• 0
  • 55,915
  • 18,731
キャラクター基本画像
ゲスト(aa0000)
スターコイン購入 マイページ キャラクター切替
お気に入り

東嵐 第2フェーズ:リプレイ


PCイラスト
武 仁狼
aa3793
PCイラスト
五行 環
aa2420
PCイラスト
鴉守 暁
aa0306
PCイラスト
小金井 吹子
aa2623
PCイラスト
世良 杏奈
aa3447
PCイラスト
黄昏ひりょ
aa0118
PCイラスト
シエロ レミプリク
aa0575
PCイラスト
鬼灯 佐千子
aa2526
PCイラスト
大生部 多枝
aa3789
PCイラスト
コルト スティルツ
aa1741
PCイラスト
八咫
aa3184
PCイラスト
楠葉 悠登
aa1592
PCイラスト
狩生 すがる
aa1026
PCイラスト
皆月 若葉
aa0778
PCイラスト
豊浜 捺美
aa1098
PCイラスト
加賀美 春花
aa1449
PCイラスト
上田 大吉
aa3773
PCイラスト
カトレヤ シェーン
aa0218
PCイラスト
麻端 和頼
aa3646
PCイラスト
五十嵐 七海
aa3694
PCイラスト
目方 すず
aa1917
PCイラスト
テジュ・シングレット
aa3681
PCイラスト
弥刀 一二三
aa1048
PCイラスト
桜木 黒絵
aa0722
PCイラスト
マリナ
aa1043
PCイラスト
免出 計一
aa1139
PCイラスト
大佐田 一斗
aa3772
PCイラスト
大佐田 みどり
aa3941
●闇色の海へ
 風が雨粒を運ぶ深夜の海。
 暗い海から魚の様な頭部がぬっと出る。
 その後ろの海中では無数の赤く光るモノがぬるり、と動いた。
 そして、《Ark》から最も離れた位置に居る大渦龍「長海」は雲に覆われた空に鼻先を向けた。

 静寂とは程遠い海上に浮かぶ《Ark》内ではエージェント達の声が響く。
「戦場の状況を!」
 【ダンボール】のリーダーであるトキ クロエ(aa1114)が船員に問う。
「Ark付近にサハギンが100以上と大海沌が10以上、離れた位置に大渦龍「長海」が居ます」
 《Ark》の艦内放送やエージェント達の携帯端末に現在の状況が知らされた。
「AとBに分かれて行動しよう」
 トキはチーム【ダンボール】に指示を出す。
「気を付けてな!」
 八坂 千佳沙(aa1548)がライトアイで仲間の目に特殊なライヴスを纏わせる。
 怖い、と哇谷 伴(aa3724)は心の中で呟く。
「ヤバいって! オレ死んじゃうって! あんなデカいのあんなトコにいる!!」
 エージェント達の視界には大渦龍「長海」の雄々しい姿。
 伴の耳に血管がドクドクと脈打つ音が聞こえる。
「皆、怖いのは同じや」
 千佳沙は震える手で伴の肩に手を置いた。
 と、話している間にハッチが開き複数のライヴスヴィークルが大渦龍「長海」に向かって海の上を走る。
 ぬめっとした巨大な魚の様な頭部が水面から出る。
「っ!」
 それに気が付いたエージェント達は共鳴し武器を構えた。
 熾巻 紗朽(aa3725)は素早くクロスボウの矢尻をサハギンに向けた。

