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絶零 第1フェーズ:リプレイ

PCイラスト
煤原 燃衣
aa2271
PCイラスト
黒金 蛍丸
aa2951
PCイラスト
大門寺 杏奈
aa4314
PCイラスト
阪須賀 槇
aa4862
PCイラスト
火臥壬 塵
aa3523
PCイラスト
蔵李・澄香
aa0010
PCイラスト
無明 威月
aa3532
PCイラスト
エミル・ハイドレンジア
aa0425
PCイラスト
只野 羅雪
aa0742
PCイラスト
依雅 志錬
aa4364
PCイラスト
鬼子母神 焔織
aa2439
PCイラスト
久遠 周太郎
aa0746
PCイラスト
黒鳶 颯佐
aa4496
PCイラスト
柳 黒斗
aa3866
PCイラスト
小詩 いのり
aa1420
PCイラスト
符綱 寒凪
aa2702
PCイラスト
白市 凍土
aa1725
PCイラスト
灰色 アゲハ
aa4683
PCイラスト
ニノマエ
aa4381
PCイラスト
新城 霰
aa4954
PCイラスト
品野 有紗
aa4352
PCイラスト
森須 亮 
aa1647
PCイラスト
梶木 千尋
aa4353
PCイラスト
ツラナミ
aa1426
PCイラスト
君建 布津
aa4611
●両軍激突
 連合軍やエージェントたちの奮戦により、ヴァルリアを取り巻く勢力は密度が緩み徐々に数を減らしつつあった。
 しかし、それで部隊の侵攻を止められるほど、敵勢力も薄くはない。敵部隊の分断を行い、側近として控えていた愚神や従魔を消滅させてなお、ヴァルリアを基点に多くの敵勢力が残っていた。
 そんな中、ヴァルリアの進行方向からニジニ・ノヴゴロド中央部への移動が予測され、直接攻撃する部隊が迎撃のため移動を開始。この戦いに終止符を打つため、エージェントたちの作戦開始が刻一刻と近づいてくる。
 一方、本隊から分断された敵部隊がヴァルリアとの合流を果たそうと、都市南部から接近しているとの情報が入った。敵の加勢を許せばヴァルリア撃破の障害になることは明確だということから、すでにエージェントたちによる迎撃部隊が広く展開している。
「さぁ、反撃の烽火を上げよう!」
 ドロップゾーンの影響で風雪吹き荒ぶオカ川を前に、【暁】の指揮を執る煤原 燃衣(aa2271)が声高らかに指示を広げた。通信機から伝わる燃衣の声に、【暁】をはじめとした河川で待機していたエージェント部隊の一部が動き出す。
 目標は敵ではなく、都市と対岸を繋ぐ長大な2本の橋だ。
「了解しました!」
 黒金 蛍丸(aa2951)は橋を支える要所を狙い、爆導索を用いて強度を落としていく。
「出し惜しみはしない!」
「さって、お出迎えの前に一仕事しますかねっと!」
 それを契機に次々と攻撃が集中する中、大門寺 杏奈(aa4314)がカチューシャを展開し全弾を解放。橋の広範囲を爆発に包んだそれをパージすると、すぐに予備のカチューシャも展開し連続で発射。
 また阪須賀 槇(aa4862)はフリーガーを構えて『トリオ』を発動し、同じく橋へとダメージを蓄積させていった。
 しばらくエージェントたちの攻撃にさらされた橋は、ほどなくして一部が寸断されて通行不能となり、氷の川へと崩壊した瓦礫が落下していった。中には大きな瓦礫が叩きつけられた衝撃で、氷に亀裂が生じたところもある。
「クク、……さーて俺ちゃんはサボらせて貰おうかね~? お、カワイコ見っけ!」
 そんな中、小隊メンバーの行動とは別に単独行動をしていた火臥壬 塵(aa3523)は、『鷹の目』と双眼鏡を用いて戦場へと目を光らせていた。索敵を行う偵察役の1人として行動しているが、双眼鏡はちょくちょく女性エージェントを追う。
