• 0
  • 103,490
  • 27,461
キャラクター基本画像
ゲスト(aa0000)
スターコイン購入 マイページ キャラクター切替
お気に入り

東嵐 第2フェーズ:リプレイ


PCイラスト
マリアンヌ・マリエール
aa3895
PCイラスト
森須 亮 
aa1647
PCイラスト
芦川 可愛子
aa0850
PCイラスト
リッソ
aa3264
PCイラスト
賢木 守凪
aa2548
PCイラスト
ギシャ
aa3141
PCイラスト
赤城 龍哉
aa0090
PCイラスト
五郎丸 孤五郎
aa1397
PCイラスト
蛇塚 悠理
aa1708
PCイラスト
リィェン・ユー
aa0208
PCイラスト
志賀谷 京子
aa0150
PCイラスト
笹山平介
aa0342
PCイラスト
齶田 米衛門
aa1482
PCイラスト
御代 つくし
aa0657
PCイラスト
ハーメル
aa0958
PCイラスト
真壁 久朗
aa0032
PCイラスト
秋津 隼人
aa0034
PCイラスト
東海林聖
aa0203
PCイラスト
八朔 カゲリ
aa0098
PCイラスト
ガラナ=スネイク
aa3292
PCイラスト
麻生 遊夜
aa0452
PCイラスト
アルヴィン・キング
aa0550
PCイラスト
カグヤ・アトラクア
aa0535
●疑似餌
「そちらの状況は大丈夫ですか」
『問題なし。こちらの予想通り青衣島の北側の橋から突入するつもりみたいだ』
「ありがとうございます。決して無理をしないで下さい」
 青衣島より北に潜む草薙 義人(aa1588)からの報告をインカムから受け、伊和井 琴穂(aa3797)が静かに息を吐く。
 そして、横にいる霍凛雪(az0049)に目配せをして一つ頷く。今のところ作戦が順調であるという合図である。
「さて、いよいよ作戦の決行ですわ、皆さん」
 時は短針が直上をわずかに過ぎた夜半。凛雪が背後のエージェント達の方へ振り返り、強い決意をもって告げた。
「予定通り敵は大帽山のふもとより南下し、この青衣島の『東部』に到着しつつあるとのことです」
 この場にいる人間には作戦のすべての詳細が伝えてある。しかし、それでも石橋を叩く慎重さをもって偽りの作戦号令をかける。
「これより、青衣島奇襲作戦を決行いたします!」
 凛雪の言葉にエージェント達は静かな決意を以って頷いた。
 彼らは疑似餌。獲物が食らいつくまで偽りの餌を演じる釣り針である。


●隠蔽
 一方同時刻、同じく青衣島にて闇夜を走り回るスーツの男が一人。マガツヒの構成員、有体に言ってエクスプローションの部下の一人である。
「ち、どうもこちらは外れのようだな……」
 足を止めて時計を確認する。
「当初の予想通り島の東側にいると考えるのが自然か……」
 スマホの地図を開き自分の現在位置を確認する。青衣島の西部、本土と繋がる道路とランタオ島へと続く橋が交わる場所である。
「東側はそちらにいった者に任せて俺は一応こちらを確認しておくか……」
 言ってランタオ島へと続く高架へと昇る。
「うふふ、ごめんなさいね。こちらは立ち入り禁止ですわ」
「何……ぐっ!」
 ランタオ島へと走り始めた男の足に暗闇より飛来した矢が突き刺さる。なすすべもなく倒れこんだところにマリアンヌ・マリエール(aa3895)が姿を現した。
「しばらく大人しくしていてくださいましね。」
「もがっ……!」
 手早く男を拘束し、目立たぬ路地裏へ転がす。
「【見】の方、こちら【シャスーズ】のマリアンヌですわ。お一人斥候を捕まえましたの。ご報告いたしますわ」