「カイジョウですから、シズめられないようキをツけなければ、ですね……!」
 コージリア(aa1369)はトキの指示に従い仲間と一緒に黒い海の上を走る。
 その時、コージリアの足首をサハギンの水かきが付いた冷たい手で掴む。
「させないです!」
 コージリアは大鎌をサハギンの頭部に向かって振り下ろす。
 潰されたカエルの様な声を上げサハギンの死体が海面に浮かぶ。
「ひっ!」
 濁った小さな目がコージリアの目と合うと、小さく悲鳴を上げた。
「危ないっ!」
 武 仁狼(aa3793)が声を上げる。
「エ?」
 海から蠢く触手が勢いよくコージリアに向かってくる。
 仁狼は素早くアーバレスト「ハストゥル」で矢を放つと、触手は矢から逃れるために海中へと沈んで行った。
 だが、本当の危険はその後に待ち構えていた。
「ブレス、来るぞっ!」
 仁狼が声を上げた瞬間、大渦龍「長海」の口から放たれた水流のブレスが海を薙ぎ払い迫り来る。《Ark》の推進器が全推力を傾けてその巨体を揺り動かした。それでも避け切れなかったブレスが《Ark》のフィールドに接触し、ブレスの水流が弾けて空に巻き上げられた。
 風が雨を運ぶ中、弾けた水流もまたひとつの雨となって周囲に降り注ぐ。
「今は、長海よりもコッチか……」
 ざあざあと飛沫を上げる海の中から浮かび上がる無数のサハギンたち。それらがエージェント達の足元へと迫るのを仁狼は見やった。
「……此処で私が果てようと、瑣末な事……強力な戦士達がおりますわ」
 紗朽はサハギンを見て呟く。
 しかし、彼女は……いやエージェント達は死ぬ気は無い。
 ゆっくりと、静かに精神を研ぎ澄ましてクロスボウの引き金を引いた。矢は鋭く空を切ってサハギンの眼を刺し貫く。
 無理をせずに、確実に敵を倒していかなければ。
「こちらA、サハギンを確認しましたわ。数は――……」
 紗朽は現状をB班に伝えた。

「……回復班として……うちらも気張らんと……! 敵にやられる訳にいかへんえ!」
 井上 神楽(aa1545)は千佳沙と一緒に仲間が連れて来た怪我人を回復する。
 しかし、エージェント達の2倍以上も居るサハギンを見て神楽は震える体を手で押さえる。
「おらおら! 纏わりつくんじゃねぇ!」
 五行 環(aa2420)は大海沌の足をティグリスサーベルで貫く。
「ほいほい皆さんやっちゃってー。雑魚は私が片付けるー」
 打ち震えながら海中へと沈む足の影から、サハギンメイジが現れる。その掲げる手にライヴスの冷気が集積していくのを見て、鴉守 暁(aa0306)はスナイパーライフルの引き金を引いた。
 肩を貫かれ、どうと海中に倒れるサハギンメイジ。
 それを護衛するように、数体のサハギンが武器を手に海面を切って現れた。
 闇の中にサハギンのぬめりとした顔が浮かび上がり、暁は思わず顔をしかめる。
「次々来るなーもー」
 トリオで次々と弾を放ちつつも、じりじりと後退する暁。
 入れ替わるようにして、環が横合いに回りこむ。
「そうは坊主が許さなねぇってな!」
 死者の書を開くと、環の周囲に白い羽根の様なモノが生成される。
 だが当のメイジには直撃せず、それはメイジを庇うサハギンを海に沈めるに留まった。
 サハギンたちに守られながら再び《Ark》へと接近を試みていたサハギンメイジ。その手の中に現れた氷の刃。それを推進用ジェネレーターに向けるが――
「ジェネレーターが狙われてる」
 暁が声を上げると、コージリアを含め動けるエージェント達が盾を構えて氷の刃を防ぐ。
「……少しは役に立てるかな? ……泳ぐの苦手だけど……ママがいるし、頑張る!」
 真白・クルール(aa3601)は銃剣付きライフルの銃口をサハギンメイジに向け引き金を引いた。
 銃弾を受けて動きを止めたサハギンメイジ目掛け一気に接近するクルール。ドゥームブレイドと装備を切り替えるべきか? 一瞬浮かんだ迷いを振り払うように、そのまま加速してサハギンメイジに銃剣を突き立てた。
 大丈夫――優しい母親の声がクルールに力を与える。
 短い悲鳴を上げてサハギンメイジの体がライヴスとなって崩れていく。
「……無理せず少しずつ倒そう。撹乱して気を逸らす! ……大丈夫、出来る……!」
 次々に撤退していく仲間を横目で見ながら、クルールはドゥームブレイドを抜いた。


●黒海の主
 サハギンたちの第一波攻撃を撃退した頃。
 エージェント達は負傷をスキルで癒しつつ、次なる敵へと意識を向ける。
「後は……大海沌か」
 伴は軟体動物である『イカ』『タコ』を思わせる頭が海面から出てくるのを見る。
「ほな、気張りや!」
 千佳沙と神楽はエージェント達にライトアイを掛ける。
「うちら、こんなんしかできへんけど……」
「ううん、私には出来ない事だから」
 クルールは屈託のない笑顔で言う。
「無理せんといてなー!」
「はーい」
 千佳沙の言葉にクルールは手を振りながら前へと進む。
 トキの指示によりALブーツの補給は、他のチームと時間をずらして行われていた。それによって戦闘の隙が生まれることがなく、サハギンの群れを早めに減らせた。