「……っと、サボりは終わりか」
 が、上空の目が従魔の混成部隊を捉えると、塵は表情を改め通信機を取り出した。
「敵の接近を確認したよ! 皆、気をつけて!」
 無線や通信機から情報を受け、蔵李・澄香(aa0010)はグリッド化した戦場の地図に敵の位置を追加で書き込む。同時に、所属小隊の【ゆるり】や近くのエージェントへも広く警戒を促した。
 まず姿を現したのは、イクサカバネ・ゴブリンスノウ・フローズンジェルの混成部隊。凍った川に黒い影を落とす大部隊は真っ直ぐ横断しており、ちらほらと肉眼でも確認できるようになってきた。
「きやがったです! 位置は南南東方面です!」
「わかった!」
 無明 威月(aa3532)が敵の詳細位置を燃衣へ簡潔に伝えた直後、燃衣が通信機で新たな指示を飛ばす。直後、従魔の進行方向へいくつもの【砲撃】が降り注いだ。
 橋の破壊によって、敵の移動は凍結した川を渡る以外の選択肢が存在しないため、【砲撃】の影響から逃れることが出来ない。エージェントたちの綿密な情報共有により行われた精確な【砲撃】もあって、敵進路上の足場が崩れて進行が大きく鈍った。
「よっこい……、しょー……! どっこい……、しょー……!」
 さらに、エミル・ハイドレンジア(aa0425)は川に生じた亀裂をさらに押し広げるため、アックスチャージャーを利用したファルシャを振りかぶり、氷へ叩きつけた。【砲撃】で脆くなった足場の崩壊が進み、敵の進行がさらに遅延する。
 一通りの仕事を終えたエミルは見えない汗を拭った後、すぐに次のポイントへ向かって氷の川を斧で耕していった。
 そうして生じた隙を見逃すはずもなく、エージェントたちは素早く敵の迎撃へ移る。数の差は圧倒的に不利だが、【砲撃】の妨害を乗り越える敵は隊列を大きく崩し、敵軍の密度が小さくなることで突破力は失われている。
 戦況が楽になったとは決して言えないが、一丸となって迫られるよりは対処がしやすくなっているのは間違いない。
「OK! 掃射行きますよっと!」
 ドラムマガジンを装着したAK-13を構え、槇は『射手の矜持』を発動させて宣言通り敵集団へ銃弾をばらまいた。その際、わざと弾幕の一部を手薄にすることで回避方向を誘導し、仲間の範囲攻撃を補助。自身も攻撃範囲が広がるフリーガーに持ち替え、一網打尽を狙っていく。
「崩壊した足場を迂回する敵の動きが速いので、足止めはそちらを優先的に!」
 通信機で敵の位置を随時伝えながら、只野 羅雪(aa0742)は接近戦でくい止める前衛の脇を抜ける敵へ、次々と銃弾を浴びせる。同時に戦況を【労組】メンバーや他の仲間へ積極的に伝え、把握した情報の経由役として拡散も行っていく。
「簡単には通しません!」
 さらに後方、エージェントの猛攻から突出した敵を川岸にて待ち構えていた蛍丸は、距離がある内は銃で、近づかれると鬼若子御槍に持ち替え撃退。遠近の武器を使い分けながら、1体でも多くの敵を倒して歩みを止めようと奮戦する。
 だが、敵勢の多寡を考慮して迎撃しているとはいえ、やはり敵の進撃を止めるまでには至らない。徐々に戦線は都市部へと後退していき、川を越えられるのは避けられそうもなかった。
「……! あれは……」
 その上、【暁】のメンバーから離れ単独行動していた依雅 志錬(aa4364)が、SVL-16に取り付けたオプティカルサイト越しに、敵の別働隊の姿を捉えた。
 明らかに機動力が高いその集団は、多くのフロストウルフを従えたケントゥリオ級従魔のルタが12体、先頭を走ってこちらへ迫ってきていた。


●駆け抜ける強行軍
「ここからが踏ん張り所です! ……負けたら承知しねぇです!」
 すぐさま出現に反応した威月はルタがいる方向へ走りつつ、通信機で目標座標を指定した上で【砲撃】要請を追加。イクサカバネらへ行った妨害と同じく、ルタたちの進行方向にある川の氷を広く割り砕いていく。