 どこか楽し気に通信機へ報告し、再び暗がりへと消えていえていった。


●挑発
 青衣島と本土とを結ぶ橋の前に立ち、向こう岸を見やる。本土へ向かうべくこの橋に足をかければもはやしばらくは一本道、逃げ場はない。ゆえに、狙うとすればここであろうと凛雪は踏んでいた。
「支部長、エクスプローションの部隊が青衣島に侵入したという報告が来ました」
「わかりました」
 そっと耳打ちするように琴穂の言葉に頷き凛雪が答える。
「では、出撃ですわ、皆さん!」
 その号令とともにエージェントの一団が橋の方へと足を踏み出す。
 その後方から巨大な爆発音が響いたのはほぼ同時のことだった。
「し、支部長! 奇襲です!」
「クハハハ! 俺に用なんだってな、H.O.P.E.さん達よ! せっかくだから俺から会いに来てやったぜ!」
 森須 亮 (aa1647)のうろたえた声に答えるように爆発後の煙の中から赤い男が姿を現す。語るまでもない。エクスプローションだ。
 その脇を通り過ぎるように複数の火球が宙を滑り、部隊の最後方に迫る。
「ひえええ!」
 最も後方に位置していた芦川 可愛子(aa0850)が慌てふためいた様子で逃げようとするも、途中でこけてしまう。
「こっちこないでぇー!」
「ククク、どうだぁ? 奇襲するつもりが逆にされた気分はよぉ? さあ、すり潰してやるぜ、H.O.P.E.ども!」
 混乱し矢鱈滅法な方向に魔力弾を放つその様子に、エクスプローション嗜虐的な笑みが浮かべる。
「ボクにまかせて」
「え?」
「フラッシュバン!」
 可愛子の前に飛び出したアルテミス(aa1387)がライブスを炸裂させて強烈な閃光を放ち飛んできたボンバスト達の動きを一瞬止める。
「今のうちに……!」
 動きの止まったボンバストをリッソ(aa3264)のパイルバンカーが貫く。
「あわわ……ありがとうございます!」
 可愛子は慌てて立ち上がりながら助けに来たリッソと一瞬目配せし頷く。
 今はまだ予定通り。これからエクスプローション達を騙したままここに釘付けにしなければならない。
「と、とにかく支部長が撤退する時間だけでも稼がないと……」
「私は大丈夫です! 今は皆さんの立て直しに全力を注いでください!」
 可愛子の迫真の演技に凛雪もすぐ様乗っかり危機を演出する。
「あんたは下がれ! 今はあんたの命が最優先だ!」
「……わかりました。お任せします」
 迫ってきたバンデッドとボンバストを切って捨てつつ賢木 守凪(aa2548)が大きな声で提案する。それに頷いて答え、凛雪は踵を返して橋の向こうへと駆け出した。
「そう簡単に立て直せると思うなよ? おら、行け!」
 エクスプローションの命令で火炎放射器を担いだベトンフレイム達がずらりと並ぶ。
「おぉぉぉぉ!」
「お邪魔―!」
 その横から飛び出してきたギシャ(aa3141)がその爪でベトンフレイムの一体を切り裂く。
 むろんそれですべての攻撃が防げたわけではないが、少なくともいくらか勢いを弱めることは出来た。
「貴様!」
「おっと、逃げろ逃げろー!」
 囲まれる前に素早く前線を離脱し後ろに下がるギシャ。
「ったく、面倒くせぇな」
「ふえっ!?」
 そのギシャを追ってエクスプローションが一足飛びに距離を詰める。
「死んどけや、ガキ」
 ライブスのこもった拳がギシャに迫る。
「させねぇよ!」
 そこに割り込んだのは赤城 龍哉(aa0090)だった。
 エクスプローションの拳をいなす様に向きをそらし、空振りさせる。
「邪魔だ!」
