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東嵐 第3フェーズ:リプレイ


PCイラスト
木陰 黎夜
aa0061
PCイラスト
田中 源五
aa1689
PCイラスト
ルーシャン
aa0784
PCイラスト
夜取 幎
aa0079
PCイラスト
ナガル・クロッソニア
aa3796
PCイラスト
ミハイル・エッカート
aa0315
PCイラスト
GーYA
aa2289
PCイラスト
宿輪 永
aa2214
PCイラスト
小詩 いのり
aa1420
PCイラスト
千石 琉
aa0685
PCイラスト
まいだ
aa0122
PCイラスト
ツラナミ
aa1426
PCイラスト
シールス ブリザード
aa0199
PCイラスト
須賀利 美羽
aa2594
PCイラスト
煤原 燃衣
aa2271
PCイラスト
一ノ瀬 春翔
aa3715
PCイラスト
円石 ココロ
aa0099
PCイラスト
セレティア
aa1695
PCイラスト
三傘 光司
aa0154
PCイラスト
秋姫・フローズン
aa0501
PCイラスト
黒蜂
aa3493
PCイラスト
虎噛 千颯
aa0123
PCイラスト
咲山 沙和
aa0196
PCイラスト
蓮華 芙蓉
aa1655
●迎撃対奇襲
 突如現れたドロップゾーンと現れた亡霊武者達の奇襲で最も崩れかけていたのは、H.O.P.E.の援護要請を受諾した劉士文より遣わされた、古龍幇の戦力だった。
 ドロップゾーン内が刀槍の巷と化す中、亡霊武者達の群れにH.O.P.E.エージェント達がそれぞれのAGWを煌めかせ、その横合いから人とAGWの怒涛と化して雪崩れ込む。
「討ち落としに、行くぞ……。死人をできるだけ、出さねーように……」
 木陰 黎夜(aa0061) の死者の書より放たれた白い羽根が亡霊武者達を打ち据え味方の通る道を切り開くと、田中 源五(aa1689)率いる【戦甲】が一塊となり、黎夜のこじ開けた空間に鋒矢のごとき鋭さで吶喊し、その場に弓魔法銃器の咆哮が響き、彼我の繰り出すAGWと刀槍が闇の中で激突する。
「凌げ、仲間達の為に」
 源五のライヴスフィールドが敵を弱め、小隊員達の繰り出す15式自動歩槍の銃撃で胴鎧の隙間を撃ち抜かれ、無数の剣閃と共に頭を粉砕された亡霊武者達が塵を上げて倒れこむ中、さらに【戦甲】に同行するエージェント達の攻撃が文字通り驟雨と化して亡霊武者達に突き刺さり、押し返していく。
「これ以上わるいこの好きにはさせないのよっ」
 混乱する前線の中、【妖精環】に属するルーシャン(aa0784)が守るべき誓いを使い、古龍幣に向かおうとする亡霊武者達の戦意を自分のもとへ引き寄せては、【妖精環】を率いる夜取 幎(aa0079)が他の仲間達とも連携し、局所で数の優位を確保して、確実に亡霊武者達を屠っていく。
「やれやれ……。面倒なことに敵が増えていくけど、そろそろ終わらせたいよね……」
 幎はそう言ってため息をつくが、自身もスナイパーライフルの銃撃で亡霊武者達の体を穿ち、迎撃の手を緩めない。
 眼前の状況を把握後、黎夜が通信機を介し古龍幣への亡霊武者達の攻勢が弱まった事を味方に報せ、古龍幣救援に向かうエージェント達の本格的活動が始まった。


●古龍幣を救う者達
 迎撃に向かうエージェント達の作り出した貴重な時間と空間を使い、古龍幣救援にかけつけたエージェント達はそれぞれの活動に取り掛かる。
「ドロップゾーン内の地図ができたわ。情報支援準備OK」
 その中で栗原 雅(aa3981)は、予め協力者を募り各所から情報をやり取りできる【蝶】という情報網を構築し、収集できた情報を整理分析後、ドロップゾーン内の大まかな地図を作製し、情報が入り次第常に最新の情報を各所へ送り届けるべく奮闘していた。
「怪我をされた方はこちらに!」
 現場に到着したナガル・クロッソニア(aa3796)がエージェント達や古龍幣のうち健在な人達の協力を募りながらも、運ばれてきた負傷者のトリアージを行い、用意できる道具を駆使して作成した、負傷度に応じた色の識別票を負傷者につけながら周囲の人達に説明を続け、味方の利用する情報伝達網も駆使して搬送の手筈を整える。