「敵は散開しつつこっちに来るぜ! ……が、統率はやや甘いみてーだ!」
 その様子を『鷹の目』と双眼鏡で確認した塵は、ルタたちの動きに見た違和感を仲間へ報告した。
 混成部隊と同じく一定の進軍阻害効果を示す一方、高い機動力を活かしたルタ部隊の一部は砕けた氷を飛び移る移動を見せた。そうした敵はすぐに味方エージェントに接近し、戦闘状態へと突入する。
 しかし、連合軍の攻撃を強行突破してきたらしい迂回部隊は全体的に編成がやや乱れ、動きのまとまりが悪いように見える。それが、塵の感じた違和感だった。
「市街地には絶対に行かさない! ここで止めてみせる!」
 そうした情報を受け取りつつ、杏奈の招集によってルタ討伐を優先させる【暁】メンバーや他の仲間が集まった。そして、吹雪を突貫してくる敵部隊へ向け、杏奈は爆弾頭に変化させたサルンガの光弓や『ライヴスショット』で迎え撃つ。
「行くぞ皆! その背に【暁】を刻めッ!」
 弾幕を無理矢理やり過ごそうとする先頭のルタへ向け、前線へ出た燃衣はジェットブーツで飛翔。上空から『疾風怒濤』の急襲をしかけ、残った敵の生命力を一気に削りきった。
「参りマス……、お覚悟を……ッ!」
 防衛の薄い場所では鬼子母神 焔織(aa2439)がその穴を埋め、複数の敵を視界に収めると『怒濤乱舞』で敵の足を鈍らせる。その中でルタを見つければ、すぐさま距離を詰めて『疾風怒濤』の連続攻撃を浴びせた。
「皆はやらせないよ!」
 体を張って敵をくい止める前衛の後ろから、澄香はリフレクトミラーで拡散した魔法攻撃で援護。ルタへは特に警戒を強め、『霊力浸透』を施した『サンダーランス』で迎え撃つ。
「行かせ……ない!」
 強行軍との戦闘を繰り広げるエージェントたちを眼下に収め、橋の上から敵の急所へと狙いを定める志錬は、射撃支援でルタらの進軍を阻んだ。
 懸命に敵部隊の波を押し返そうとするエージェントだったが、数の暴力を前に次第に押されていく。いくら倒しても敵の勢いはとどまることを知らず、いつしか戦力の損耗を与えるよりも受ける方へと比重が傾いていた。
 敵の数は決して無限ではない。だが、何度倒しても襲ってくる絶え間ない敵の攻撃で、終わりの見えない戦いに身を投じているかのような錯覚が心を蝕む。じわじわと広がる負の感情は、エージェントたちの脳裏に霜が如く根を張り精神力を削る。
「これ以上は厳しいか……!」
 何体目かの敵をライオンハートで払い、久遠 周太郎(aa0746)は肩を弾ませつつ後ずさる。
「ここから先へは行かせません!」
 石動 天河(aa4834)が野太刀を担ぎ上げて敵にぶつかっていくが、それも敵の数が多く、押し包まれて集中攻撃をうけるとさすがに支えきれない。
「重傷者を後退させます!」
 イクサカバネらの部隊と相対していた羅雪は、大きく負傷した彼らを治療しつつ味方へ連絡し、前線の後退速度を上げた。
「僕らが撤退の時間を稼ぎます!」
「今のウチに、……撤退を!」
 すると、蛍丸ら川岸で迎撃を担っていたエージェントや、遠距離支援をする仲間の守護を優先させていた焔織らが自然と殿を務めることとなり、追随する敵の注意を引いていく。
 ルタやフロストウルフと比べると機動力は劣るとはいえ、部隊を構成する数はこちらが上。大波のように押し寄せる物量を前に、蛍丸や焔織たちは表情を強くしかめて何とか押しとどめる。
「こっちも、そろそろきついです!」
 また、ルタ中心の強行軍に対応していた威月たちも、迫るルタに対して強力な反撃を展開していた黒鳶 颯佐(aa4496)と藤原 直流(aa4718)が負傷したことで、戦線を都市へと後退せざるを得なくなった。
「……ここまでだな」