 無理やり腕をねじり逸れた拳を地面に突き立てる。同時に起きた大きな爆発と共に龍哉とギシャは吹き飛ばされるが、二人ともとっさの防御には成功したようだった。
「隙ありです!」
 バランスを崩したエクスプローションに五郎丸 孤五郎(aa1397)が一気に迫り大剣でその胸を打ち付ける。
「っ……!」
 まともに直撃したはずだが、それでもなおその場に留まるエクスプローション。しかし、孤五郎もそれは予測済みで、スラスターを全開で蒸かし離脱を図る。
「あなたのタフさは経験済みです!」
「ブラッドオペレート……」
「!?」
 横合いから飛んできた赤い血のメスが孤五郎の黒金の装甲を浅く裂く。
「離脱が遅かったら危なかったかも……」
「深追いはしないほうがいい」
「ブラッディメディカ……」
 白衣にアーミージャケットといういで立ちの男がゆっくりとエクスプローションに歩み寄る。
「今は数で圧せばいいのだ。お前の趣味は否定せんが後にとっておけ」
「ははっ、わりぃわりぃ。つい楽しくてな」
 ブラッディメディカが手をかざしそこから繰り出されたライヴスの糸が複雑な動きを見せ、みるみるエクスプローションの傷をふさぐ。
「おや、意外と臆病なんだね、エクスプロー『ジ』ョンさん?」
 と、その回復が終わりエクスプローションが動き出すより先に蛇塚 悠理(aa1708)の少し小ばかにしたような声が響く。
「あ?」
「おっと、失礼。戦闘狂と聞いていたけど、案外素直な性格してるなと思ってね。保護者の言うことには素直に従うのが意外で。ああ、爆発しか能がないんだっけじゃあ仕方ないか」
「……やっすい挑発だな。乗ると思ってんのか?」
 詰まらなそうに耳をほじりながらエクスプローションが返す。
「そう、安い挑発さ。でもそれにあえて飛び込む勇気もないんだろ、戦闘狂さん?」
「はぁぁぁ……」
 悠理の言葉に深く深くため息を吐くエクスプローション。
「いいぜ、乗ってやる。何を考えているか知らねぇが後悔すんなよォ!?」
「おい、エクス――」
 ブラッディメディカの制止も無視してエクスプローションが一気に駆け出す。
 凄まじい突進スピード。おおよそ白兵戦とは程遠い距離であったにも関わらず一瞬にして間合いがゼロとなった。
「来てやったぜぇ、色男!」
「……!」
 さすがにその距離の攻撃は避けることに成功するが、続く第二の拳は避けきれず、咄嗟にその拳を剣でガードする。しかし、そこから溢れら爆発の奔流は、その上から悠理を大きく吹き飛ばすのに十分だった。
「おら、どうした! 来てやったぞ、もてなせよ!」
「ああ、そうさせてもらおう」
「あん?」
「お前の時間はもう終わりだ、エクスプローション。攻撃、開始」
 コリー・ケンジ・ボールドウィン(az0006)の号令の元、伏兵部隊のエージェント達が八方から姿を現した。


●捕縛
「んだぁ?」
「奇襲したつもりがされた気持ちはどうだ、エクスプローション?」
 エクスプローションが事態を完全に把握しきる前にリィェン・ユー(aa0208)が隙を狙って切りかかる。
「……ちっ!」
 それを避けて距離を取るべく大きく後ろに飛びのく。
「落ち着かせるな! 畳みかけろ!」
「任せて!」
 志賀谷 京子(aa0150)の放った弾丸がエクスプローションの腕に突き刺さる。
「ッぐ……!」
 衝撃に眉を顰めるエクスプローション。
「なめんじゃねぇ!」
 拳を強く地面に叩きつけて巨大な爆発を起こす。その爆炎で視界からエクスプローションの姿が消えた。
「……いかんな」
 それを悠長に眺めているほど呑気ではないブラッティメディカが一旦距離を置こうと踵を返し駆け出す。
「どこに行かれるおつもりですか?」