 そして【蝶】を介して連絡を受けたミハイル・エッカート(aa0315)達【大企業】のメンバーが治療優先度の高い負傷者の率先して引き受け、ドロップゾーン外へ次々と搬送していく。
「手を取り合うと約束した。だから助けるのさ」
 健在な古龍幣メンバーと共に搬送作業に勤しむ中、ミハイルは古龍幣の面目を保つやり方で負傷者を救っていた。
 同じような事をGーYA(aa2289)や【ゆるり】所属の宿輪 永(aa2214)も考え、それぞれ行動していた。
 永は古龍幣の精鋭である黒兵部隊を率いる李永平を探し当て、この状況下でのH.O.P.E.との協力体制を築く事や負傷者の後退を呼びかけるよう交渉していた。
「黒兵の大隊長から……の方が、声が通りやすい……だろう?」
 口調こそ細々とはしていたが、その中に永の古龍幣を助ける確たる意志があるのを感じた李は頷き、無線で古龍幣メンバーに重傷者を下がらせるよう指示を飛ばす。
 一方GーYAのほうはドロップゾーン周辺にはおらず、九龍深城へ戻る途中だった劉士文と、ドロップゾーンの外で無線を介した交渉を続けていた。
「共通の敵がいるならドロップゾーンを突破して倒しに行かなきゃでしょ!?」
 だから皆が集めた情報を共有して先に進みませんか?
 またGーYAとは別に、【ゆるり】隊長の小詩 いのり(aa1420)達からも、劉より現場にいる李や黒兵部隊に向けて新たな指示を出す事や、古龍幣部隊の指揮権をH.O.P.E.へ委譲する要請の他、現地警察との関係改善も兼ね、警察に向け警察リンカーを動員しての活動や拠点確保をしてくれるよう要請していたが、劉や警察からは『今の状況では却って混乱する』と回答があった。
 ただ劉はGーYA達に李と替わるよう頼み、通話先に出た李に向け『きちんと連携して部下を護れ』と伝え、現地警察からも搬送される負傷者の受け入れ場所を用意するとの回答があり、劉も現地警察もお互いの関係は良好とは言い難かったが、それぞれエージェント達への配慮はしてくれた。
 その間にもエージェント達による治療活動は続けられ、古龍幣の部隊は混乱から立ち直りつつある。
 そして集まってくる情報の整理分析に当たっていた雅は、愚神神無月の場所や現地の状況を割り出すと、【蝶】を介して愚神神無月の攻撃に向かうエージェント達にそれらの情報を伝達する。


●愚神神無月への攻撃は
 交錯しては激突する無数のライヴス達の残光に暗闇が灼かれ、無数の金属音や砲声などあらゆる轟音に震える中、愚神神無月とその周囲は不気味なほど静かに陣を敷いていた。
「【蝶】からの連絡では、愚神神無月は眼前の亡霊武者達より後方にいるとの事です」
 【蝶】より連絡を受けた小隊【遺跡】所属の千石 琉(aa0685)は普段の尊大さを隠し、丁重に伝達された情報を周囲の仲間達に説明し、亡霊武者達に覚られずに神無月のもとまでたどり着けそうな経路として、周囲にある民家の屋根伝いに向かうルートを提示した。
 そして同じ【遺跡】小隊の他、仲間のエージェント達も琉の誘導のもと、降りしきる強雨に行軍の音を隠して進む。
 やがて開けた場所の中、眼前に髪の毛を切りそろえ、朱色の着物を纏う幼女の姿をした存在を認めた。
「おおー。ゆかただー。きれーい!」
(あれは着物だ)
 獅子道 黎焔(aa0122hero001)からの的確な指摘を【幼女狩】を率いるまいだ(aa0122)は涼しく受け流すと、明日沢 今日人(aa0485)、ツラナミ(aa1426)の他、シールス ブリザード(aa0199)の指揮のもと【遺跡】隊も扇を広げるように展開し、ひたひたと『神無月』の識別名を持つ眼前の愚神との間合いを縮めていく。
 その様子を神無月は感情のない目で見つける中、恐怖を押し殺して今日人が神無月の正面でシルフィードを構える。
(怖い、怖いよ……)
 かつて遭遇した時と同じ恐怖があった。
 でも、だからこそ……!