 颯佐が黒鎖の巻き付いた爪でフロストウルフを引き裂き、直流に目配せする。
 颯佐は敵を引きずり回して自らを餌にしていたが、それだけに負傷が激しく、負傷した味方を庇う形で奮戦した直流も、これ以上は限界だった。
「ん、引き際は大事」
 川を渡ろうとする敵を排除していたエミルも、負傷者を運びつつ市街地へ向けて走る仲間を見送りながら、追撃を仕掛けようとする敵へ『怒濤乱舞』を見舞って散らす。無理に戦闘を続けることはせず、エージェントたちは遮蔽物が多い市街地へ向けて走っていった。
 そうして両軍幾分かの消耗を負いつつ、戦場は凍った河から街中へと移っていく。


●うつろう戦場
『前線部隊が撤退しました。敵の残存数はまだ多いですから、気をつけてください』
 オカ川で戦っていた味方部隊の撤退は、情報管理に注力する【蝶】の柳 黒斗(aa3866)から伝えられた。続けて、現在判明しているだけの敵味方の位置情報を簡潔に伝達していき、迎撃や救援に適した予測ルートも知らせていく。
「さあ、みんな準備はいい? 作戦名は『(敵が)猫(に)まっしぐら!』だよ!」
 連絡を受けた【ゆるり】小隊長の小詩 いのり(aa1420)は、事前に地理を調査し市街地へ広く展開した仲間へ連絡を入れる。通信機から頼もしい返事があり、いのりは笑みを浮かべながら動き出した。
 他方、負傷者の救援を主に引き受ける【愉快】の符綱 寒凪(aa2702)や白市 凍土(aa1725)たちもまた、重傷者の搬送のため移動を開始する。
「行くよ! 私たちに出来ない事は、お金を増やす事くらいさ!」
「……うんまぁ、ここまで来たら付き合うけどさ!」
 その際、寒凪のつっこみ所満載な台詞が飛び出たものの、凍土は深く言及することは避けて後に続いた。
 やがて、ニジニ・ノヴゴロド市街に多くの影が流れ込んできた。偵察で飛ぶ複数の『鷹の目』が最初に捉えたのは、味方であるエージェントたち。大なり小なり負傷が目立ち、疲労の色が見て取れる。
『その通りを右へ。負傷者と護衛の人たちが、後ろから従魔の追い打ちを受けています』
「とりあえず、足止めくらいはしないとだな」
 黒斗の指示で重傷者を運ぶ仲間と合流した凍土は、これ幸いと追撃をかけるフロストウルフたちへ『ブルームフレア』を放つ。倒すためというより、目をくらませて怯ませることで勢いを落とすためだ。
 そうして、適宜攻撃を加えつつ撤退を援護しながら敵を一時的に引き剥がし、近くの建物へ身を隠した。
「お疲れさま。温かいスープはどう? ここは寒いから、身体が温まるよ」
 敵をやり過ごして治療を施す中、負傷が軽い仲間へ寒凪が新型MM水筒に入れたスープを差し出した。
 体力を回復させるわけではないが、温かいものは気持ちを落ち着かせる効果がある。緊張状態を長期間維持するのは精神的に疲れるだろうと考えた配慮だろう。凍土も同じようにスープやチョコを配り、一戦交えた仲間へ労いの言葉をかけていく。
 その後、撤退してきた味方部隊の後から、追随してきた敵の本隊が現れた。市街地南部をバラバラに移動しているらしく、小規模な集団が広範囲に展開しているように見える。すべてを倒して回るにはかなり時間がかかりそうだが、すべてが悪い方に働くわけではない。
 この戦場にいるエージェントが求められる役割は、敵の殲滅ではない。
 ヴァルリアとの合流を阻止し、他の仲間がヴァルリアを撃破するまで持ちこたえ、少しでも戦線を維持して敵の足を釘付けにすること。
 そのためには、まず敵の頭と機動力を奪う必要があった。
『確認されているルタは、現在大通りを北上中。数分後に接触しますよ』
「了解した。まずは我らが先陣を切ってやろうではないか」
 黒斗の連絡を受けた灰色 アゲハ(aa4683)と共鳴したシズク(aa4683hero001)は、鎌を構えて不敵に笑む。ルタを待ち構える間に同じ【砂狐】メンバーや近くの仲間へ通信を行い、作戦の確認を行っていく。