「逃がさん!」
 騒ぎに乗じて接近していた笹山平介(aa0342)と齶田 米衛門(aa1482)が続けざまに攻撃と叩き込む。
「ぐっ……」
 しかしブラッディメディカも経験を積んだ能力者である。たまらず後ろに転倒するも、すぐさま立ち上がり戦闘態勢を取った。
「できればエクスプローションを巻き込みたかったがそうもいかんな……マルチドーピング!」
 叫ぶと同時にブラッディメディカから大量のライヴスが放たれ、それが周囲の従魔達へと入り込んでいく。
「おぉぉぉぉ!」
 ライヴスを注入された数体のベトンフレイム達が突如興奮し二人の元へ駈け込んでいく。
「しばらくそいつらの相手をしていてもらおうか」
「くっ……!」
 明らかに先ほどよりも速度も重さも増した攻撃を何とか捌きながら平介がブラッディメディカの方を見やる。
 彼は何体かのベトンフレイムを引き連れてエクスプローションの方へ駆け出していた。
 ただでさえしぶといエクスプローションの元へ、回復に特化したブラッディメディカが加わるのはまずい。しかし、そう思ってはいても能力を増強されたベトンフレイム達は軽々しく無視できる相手でもなかった。凄まじい火勢が辺りを焼き払う中、エージェントたちは意を決して炎を突破した。
「逃がさないよ! ブルームフレア!」
「一気に叩きます!」
 御代 つくし(aa0657) の放った炎とハーメル(aa0958)の刃がベトンフレイムに切りつける。
「ばきゅーんってね!」
「邪魔だよ!」
 さらにアルテミスの援護を受け、駆け付けたギシャが一体のベトンフレイムの首を切り裂く。
「くそっ……!」
「おっと、ここまでだ」
「!?」
「行き止まりだ、ブラッディメディカ」
 息を吐いたブラッディメディカの前に真壁 久朗(aa0032)と秋津 隼人(aa0034)が立ちふさがる。
「お前の能力は危険だ。奴の元へは行かせん」
「ちぃ!」
 ブラッディメディカが足を止め指先からライヴスのメスを放つ。
「この程度!」
 だが、それは隼人によってがっちりガードされ、その隙に久朗の槍が肩に深々と突き刺さった。
「ぐ、おぉ……」
「しばし寝ていろ」
 生命力の落ちたブラッディメディカにセーフティガスが浸透し気を失う。時間にしてほんの数秒の意識の断絶。
 しかし、それは捕縛するには十分な時間だった。


●包囲
 煙幕が晴れるのを待つほどエージェント達も悠長ではなかった。
「あんだけ規格外なライヴスなら漏れてんだろ?」
 ライヴスゴーグルを装着した東海林聖(aa0203)がエクスプローションから漏れるライヴスを頼りに攻撃を仕掛ける。
「烈風波!」
 一直線にエクスプローションへ向かったその斬撃はしかしガードされる。
「ったく、面倒くせぇなぁ! おら、火球ども! 全員特攻しろ!」
 エクスプローションの言葉に反応して十数体のボンバストが一斉にこちらの陣営に突撃を仕掛けてくる。
「まずい、撃ち落とせ!」
「ヒーハハハ! 花火だぜぇ!」
 慌ててボンバストを迎撃するエージェントたち。いくつかは撃ち落としたものの、さすがにその全てを倒すのは不可能である。
 いくつかの火球が閃光と爆炎をまき散らし、その場で爆散した。
「くっ!」
「ブラッディメディカの野郎は……ち、捕まったかのか。おら、脱出だ、脱出! 手薄な西側に戦力集めろ、クズども!」
「はっ!」
 マガツヒの構成員とベトンフレイムを中心とした敵部隊が纏まりを以って西側へ駆け出す。
「あ、待てー!」
 反射的に逃げる敵を追ってギシャが肉薄する。
「バーカ」
 エクスプローションの指の音と共に『逃げる部下共々』ギシャが吹き飛ばされる。