 勇気(ブレイブ)は強者や弱者の区別なく、戦うと決める意志があれば誰もが心に抱く事ができる。
 今こうして今日人が神無月と対峙しているように。
「攻撃方法やスキルは全て自分が記録します。内容は無線で伝えます!」
 水導 満(aa1391) がそう仲間達に伝え、琉がまず動く。
「すまんが全力で行かせてもらうよ。でないとこちらがやられそうだ」
 琉のグリムリーパーが疾風怒濤と化して3閃し、神無月の体を穿つと、その間に神無月へ肉薄していたツラナミのシルフィードが風を撒いて閃き、追撃の一撃を叩き込む。
「まあ、なんだ……?あの時の借りくらいは、な」
 そして別方向より武器を小太刀に変え、神無月に肉薄した今日人が毒刃を放ち、他のエージェント達も神無月に殺到する瞬間、それまで無表情だった神無月の唇が喜悦に歪んで吊り上がる。
 ――なぜ笑うのですか。
 味方の戦闘を観察していた須賀利 美羽(aa2594)が疑問を抱いた次の瞬間、眼前の地面が爆発した。
 落下する大地の破片と豪雨にかき回される、煮え滾った大釜のような陥没が現れ、その中へ宙高く飛ばされ切り裂かれた琉や今日人、ツラナミやエージェント達が次々と叩きつけられ、沸きあがる飛沫や水煙が紅色に染まる。
 それが神無月の剣技《斬星截天》と満や美羽が把握する間に、亡霊武者達が斬星截天を受けたエージェント達に襲いかかり、これを防ごうとまいだや【遺跡】隊が亡霊武者達と激突する中、神無月は一言呟いだ。
「出撃」
 その一言で、神無月が前方に敷いた主力の亡霊武者達は揺れ動くように前進を始め、神無月も今まで見せなかった機敏な動作で近隣にある家屋の屋根に飛び移り、屋根伝いに疾走し、未だ態勢を立て直している最中の古龍幣へと向かって突入していく。
 闇と豪雨の中に、神無月の放つ斬星截天が衝撃音となって響き渡った。
 神無月への攻撃タイミングを予め古龍幣の態勢を立て直し後などに定めておけばまた違っただろう。
 だが、今その刃は、未だその途上にある者へと向けられようとしていた。


●護りぬく者達
 亡霊武者主力部隊の進撃はただちにライヴス通信機や【蝶】を駆使して各エージェント達に伝えられる。
 これにまず呼応したのは煤原 燃衣(aa2271)率いる【暁】隊だった。
「【忍】各員、伝達怠るなよ! 後ろにあんのは俺らの希望……絆(リンク)だ! 行かせねェ!」
 一ノ瀬 春翔(aa3715)が近くの民家の屋根上から鷹の眼も駆使し、迫りくる亡霊武者達の動向を把握すると、直ちにその情報が【暁】隊や円石 ココロ(aa0099)率いる【楽園海域】隊にも迅速に伝達される。
 周囲にある道路や民家の部材を集めて即席のバリケードと柵を構築中の【暁】隊に向け、亡霊武者達が刀槍を煌めかせ、ずしずしと寄せてくる中、沖 一真(aa3591)達【銃】分隊がその前に駆けつける。
「これなる陰陽師沖一真、謹んで参る! 【銃】部隊、総員配置へ!」
 一真の指揮のもとエージェント達の銃器や弓が折り敷き、攻撃開始の号令と共に【銃】分隊の上半身が凄まじい光を閃かせた。
 眩い光と共に放たれた巻物「雷神の書」の雷撃や他のエージェント達の放つ無数のライヴスが唸りを上げて飛翔し、亡霊武者たちに叩きつけられその身を削っていく。