「……ちっ! 本当に厄介だなこいつ!」
 程なくして相対したルタと刃を交えつつ、ニノマエ(aa4381)は《病の刃》に悪態をつきつつ後退する。数体のルタとフロストウルフは果敢に攻めの姿勢を維持し、徐々にニノマエたち前衛のエージェントを追いつめていく……かに見えた。
「ルタがポイントに移動……今だ!」
 そこで新城 霰(aa4954)と共鳴した都呂々 鴇(aa4954hero001)が、周囲に待ち伏せて展開した味方部隊の射程範囲に敵部隊が入ったことを『鷹の目』で確認して立ち上がり、通信機で飛ばした攻撃開始合図とともにルタへ銃弾を連射した。
「隙を作る!」
 それによりルタが鴇へと視線を向けたところで、近くにいた奈義 小菊(aa3350)が通信機へ叫んだ直後、『フッラッシュバン』がルタの眼前で光を爆発させた。困惑をより一層強めた敵部隊は、続けざまに伏兵として控えていたエージェントの集中砲火を浴びる。
「みんな、お疲れさま! この調子でどんどんいこう!」
 飽和攻撃を受けて倒れたルタたちを確認し、誘導役の1人だったいのりは作戦結果に満足そうに頷くと、負傷の濃い味方へ回復を施す。しかし、すぐに新たな位置情報を受け取って、指示を出しつつ撃破に有利な場所まで敵を引き寄せるために駆け出した。
「こんにちは!」
 他の場所では、品野 有紗(aa4352)が通りがかったイクサカバネたちの前に姿を現し、ウーストレルで切り裂いた。
「ちょっとばかり有紗たちと遊んでいってね。嫌とは言わせないよ!」
 笑みを浮かべながら一度後退すると、敵部隊の注目は自然と有紗へ集まっていく。そして、一斉に有紗へ襲いかかろうとした時。
「残念、こっちだ」
 有紗を挟んで敵の背後に姿を現した森須 亮 (aa1647)が、隙だらけの敵部隊へまとめて『幻影蝶』の範囲へ飲み込んだ。
「――ふっ!」
 直後、亮の脇から【崩月】を率いる梶木 千尋(aa4353)が敵の中央まで突出し、『怒濤乱舞』でまとめて薙ぎ払う。
「やったね、大成功!」
 連続の奇襲に浮き足立つ敵部隊へ突っ込んで千尋と合流した有紗は、悪戯が成功したような声を上げ、そのまま敵陣をすり抜けた。彼女ら【崩月】小隊はそのまま仲間と合流すると、追撃は行わずに再び身を隠す。
「かなり散ってんなー。……だる」
 また別の場所では、【蝶】から情報をもらったツラナミ(aa1426)がフロストウルフ数体を発見し、中距離の位置から苦無を投擲。そのまま別の敵を見かけては適度にちょっかいをかけつつ後退していき、次第に道路の幅が狭い場所へと誘導していった。
「うわー、大漁ですねえ」
 そして、ツラナミが路地裏を駆け抜けた瞬間、路地に面した建物の2階から君建 布津(aa4611)が飛び出し、『ストームエッジ』で後続の敵へ奇襲をかける。続けて近くに潜伏していた仲間も飛び出してきて、集まった敵を袋叩きにしていく。
「おにさんこちら、手のなる方へ……なあんて、子供の頃やりませんでした?」
「さあて、な。まあなんだ、ほどよく適当ってことで……」
 ヴァンピールを手に敵の全滅を見送った後、布津は飛鷹を納刀する【幽世】の小隊長であるツラナミへ笑みを向けた。面倒くさそうにしつつ、敵の誘導後に身を転じて撃破にも参加したツラナミは適当に相づちを打ち、軽く声をかけてからまた駆け出す。通信機に入る情報から新たな敵を誘導し、少しずつ敵の戦力を削っていくために。


●掲げるは希望
 市街地の地形を事前に調査して得た情報を活かし、エージェントたちは次々と変遷していく戦況を密な連絡で共有していく。数で劣る分を連携の質で埋めることで、ゆっくりと確実に敵の戦力を減少させていった。
「これで厄介な敵はラストだ!」
