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【絶零】

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1:共通オープニング

●極北の地にて
 ロシア連邦、ウラル山脈以東に広がる広大な大地、シベリア――。
 タイガと呼ばれる針葉樹林が鬱蒼と広がり、高緯度にはツンドラが、それらの地下には永久凍土が広がる土地。大陸性気候で寒暖の差は激しく、真冬ともなれば、地域によっては平均最低気温が-50度を突破することも珍しくない。
 “それ”はそんなシベリアの一角に存在していた。
 シベリア・ドロップゾーン――シベリア北部、閉鎖都市ノリリスクの北方遠くに位置する大型ドロップゾーンである。

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2:目覚める零

●まどろみ
 覚えているのは、無。
 あらゆる運動が停止した絶対的な虚無。
 長い時の中で自己と他者を意識できなくなった時、自らも、やがて無へと還る――それは漠然とそう了解していた。運命などではない。必然的な、自然な帰結としてそれを理解していた。
 流れもせぬ長い時を経た末、そこに一筋の光明が差した。
 それを、混沌と云う。

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3:征西の暴冬

●眠りたるゼロ
 これより暫し前。時はやや遡る――。
 シベリアの大地に、白く凍てついた世界が広がっていた。
 その大地は、厳しい自然で知られていた。だが、今繰り広げられている異常な寒波――惨劇と呼んでも良いそれは、厳しさでもなければ、自然でさえもない。まさしく、文字通り異常な、不自然な存在であった。
 生きたる者が絶無となった世界は、一直線に西へ西へと延びていた。

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4:ユラン

●竜の牙、迫る
 大軍は怒涛となり、雪原を侵していく。
 『ヴァシレフスキー作戦』によって勢いを押しとどめられたものの、ヴァルリア率いる愚神軍の進撃は止まりはしない。都市ペルミを呑みこんだ後、愚神たちは依然として西進を続けていた。水流が堰を押し流したかのように、いっそうの激しさで。
「くそ……なんて勢いだ!」
「耐えろ! これ以上は進ませるな!」
 吹き荒れる暴風の中、冷気に体も心も止まりそうになるのをこらえながら、ロシア兵たちは襲来する愚神・従魔たちと戦っていた。視界不良、異常気候の中でも、戦闘能力を保っているのはさすが精強なるロシア軍というところだ。
 だが戦場の兵士たちの気迫とは裏腹に、戦線はどんどん西へと動いていた。持ちこたえるには明らかに能力者の数が足りておらず、ロシア軍としては後退しつつの遅滞戦闘をしかけるよりないのだった。
 あらゆるものを呑みこみ、零に帰す大竜――ヴァルリアの牙は、ロシアの中枢を食い破らんと迫っている。

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5:到来、絶対零度

●作戦、始動
 敵軍を前に苦戦の続いているロシア軍各部隊へ、指令が下される。
 とはいえ、それは彼らにとってはあまりに単純な内容だった。
 その場を退かず、敵を殲滅せよ。損耗度合いによっていくらか仔細は異なれど、趣旨はどれも同じであると言えた。
「いったいどういうことだ? 上はなにを考えている?」
 戦況の苦しい中、理由も告げずに退くなという指令は、作戦の全容を知らない部隊指揮官たちには不可解なものだった。しかし指揮官たちは『現場は現場でやれることをやるだけ』と思いきり、部下たちに同様の命令を出した。
 大局を見ている者が、勝利のために自分たちを動かしているのだと信じて、ロシア兵たちは果敢にも従魔の大群へと立ち向かっていく。
 その結果、一直線に伸びていた愚神の軍勢は、ロシア軍の攻撃に応じるかたちで徐々に横に広がっていた。

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6:死闘の暁

●序文
 レガトゥス級愚神ヴァルリアを討伐する。
 それを成すため、H.O.P.E.内に置かれた対策本部は二段階作戦『ユラン』の実施を決定した。
 五十組のエージェントを二隊に分け、一隊は無人都市となったウーニジェへヴァルリアを誘導、もう一隊は衛星兵器ライトニング・ステアウェイの発射までヴァルリアを足止めし、さらには衛星兵器の照準を合わせるマーカーを撃ち込む。
 正気の沙汰ではない、文字どおりの決死行である。が、H.O.P.E.は一年前、レガトゥス級愚神の一本の腕と対し、まさに命を削る戦いの果てにようやく勝利した経験があった。必死以外の選択肢などないことは、始めからわかっていたのだ。
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7:暗転-Darkness-

●不動なる竜
 崩れ落ちる外殻から現れ出でたモノは、時が止まったようにじっと静止していた。ドロップゾーンが失せた空の雲間から、わずかな暖かみを持つ陽光が降っても、それは微動だにしない。ただただ、潰えた外殻が巨大な甲虫の抜け殻のように佇み、美しく光を反射させるのみだ。
 コントロールルームにて戦況を見守っていた、H.O.P.E.首脳と連合軍の将校たちは、モニターに映し出されるその映像を呆然と見つめていた。一時は勝利に湧いたが、いま目にしている謎の人影が、手放しで喜ぶことを許してくれない。

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8:戦う理由

●最前線・零
 サーモバリック爆弾。
 気化爆弾とも呼ばれるこの爆弾は強大な衝撃波と十二気圧に達する高圧、二千五百~三千度の高温を伴う空間爆発を巻き起こす。その加害範囲は一般的に数百mと推定され、航空機からの投下以外にも、ロケットランチャー、グレネードランチャーからの発射も可能である。
 「長期間」「連続で」「全方位から」爆風を浴びせるこの爆弾の、直撃を受けて生きていられる生物はいない。爆風の衝撃波が肉体を吹き飛ばし、さらに高熱が焼き尽くす。直撃を受けて生きていられる生物はいない。
 この世界のものであるならば。

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9:『絶対零度』の終焉

●『絶対零度』の終焉
 レガトゥス級愚神ヴァルリアのコアが砕ける音が、AGWの響きを放っていたエージェント達を沈黙させた。
 やがてヴァルリアのコアから全身に広がった裂け目より眩い輝きが漏れ、その後これまでヴァルリアが蓄積していたライヴスがその全身から吹き上がり、体の各所を大きく引き裂き、内側から吹き飛ばす。
 大量のライヴスがヴァルリアの身を引き裂きながら爆発めいた勢いで放出され、ヴァルリアは粉微塵に砕け散った。

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