 間断なく飛ぶ銃弾や矢、魔法に猛打される亡霊武者たちは後を断たず、打ち負けた数体が体を貫かれて塵と化すが、亡霊武者達は怯みも見せず、次から次へと前へ吶喊していく。
「【銃】分隊、柵後方へ。【盾】分隊、前へ。ここが踏ん張り処だぜ。なぁ煤原……!」
 完成したバリケードの向こうへ退く一真達を守るように、【盾】分隊がセレティア(aa1695)の指示のもと、剣槍の煌めきを残し、波打って亡霊武者達と激突する。
「ボクらが敵主力部隊を抑えます! 皆行くぞォオッ!」
 燃衣は各分隊を指揮しながら、自らもフリーガ―ファウストを咆哮させ、殺到する亡霊武者達に応戦し、他のエージェント達と共に敵主力部隊を他の味方のもとへ向かわせぬ奮戦を見せる。
 前方を押しとどめられたため、進撃を旋回して古龍幣のもとへ向かう亡霊武者達の前にも【楽園海域】隊が防衛ラインを築いて立ち塞がる。
「人以外が相手なら撃ち放題ってね!」
 三傘 光司(aa0154)がファストショットで放ったフリーガ―ファウストが高速射撃と化し、着弾した周囲の亡霊武者達を薙ぎ倒すも、残る亡霊武者達の勢いは衰えない。
「ここから先は、進ませない…っ!」
 ココロのゴーストウィンドが多くの亡霊武者達を絡め取ってその身を朽ちさせ、他のエージェント達もココロによって脆くさせられた亡霊武者達を薙ぎ倒し、別の戦域で必死の応戦を続ける【戦甲】と共に、力づくで亡霊武者達の前進を止め続け、奮戦する。


●共に戦う者達
 迎撃部隊の奮戦は【蝶】の他にも秋姫・フローズン(aa0501)が構築する【八咫烏】にも迅速に伝えられる。
「情報は正確に……です」
 戦場を網目状に分けて整理分析された情報をもとに敵位置を割り出し、味方へと逐次伝え、【蝶】と共にエージェントや古龍幣達の耳目となって、その活動を支援する。
 いまや見渡す限りの場所が、死闘の舞台となっていた。
 闇の中で亡霊武者達と激突するエージェントと黒兵部隊の銃器の轟きが、弓弦の唸りが、AGWと刀槍がぶつかり合い、火花と金属音を散らす様子が、李永平と共に前線で戦う奈義 小菊(aa3350)の五感に捉えられていた。
「信念を曲げる必要はない。お互い全力で戦おう」
 小菊は古龍幣の矜持を尊重しつつ、李に向けて様々な提案を行っていた。
「おう。行くぜ、野郎ども!」
 短く李は小菊に応じると、小菊の提案に応じ、負傷者達や長距離用の武器を持つメンバーを後退させ、黒兵部隊のうちいまだ負傷度が低く、近距離戦に向いている者達を集結させて、小菊と共に亡霊武者達の群れに突入する。
 そこへ再び土砂を巻き上げる土柱が足元から噴き上がる爆風と共にそそり立ち、エージェントや古龍幣のメンバー達を跳ね飛ばす。
 奔騰し崩れ落ちる土柱の向こうでは、黒蜂(aa3493)率いる【黒蜂】隊が、《斬星截天》を放った神無月と斬り結んでいた。
「蜂は刺すだけだ、戦う時は」
 牙で斬り刻みもするが。どのみち斃す。
 神無月の襲来と《斬星截天》で古龍幣を守るエージェント達の堅陣が引き裂かれ、大きく形を崩し、新たな亡霊武者達の乱入に苦戦を強いられていた。