 誘導と集中砲火を何度も繰り返し、ついに最後のルタと相対するエージェントたち。抵抗を激しくする敵の一団へ向け、鴇は銃で牽制と連携の妨害を図る。
「新城はやらせない!」
 銃弾の間を縫って接近してきた複数の敵へは、小菊が『トリオ』で勢いを殺ぐ。すぐさま前衛のカバーを受けた後、小菊は続けて『威嚇射撃』で支援へと回った。
 そして、攻防の末に最後のルタが倒れ、エージェントたちは少しだけ安堵の息をこぼす。
「ひとまず、厄介な存在は喰らい尽くしたか」
 誘導と戦闘を繰り返してダメージが大きい前衛を『ケアレイ』などで回復しつつ、シズクが目を細める。通信機に耳を当てると、まだ各所で戦闘は続いているため、気を抜くことはできない。
「ある意味、ヴァルリアが倒れるまで、持ちこたえればいいんだよな? なら、後は我慢比べ、ってことだ」
 大きくため息をつき、治療を受けたニノマエはすぐに立ち上がった。
 残された敵は、倒しても復活するイクサカバネが主になる。そして、自分たちの仕事はこちらに集まった敵を、ヴァルリアの元へ抜かせないこと。
 ならば、やることは今までの作戦とそう変わらない。
「退き時は間違えんなよ。先は長いんだ、のんびりじっくりイヤガラセしようや」
 別の場所で、敵に姿を見せた亮は『銀の魔弾』を敵へとばらまく。常に奇襲と攪乱を繰り返していた【崩月】は、終始徹底して撃破よりも敵の妨害や翻弄を重視してきた。そうして止まった時間の分だけ、仲間がヴァルリアを討つことだけに集中できるのだから。
「こっちはまともに戦う気なんてないのよ。ルタもいなくなったらしいし、後は時間を稼がせてもらうわ」
 【崩月】の小隊長である千尋はそうこぼし、『トップギア』でライヴスを集中させた『疾風怒濤』でイクサカバネの肉体を破壊。周囲にいる敵へはすれ違い様にスヴァローグの一撃を入れてすり抜け、次の敵部隊を足止めするために駆けていく。
「掻き回すよ! 私たちが掻き回しただけ、他の人が楽になるんだから!」
 そして、今まで積極的に戦場を回っていた【影】の小隊長である星野 颯希(aa4418)は、仲間に声をかけながら通信機へも呼びかける。颯希は【蝶】や目視で敵が多くいる場所を確認しては、【砲撃】で市街地の建物を攻撃するよう頻繁に要請していた。
 時に進路を塞ぐように瓦礫を落とし、時に敵の攻撃を乱すために付近の建物を破壊させて、颯希は敵の撃破ではなく行動阻害に徹底して身動きを封じていく。それで生じた隙は、攻撃を担う仲間が埋めてくれるため、追撃を行う必要はなかった。
 エージェントと敵部隊との戦闘は一進一退の状況が続き、ほぼ膠着状態となっていた。
 その最中、遠くの場所から寒波の強風が勢いよく運ばれ、エージェントたちの肌を鋭く刺していく。
 何事か、と疑問に思う者はいない。
 ドロップゾーンによる風雪で視界が遮られ、離れた仲間の声を届かせる通信も万全ではないが、頼もしい仲間たちがそこで戦っていることは確認せずともわかっている。
 世界を飲み込もうとする《零》を終わらせる戦いの余波だと、全員が知っているのだ。
 敵の数は減ったとはいえ、決して油断できないほどの勢力を保っている。ここで力尽き、大量の敵をヴァルリアへ送り込んでしまえば、仲間をさらなる苦境へ立たせてしまうことだろう。
 だから、立ち向かう。
 この場所よりもさらに苛烈な戦場に身を置く仲間たちを少しでも助けるために、自分たちが今出来る最大限の援護をしてみせると、一層力を振り絞った。
 自分たちが仲間の『希望』となり、仲間たちが世界の『希望』になることを信じて。

担当:
一 一
監修:
御神楽
文責:
クラウドゲームス株式会社
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