「BUGだけに、うちらはしつけーし、生命力だって負けてねーっスよ?」
 と、【BUG】のリーダーである小金井 吹子(aa2623)はアーバレスト「ハストゥル」の矢先を残っているサハギンに向けて放つ。
 サハギンだけを相手にしていたので仲間の傷はまだ浅い。
「残りの従魔も、ちゃっちゃっと倒しちゃいましょ」
 世良 杏奈(aa3447)も残っているサハギンに向かって走った。
「『希望」に近づけさせるくらいなら……今ここで、一緒に果てようぜ?」
 一一葉(aa3823)は口元を吊り上げ、氷の刃を生成される前に近付きウォーハンマーを振り下ろす。
 鈍い音と共にハサギンメイジの死体が海の中に吸い込まれていく。

「俺も皆も無事に帰還するために……。俺の全力をぶつけるっ。必ず帰るんだ、皆で」
 黄昏ひりょ(aa0118)は大海沌に向かってライヴスのメスで切り裂く。
「えいっ!」
 ブラッドオペレートの切り裂いた傷口から、ライヴスと体液の混ざったものが流れでる。少なからず体力は削れている筈だが、元の体力を考えると十分とは言えないかもしれない。それでもエージェント達が一斉に攻撃を仕掛ければ、大海沌はその衝撃に水飛沫を上げながら暴れまわった。
「ああんもううじゃうじゃと……! 新装備試しちゃうもんね!」
 シエロ レミプリク(aa0575)は、拳銃「ケルベロス」を取り出しトリオで目にも留らぬ早さで大海沌を撃ち抜く。
「ヴィランズ説得だの協調作戦だのなんて、私には出来ないもの」
 と、鬼灯 佐千子(aa2526)は肩にフリーガーファウストG3を担ぎ海に向けてトリオでロケット弾を放つ。
 3つの弾は海中を勢いよく大海沌に向かって真っ直ぐに進む。
「……行ったよ!」
 佐千子のまだしも張り上げた声を聞いたエージェント達は素早く大海沌から距離を取るが、その直後、ロケット弾が大海沌に当たって衝撃が走り、勢いよく海水が宙に舞う。
 シエロの逆間接が空を舞う。
「あぶ……っ!」
 シエロが声を上げるより先にサハギンメイジの氷の刃が複数、佐千子の体に刺さった。
 黒い海に佐千子の鮮血が落ちる。
「……っ」
「大丈夫か」
 素早く近付く大生部 多枝(aa3789)。彼女は佐千子の負傷をケアレイで癒すと、再び後方へと退いた。
「助かる」
「気にするな。まずは一旦距離を取りましょう」
 佐千子は小さく頷き、武器を切り替えながら一旦後退した。

「従魔共を片っ端から叩くぞ、ちゃんと運転しろよな」
 フリーガーファウストG3を肩に担いだコルト スティルツ(aa1741)は、チーム【鳥翅】でライヴスヴィークルを運転している八咫(aa3184)に言う。
「終わったらうーんと甘いもの沢山食べるんだから……!」
 コルトの指示を受けつつ、八咫は大海沌や攻撃を避けながらライヴスヴィークルを疾駆し、次々と標的に肉薄していく。
「ヴィークル運転するのも慣れてきたんだよー! ほめてー!」
「はいはい」
 明るく笑う八咫に、コルトはやれやれと言わんばかりに頷いて、ロケット弾を敵集団に放ちつつも、絶え間なく次の指示を飛ばしていた。

「こいつで……最後っ!」
 段々とエージェント達の傷が酷くなる中、リジェネレーションを使い切り、楠葉 悠登(aa1592)は息を切らせる。敵の数も減っているはずだが、味方の損耗もまた少なくない。
「皆は」
 悠登は長海へ向かうエージェント達に視線を向けた。
「大丈夫、そろそろお見送りの時間だよ!」
 シエロが悠登に向かって力強く頷く。
「……いってらっしゃぁーい!」
 16式速射砲が火を噴いた。
 それは突破を試みるエージェントたちに群がろうとしていたサハギンどもを蹴散らし、彼ら急速接近班を見送るこの場最後の支援攻撃となった。