 しかし神無月が投入するはずだった亡霊武者主力部隊は、迎撃部隊の奮戦で釘づけにされ、敵の猛攻を辛うじて防ぐことができた。
 【黒蜂】は防御を捨てた猛攻で味方を守り、【駄菓子】を率いる虎噛 千颯(aa0123)があえて派手に動き敵たちの注意を引きつける。
「昨日の敵は今日の友! みんな、行くぞ!」
 強まる雨を吹き飛ばして、【駄菓子】のハウンドドックや蛇弓・ユルルングル、フェイルノートが吼え、他のエージェント達からも様々な攻撃が加勢する。
 轟然と沸きあがる様々な砲声に、弓弦が矢を放つ響きが混じり、飛翔音と共に【駄菓子】の攻撃が神無月や亡霊武者達に降り注ぎ、それまでエージェントや古龍幣の猛攻に耐えていた亡霊武者達が塵を上げて薙ぎ倒された。
 その隙に乗じて【駄菓子】のメンバーは負傷者達のもとへ駆けつけると回復術や様々な活動でその命を拾い上げていく。
 黒蜂と駆け寄った千颯は、雷光の速度でフラメアを神無月に繰り出すが、攻撃を受けた神無月の黒い双眸に外見にそぐわぬ妖異な光が宿るのを見た次の瞬間、地を穿つ斬星截天に巻き込まれた。
 地面の破片が降り注ぐ中、千颯は跳ね飛ばされずにその場に踏みとどまったが、神無月の攻撃を引き受け、跳ね飛ばされた黒蜂同様、立っているのがやっとの状態だった。
 そこへ神無月がするすると近づいてくるが、咲山 沙和(aa0196)より放たれたスナイパーライフルのストライクが神無月を横撃してそれ以上の行動を阻み、その間に【黒蜂】や【駄菓子】の仲間達が黒蜂や千颯のもとへ駆けつけて、後方へと搬送していく。
「あたしのやれることってさー。こういう地味系な事なんだよねー」
 沙和はそう言いいながらも、味方を援護する狙撃の引き金をなおも引き続ける中、それまで仲間達の耳目の役割を果たしていた【蝶】と【八咫烏】が神無月攻撃部隊の来着という朗報を仲間達にもたらした。


●追いすがる者達
 頑強に抵抗する亡霊武者達をようやく討ち破った【遺跡】【幼女狩】達やエージェント達が、戦場の至る所に互いの戦意が激突する中を駆け抜け、複数の疾風となって神無月や亡霊武者達の群れに突っ込んだ。
 一瞬の交錯と一瞬の激突の後、エージェント達が周囲の亡霊武者達と死闘を繰り広げる中、まいだの投擲したヴァリアブル・ブーメランが弧を描いて神無月に襲いかかり、神無月をその刃で切り裂いて隙を作り、近くまで忍び寄っていた蓮華 芙蓉(aa1655)の手からハングドマンが抜き放たれ、2対の短剣に張られた鋼線が神無月の両脇から絡みつき、その動きを鈍らせる。
「敵じゃなかったら、お友達になりたかったな」
 そう嘯く芙蓉の横からシールス達【遺跡】のエージェント達が神無月に攻撃を開始する。
「前回の雪辱戦だ。今回はお前の情報を全て引き出してやるぞ、神無月!」
 シールスの号令と共に、隊員の放つジェニミストライクの一撃が、電光石火の斬撃が、疾風怒濤の槍閃が、ウィザードセンスで鋭化されたブルームフレアが、ライヴスセーバーの斬撃が、ディフェンダーと礼装剣・蒼華の連撃が、Pride of foolsの威嚇射撃が、アルマデル奥義書の幻影攻撃がライヴスの奔流となって神無月に次々と突き刺さる。
 その様子を、自らのゴーストウィンドで神無月に不浄の風を絡みつかせた美羽が冷静に観察していた。