「あぐっ!」
 爆炎に捲り上げられ、道路を転がるギシャに、エクスプローションが吠える。
「俺を無視してんじゃねぇよ、ガキ」
「あいつ味方ごと……!」
 わざわざ逃亡を促した味方を自らの手で倒すという突拍子もない行動に意表を突かれるエージェント達。
「クハハッ! ったく、やるじゃねぇか、お前らも。騙されちまったぜ」
 その一瞬の間に、逃げる一団とエージェント達の間に移動し、手を広げる。
「ご褒美のボーナスステージだ! 俺が相手をしてやるよ! ほらほら、来いよ!」
 エージェント達の背後に控えていた凛雪は逡巡する。ここで敵戦力を逃がすのは得策ではない。叩けるなら叩くべき。だが――
「敵の追撃は西側に残った方々に任せます! 私たちはエクスプローションをここで仕留めましょう!」
 凛雪の決断にエクスプローションはにやりと獰猛な笑みを浮かべた。


●攻勢
「行きます!」
 まず口火を切ったのは、京子の援護射撃と共に突撃した聖だった。
「おらぁ!」
「はん!」
 しかし、それはあっさり手甲で受け止めらる。
「死にてぇらしいな」
「――!」
「聖!」
 そこからエクスプローションが行動に移る前に八朔 カゲリ(aa0098)の二丁拳銃から放たれる弾丸がその肩に着弾する。
 しかし――
「っ……! しゃらくせぇ!」
 それを意に介さぬかのように拳を地面に突き立てるエクスプローション。カゲリの作った一瞬の前に拳の範囲外まで避けることはできたが、爆発の煽りを受け聖が吹き飛んでいく。
「次は俺だ!」
 間髪入れず爆発の粉塵を肩で切ってガラナ=スネイク(aa3292)が姿を現す。
「ウチの団長の借り……」
「きっちり返してやんぜ」
 低姿勢で突っ込んできたガラナに視線を落とした瞬間を狙って麻生 遊夜(aa0452)のテレポートショットが後頭部に突き刺さる。
「――っ」
「ここで討たせてもらう」
 さらに横合いからアルヴィン・キング(aa0550)がオートマチックを構えエクスプローションの顔面目がけて弾丸を放つ。
「うぜぇ!」
 これはエクスプローションの拳によって弾かれるが、上へ集まった意識の隙を狙ってガラナが下から上へ真っすぐに振り上げるような軌道で斧を振り上げる。
「ぶっ飛べオラぁ!」
 しかし、その一撃は紙一重で一歩後ろに下がったエクスプローションの腹部を縦に僅かに裂くに終わった。
「なめた真似してくれるよなぁ!」
 完全に攻撃の勢いに流されバランスを崩したガラナの胸倉を掴み頭突きをその鼻に叩き込む。同時に巻き起こる爆発がガラナの体を凄まじい速度で吹き飛ばした。
「いかん!」
 エクスプローションが追撃の態勢に入ってるのを見て取り、すかさずカグヤ・アトラクア(aa0535)が手に持つ槍を投擲する。
「ちっ!」
 それを軽々と叩き落とし、悪態を吐くエクスプローション。
 その一瞬の間に、カグヤはガラナを担ぎ素早く戦線を離脱する。
 一見、未だ余裕に見えるエクスプローションの立ち姿。しかし、そこに一つの変化をリィェンは感じ取っていた。
 エクスプローションは高笑いを撒き散らしながら、燐光の中でぺろりと血を舐め上げる。
 ガラナの攻撃によって生じた傷。それはエクスプローションがこの戦いで初めて流す血であった。
「勝機!」
 リィェンが背後から一気に距離を詰め大剣を横なぎにふるう。
「ちぃ!」
 咄嗟に身をかがめてそれを避けるエクスプローション。そこへ正面から駆け込んだ龍哉が、巨大な戦鎚を叩きつけるべく振りかぶった。
「貰うぜ!」
