爪に裂かれ、地に墜ちる中、計一は見た。
 ヴァルリアの無機質な龍面に浮かぶ、深い「嘆き」を。
「世界を零に返せなかったおまえの嘆きは理解した。だが、それでも俺は……俺たちは、明日へ進むだけだ」
 クロスリンクを通じて流れ込んでくる【戦狼】の隊員たちの心を共連れ、カゲリは双炎剣「アンドレイアー」――“燼滅の双剱”を振りかざし、黒焔をヴァルリアへと突き込んだ。
「全ては」
 腹に食い込み、ずるずると差し込まれていく切っ先を見やりながら、ヴァルリアがまた息をついた。
「零に、還る」
 ぎちぎちと伸べた爪先でカゲリを押し払い、ヴァルリアが前へと踏み出す。
 異世界が、その体を押し包んでいく。
「このまま神世になんざ還らせるかよ」
 【戦狼】と共闘し、ヴァルリアを攻め立ててきた【BR】、その隊長リィェン・ユーが口の端を吊り上げ、リンクバースト。屠剣「神斬」を携えて“神”の前に立つ。
 彼を追い越し、ヴァルリアを撃ち据えるRPG-49VL「ヴァンピール」のロケット弾。
「これが最終楽章、最終合奏のファンファーレだよ。静寂は、最後の最後まで必要ない」
 十影夕(aa0890)の言葉をさらうように、左右からキミカと赤城 龍哉(aa0090)が駆け出した。
「この世界に、終焉はまだ早いのでな――!」
 キミカのグレイプニールがヴァルリアを打ち。
「なんかぐだぐだ言ってるようだが、俺らからすれば余計なお世話ってやつだぜ!」
 龍哉のためだけに鍛えあげられたブレイブザンバー、そのチャージラッシュによって威力を引き上げられた3連撃がヴァルリアの頭頂を叩き、胸を斬り上げ、晒された腹を突き刺した。
 そして。リンクバーストした【BR】の隊員たちによる連携を、リィェンの「神斬」が締めくくる。
「行き着く来世があるなら刻んでいけ。貴様ら“神”を斬るために、俺たちはいるんだよ!!」
 龍哉の刻んだ腹の傷へ吸い込まれた太い切っ先がひと息にヴァルリアを貫き、空へ届いた。
 コアが割れる。
 ヴァルリアの絶対零度が、大気の熱に、エージェントの熱に、切っ先の熱に蝕まれ、純度を失くしていく。
「またひとつ……零に……還……――」
 ヴァルリアは三度めの息をつき。
 細かに砕けながらこぼれ落ちた。

 と。
 静寂の内に鷹の羽音が響く。
 空へ飛んだ鷹が戦場を見下ろし、高く鳴いた。
「――愚神も従魔も姿なし。見えるのは、どこまでも青い空だけだ」
 援護攻撃と負傷者の運搬、戦いの縁の下を駆け続けてきた鷹の主、永禮(aa4249)がぶっきらぼうに告げる。

 果たして。多くの血を流し、命を削り落として守り抜いた今日を越え、エージェントたちは明日へ還る。

担当:
電気石八生
監修:
御神楽
文責:
クラウドゲームス株式会社
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