「非情の刃を前に覚悟は必要。腹はくくった」
 いかなる事態を前にしても味方を救う覚悟と、敵を探るとき味方を守らない覚悟。
 なにより自分だけ安全圏にいない覚悟と共に、美羽は神無月の攻撃を見極め、満は仲間達の発する攻撃の中で、物理攻撃が神無月に叩き込まれた時、神無月の周囲に光る膜のようなものが一瞬顕現したのを見逃さなかった。
 一連の情報を、満と美羽と共に様々なルートを介し、【蝶】や【八咫烏】を経由して味方に逐次伝えていく。
 神無月の魔法防御は極めて高く、ほとんどの攻撃を防ぐ。状態異常に対する耐性もおそらくは非常に高い。
 一方で物理攻撃に対しては、何らかの防御術が作用している為か、効果が上がりにくくなっていた。恐らく本来の物理防御力はそれほどでもないはずだが、不可視の力がその威力を弱めている。
「くっ……」
 飛びのくエージェントたち。
 最も脅威となるのはその攻撃力だ。
 特に《斬星截天》を肉眼で捉えるのはほぼ不可能だが、斬撃の範囲は前方180度の範囲で、射程はおよそ半径10m以内に限定されている。
 一連の情報を掴むまでに【遺跡】や共闘するエージェント達はかなりのダメージを負ったが、神無月もまた、じわりじわりとダメージを追っていく。
 それでも神無月は無感情に、動きを止めず剣を振るう。
 まるで死をも恐れぬのか、あるいは理解さえしていないのか。武器を振るい、武器そのものであるかの如き振る舞いを以って、彼女はエージェントたちを薙ぎ払う。
 そんな中、それまで周囲を席巻していた嵐が止み、彼方で闇を祓うような巨大な光の柱が屹立した。


●戦雲いまだ晴れず
 嵐がふいに晴れる。
 須賀利美羽は思わず顔を上げた。
「あれは一体……?」
 突如現れた光の柱がライヴスの輝きであり、ライヴスの輝きを見せるのがH.O.P.E.香港支部だと彼女が気づいたとき、神無月は剣を引き、退却を開始した。
 まだ戦えるエージェントや古龍幣の黒兵部隊が追撃を試みようとするが、神無月を追おうとした彼らの行く手を阻んだのは残存する亡霊武者達だった。応戦する亡霊武者達がエージェントや古龍幣の黒兵部隊の手で全て塵となって消える事には、その姿を消していた。
『こちら迎撃部隊。敵の動きが乱れた。そちらで何かあったか?』
「それが……」
 やがて迎撃部隊が抑えこんでいた亡霊武者主力部隊も、かなりの損害を出しながら殲滅に成功したとの報せが【蝶】【八咫烏】を介して味方に伝えられ、直ちにドロップゾーン外で待機していた現地警察や古龍幣メンバーに情報が伝えられる。
 駆けつけてきた現地警察の者達が負傷したエージェント達を次々と運び出し、古龍幣もまた李永平より要請を受け、劉士文の手配したメンバー達が駆けつけ、負傷した同胞達を搬送していく。
 どの部隊も大きな損害を出していたが、奇跡的にも死傷者は出ていなかった。
 未だ定着していなかったドロップゾーンは薄れ行くように消え去り、夜明け前を鮮血の宴と変えたこの地にも、これまでのありふれた光景が戻ってくる。
 神無月は去った。
 だが、周囲に渦巻く戦雲が晴れるには、今しばらくの時間が必要だった。
担当:
岩岡志摩
監修:
御神楽
文責:
クラウドゲート株式会社