 目前の龍哉に意識が向けられた瞬間を逃さず、リィェンの放ったハングドマンがエクスプローションの足に絡みつき、さらに動きを制限する。
「その首、ここに置いて行ってもらうぞ」
「くそがっ!」
 回避するのが困難だと判断した粗雑な叫び声と共にエクスプローションが選択したのは、目前の龍哉へ向けて、ありったけのライヴスを込めた拳を突き出すこと。
 当たればおおよそ無事では済まない強烈な威力を秘めた拳。
 しかし、龍哉はそれを一切避けようとはしなかった。
 防御を端から捨て、龍哉もまた自身の戦鎚にありったけのライヴスを込め全力でエクスプローションへと叩きつける。
 拳と槌。お互いに必殺の意思で放った一撃は同時に相手に接触し、爆炎と大量の火の粉を巻き上げ、互いの体を大きくふっ飛ばした。

●変貌
「龍哉! 無事か!」
「大丈夫ですか!」
 相棒の龍哉を抱き起し、声をかけるリィェンに久朗が駆け寄った。
「今、回復をかけます!」
「頼む」
 何とか一命をとりとめた龍哉にケアレイをかけ回復を図る。
「……そちらは任せるぞ。奴はどうだ?」
 コニーが同じく吹き飛ばされたエクスプローションの方を見やる。
 エクスプローションは仰向けに横たわりピクリとも動かない。一見、気を失っているようにも見えるが……。
「相手が相手だけに気を付けましょう。狸寝入りの可能性もあります」
 凛雪が後方から前線へやってきて状況を確認する。
「一度距離を取ったまま攻撃を……」
「ククッ」
「!」
 指示を促そうとしたところで倒れたままのエクスプローションから笑い声が漏れる。
「野郎!」
 咄嗟に反応した麻生がライフルでエクスプローションを撃ち抜く。
「くくくくく……」
 確かに撃ち抜いた。麻生の放った弾丸はエクスプローションに着弾し、その肉を抉り肺を貫いた。防御された様子はない。
 しかし、それでもエクスプローションの笑い声がやむ様子はなかった。
「ウヒャヒャヒャヒャ!」
 強烈な笑い声と共にまるでばね仕掛けの人形のような唐突さでエクスプローションが立ち上がった。
「やってくれたなぁ……この姿は気に入ってたのによ……」
 今までよりもむしろ若干の落ち着きを感じさせる口調でエクスプローションが独白を始める。
 その体はボロボロ。皮膚は爛れ、肉は裂け、無事なところが見当たらないほどの様子だった。
「もう戻れねぇ。二度とはこの姿にはなれねぇなぁ……?」
 異様な雰囲気にのまれて思わず呆然と見入るエージェント達。
「だが、構わねぇ! てめぇらを殺せるってんならそれで!」
 エクスプローションがそう叫ぶと同時に、腕に付けていた手甲が弾け飛ぶ。それはまるで拘束具が外れたかのような印象を見る者に与えた。
 そして、次の瞬間――エクスプローションが爆ぜた。
 内側から何かに食い破られるかのように、肉が盛り上がり、全身から真っ赤な毛が早送りのような速度で生えていく。
 見る間に大きく膨らんでいくそれは、おおよそ数秒の間に以前の面影などまるで感じさせぬ、一匹の巨大なヒヒの姿となった。
 4メートル以上はあろう身長と逆三角に発達した上半身。拳も大きく肥大化し、皮膚の照りはその硬さが尋常ではないことを感じさせる。
 全身が赤い毛で覆われ、特に頭頂部からは燃え盛る炎のように赤い毛が伸び、頭頂部で一つに括られている。それは唯一人間であった頃の面影を残す部分だった。
「終わりだ! 全て! 全部終わりだ! 殺してやるぜぇ……! クヒャヒャヒャヒャヒャ!」
 巨大なヒヒは人の姿をしていた頃と変わらぬ残忍さを感じさせる笑い方で高らかに笑った。

担当:
弐号
監修:
御神楽
文責:
クラウドゲームス株式会社