●巨大なる
 黒い海の中で佇む大渦龍「長海」の瞳にエージェント達の姿が映る。
 追跡を試みたサハギンらは他のエージェントたちに足を止められ、急速接近を試みるエージェントたちは一直線に長海へ向かうことができた。
「大蛸の次は大海蛇、UMA好きには涙が出るラインナップですなあ」
 と、狩生 すがる(aa1026)は【火蜂】の仲間と共に大渦龍「長海」の巨体を見つめた。
 その時だった。長海の口が大きく開いたかと思うと、重々しい咆哮と共に水流のブレスがライヴスを伴って放たれた。
 これが《ワダツミの咆哮》か――思わず誰かが呟く。
「散開して」
 その動作を見た皆月 若葉(aa0778)が指示を飛ばした。
「ちょっと運転が荒くなるよー」
 ライヴスヴィークルを運転している豊浜 捺美(aa1098)は後ろに乗っている【双桃華】のリーダー加賀美 春花(aa1449)に声を掛ける。今必要なのは細かい紙一重の動作ではない。全力で射線上から離脱する決断力とスピードだ。
「了解だよっ、捺美ちゃん。しっかり掴まってるから!」
 春花はヴィークルのアタッチメントと捺美を掴んでいる手に力を入れる。
 ライヴスヴィークルを華麗に運転する捺美は、水流によるブレスを回避し長海に向かって速度を上げていく。
 春花はオートマチックの銃口を長海に向けて引き金を引いた。
「龍か、初めて見た。しかも、初めて戦う。人生とは複雑怪奇だな」
 【アメフト】の仲間と長海を見上げ、堤 宗輔は呟いた。
「縁起もんを討つってのは気が引けるが仕方ねえ。どのみち信心もねえしな」
 上田 大吉(aa3773)は桃の弓の弦に矢を番えながら長海へ向けて引き絞る。
「そうだな。燃やす!」
 宗輔は青いライヴスの炎を長海の周囲で火炎を破裂させた。
 間髪入れずに、大吉は桃の弓の弦から手を離し矢をファストショットで射る。

「はは、みんな頼もしいなぁ。思いっきり暴れちゃいましょう!」
 と、若葉は攻撃を回避する仲間を見て声を上げる。
「蛇は頭を潰すに限るぜ。その面、叩き潰してやるぜ!」
 と、カトレヤ シェーン(aa0218)は若葉が運転しているライヴスヴィークルの後ろに座っている。
 あらかじめライトアイを使っているので、雨降る夜の中でも長海がハッキリと見える。彼女は長海の姿をハッキリと認識しながら、フェイルノートで攻撃を加えた。だが、やはりその巨体故か一撃二撃を加えた程度では長海は揺るぎもしない。
 その巨体が身を捩り、若葉はヴィークルを固定して辛うじて衝撃をかわす。
「くっ……」
 その波の合間を縫い、続けて隣を駆け抜けるライヴスヴィークル
「……潰すだけじゃ飽きたらねえ……! 頭も体も、何もかもぶっ壊してやる……!」
「うん、そうだね」
 麻端 和頼(aa3646)はライヴスヴィークルを運転しながら長海を睨み据えると、五十嵐 七海(aa3694)は和頼が運転するライヴスヴィークルの後ろで頷いた。
「はっ!」
 和頼が投げたのは、油性の夜光塗料入りの球だった。七海もテープ式のものを投げるなどして、何とかその身に印を付けようと試みる。
 だが長海は、塗料が付いたのも気にしない様子で悠然としている。
 そのくらいはまるで意にも介さないようだ。
 それでも、やがて位置を変えようと海中へぐるりと潜りはじめる。
「もうちょいだけ……もうちょいだけ持ってくれよ……!」
 弥刀 亮(aa0822)は、【破愚】の仲間より前に出てライヴスヴィークルを操り海中へと潜る長海を目掛けて走らせる。
「能力者の私と英雄、二人だけでも、力になれたら」
 と、目方 すず(aa1917)は長海の様子を見ながら海上を走り回る。
 フェリクス ハイデマン(aa3256)があらかじめ潜伏で長海に接近するが、長海は海中に身を沈めてしまった。
「おじさんは無理しない事にしているんだ」
 と、呟いてフェリクスは長海を警戒しながら後退する。

 すがるはシルバーシールドを手にし、【火蜂】の仲間と共に長海の上を走り回り気を惹こうと試みる。
「フラッシュバンで合図をするので、主砲の準備をお願いします」
 若葉は《Ark》の船員に主砲要請を連絡する。
 海中を進みながら長海は徐々に海上に頭を出す。
(まだ……)
 若葉は長海の行動を観察しながら走る。
 ズズ、と長海は鼻先を曇り空に向けながら海中から体を伸ばす。
「回避!」
 フラッシュバンで長海の位置を知らせながら若葉は声を上げた。
 エージェントたちは長海から距離を取り、一方《Ark》はフラッシュバンの光へ主砲を向ける。
 暗い海に砲撃音が響いた。主砲から放たれた砲弾が長海へと向かって空を切る。
「ウェルダンにしてくれる!」
 宗輔は再び長海の周りに青い炎を燃え上がらせ、大吉は桃の弓から矢を放った。
「丸見えだ!」
「本当にな」
 宗輔は口元を吊り上げながら青い炎を破裂させた。
 しかし、長海は大きく口を開いていななくと、己の体の周囲に、細い竜巻《海龍のとぐろ》を出現させた。ごうごうと音を立てて周囲を薙ぎ払う竜巻。直後、飛来したArkからの砲撃が竜巻に直撃して爆発と共に砕け散った。
「……?」
 すがるは大渦龍「長海」挙動を見ながら首を傾げた。
 【火蜂】の仲間はとぐろを余裕で回避している。
(大渦龍「長海」の技は……大雑把の様ですねぇ)
 その様子を見やり、すがるはひとり呟いた。

 すがるからの報告を受けつつ、油性夜光塗料で頭部が微かに光る長海を横目で見やるエージェントたち。
『今だ』
 【義】チームのテジュ・シングレット(aa3681)の声が通信機からした。
 若葉はライヴスヴィークルを長海に向かって走らせ近付く。
「はぁぁっ!」
 その勢いを利用して、カトレヤはライヴスヴィークルを蹴って跳躍し長海の頭部に向けて火之迦具鎚を振るう。
「気を付けてね!」
 若葉は範囲外に退避しながら【義】の仲間に声を掛ける。
「えいっ!」
 七海は長海の左目に向けてフラッシュバンで目晦ましを試みるが、効いている様子は見られない。
 ならばと和頼が後部座席から跳躍し、バニップの杖を長海の目に向けて振り下ろす。
「おっしゃあ!! 蛇は食えるていうし、今日は皆で蒲焼きパーティーすんで!」
 と、力強く声を上げながら【義】のリーダー弥刀 一二三(aa1048)はフラメアにライヴスを纏わせ長海の口目掛けて突き入れようとする。だが、長海が咆哮を上げるとその衝撃だけで海中へと弾き返された。
 水面に統べる一二三。とそこへ迫る長海の大口に、仲間が辛うじてその身を引き上げていく。
「逃がさないよ!」
 【LC】の英雄シウ ベルアート(aa0722hero001)は、ライヴスゴーグルで周辺のライヴスの流れを見つつ、ライヴスヴィークルの速度をそのままで走らせる。
 素早く一二三を回収し、その場から離れていく七海。
「七海はん、助かります」
 と、一二三は後ろに乗りながら言った。

「さァ、新たな獲物だ、休まず舞って休まず狩るよ蜂共」
 【火蜂】のリーダーマリナ(aa1043)は口元を吊り上げ声を上げる。
 手には長海を倒すためにあるのではないかと、思わせるドラゴンスレイヤーが鈍い光を放つ。
 マリナは通信機で【火蜂】の仲間と連携を取りながら海上を走る。
「大丈夫! 仲間がなんとかしてくれる!」
 と、言いながら免出 計一(aa1139)はあらかじめ拒絶の風を使用しライヴスヴィークルを走らせる。
「大海龍とのバトル!! これぞヒーローの真骨頂!! 行くぜ野郎ども!!」
 アメイジングなフットワークの略【アメフト】のリーダー大佐田 一斗(aa3772)は大声を上げる。
「お兄ちゃんのために頑張るから!! お兄ちゃんのために!! お兄ちゃんの!!」
 大佐田 みどり(aa3941)は、興奮した様子で兄でありリーダーの一斗を見ながら声を上げた。
 暗い海に長海の影が薄っすらと現れる。
「そこから「長海」が出てくる!」
 計一が声を上げる。
 エージェント達は計一が警告した位置から退避するが。
 長海の素早い体当たりでエージェント達の体が子供のオモチャの様に宙に舞う。
「くそっ! 意外と移動速度が……っ!」
 マリナはその様子を見てギリィと口を噛む。
 しかし、【火蜂】の仲間はそれを見て怯む様子も無く長海に次々と攻撃をする。Ark目掛けてワダツミの咆哮を仕掛けんといななく長海であったが、【火蜂】に続き、他のエージェント達も武器を手に攻撃の手を逆に強めていく。
 やがて長海の口元は、Arkではなく自身の周囲へと向けられた。
 まさか――そう思った瞬間、長海は周囲の水面を薙ぎ払うようにして水流を放った。


●大渦龍「長海」
 接近戦が激化する中。
 半数以上のエージェント達はスキルを使い果たし、長海の体当たりやとぐろにより体力も消耗していた。
「流石……タフだな……」
 亮は肩で息をしながら長海を見上げた。
「大丈夫?」
「そ、それよりも水瀬を……」
 と、すずの問いに亮はライヴスヴィークルの後ろに視線を向ける。
「あ、応援を呼ぶよ!」
 すずは通信機で仲間に応援を頼む。

「無理は遠慮したいのですが……そうも言っていられなさそうですね」
 フェリクスは消耗しきった仲間を見ながら呟き、黒漆太刀の柄を握り鞘から刀身を抜いて長海に向かって走る。
「む、無茶しすぎたよ……」
 ボロボロの体で捺美は仲間に肩を貸してもらいながら《Ark》に戻った。
「ご、ごめんね……」
 シウは【LC】の仲間に肩を借りて撤退する。

 まだ体力が残っているのか。大渦龍「長海」を見上げながらエージェント達は思う。
 エージェントたちの攻撃をものともせずに海中へと潜っていく長海。
(また、海中を移動するのですかねぇ?)
 すがるは長海の挙動を注意深く見る。
 長海はこれまでも、エージェントたちの攻撃が激しくなると位置を移動し、《Ark》に対する砲撃地点を切り替えてきた。しかし、今回のこれは、これまで繰り返していた行動と違うと感じられた。
「逃がさないぜ!」
 カトレヤは海中を泳ぐ長海の後を追う。
 ハッ、とした表情ですがるはとある方向に視線を向けた。
(《Ark》……っ!)
 大渦龍「長海」は《Ark》へ向かっていると確信する。
「誰か! 長海を止めて下さい!」
 すがるは通信機に向けて声を上げた。
 通信機から聞こえた言葉に驚くエージェントたち。見やれば、長海は砲撃地点を移動する為ではなく、まさに《Ark》目掛けて一直線に海を進み始めている。
「早くっ!」
 マリナは焦燥感に駆られながら長海を追いかける。
『落ち着くのです!』
 通信機からすがるの声がするが、マリナの耳には届かない。
 《Ark》へ向けて距離を詰めながらも、長海はその途上、海中から巨大な頭を海上に出して唸りを上げる。空と海を振るわせる咆哮がエージェントたちを圧倒した。
「この、巨大蛇……さっさと……沈みやがれっ!」
 カトレヤは並走するようにして長海に近付き、頭部目掛けて火之迦具鎚を振り上げるが、その瞬間に竜巻が海面をまくり上げ、カトレヤを弾き飛ばす。
「せめて……弱体化できればっ!」
 計一はライヴスの蝶を長海に向けて飛ばすがあまり効果があるようにも見えない。
「だ、だめだ!」
 エージェントたちは声を上げ、長海の金色に光る目を睨みつける。
(ノドの鱗が逆立っているなのです?)
 すがるの視線の先、大渦龍「長海」のノドにある鱗が口の開く動作に合わせて震えていた。
(龍、確か……逆鱗が弱点だと聞いたことがあるなのです!)
 大渦龍「長海」の口が完全に開き水流のブレスが《Ark》に向かって放たれようとしていた。

担当:
紅玉
監修:
御神楽
文責:
クラウドゲームス株式会社