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東嵐 第2フェーズ:リプレイ


PCイラスト
卸 蘿蔔
aa0405
PCイラスト
小詩 いのり
aa1420
PCイラスト
蔵李・澄香
aa0010
PCイラスト
榊原・沙耶
aa1188
PCイラスト
桃井 咲良
aa3355
PCイラスト
虎噛 千颯
aa0123
PCイラスト
大宮 朝霞
aa0476
PCイラスト
古賀 佐助
aa2087
PCイラスト
セレナ・アリーヤ
aa2181
PCイラスト
鹿中 靖一郎
aa0841
PCイラスト
ヴァイオレット ケンドリック
aa0584
PCイラスト
谷崎 祐二
aa1192
PCイラスト
ミハイル・エッカート
aa0315
PCイラスト
天剣・霞音
aa0672
PCイラスト
磐里 怜
aa1839
PCイラスト
蓮華 芙蓉
aa1655
PCイラスト
月影 飛翔
aa0224
PCイラスト
狒村 緋十郎
aa3678
PCイラスト
天川 結
aa0953
PCイラスト
唐沢 九繰
aa1379
PCイラスト
九字原 昂
aa0919
PCイラスト
火乃元 篝
aa0437
PCイラスト
久遠 周太郎
aa0746
PCイラスト
CERISIER 白花
aa1660
PCイラスト

aa3139
PCイラスト
無音 彩羽
aa0468
PCイラスト
アル
aa1730
PCイラスト
ゼロ=フォンブラッド
aa0084
●行動開始 暗雲を払え
 深夜零時。春とはいえ香港の風は冷たい。特に高層ビルの屋上ともなれば強く風が吹きすさび、服を奪う北風のように暴力的だ。
 おまけに雨まで降ってきた。まるで針のように細く冷たいそれは、リンカーたちの体力を徐々に奪っていくのだろう。
 皆の疲労を思い、少女は祈るように目を閉じる。その銀糸の髪が風に揺れ、その髪を撫でつける動作そのままに無線機を耳に押し当てる。
「通信テスト。【ゆるり】のみんな、聞こえてる?」
 インカム越しに順番に返答が帰ってくる。
 隣で風よけのマントをはためかせる卸 蘿蔔(aa0405)が親指を立てた。
 今、街は混乱のさなかにある。突如湧き出した従魔、破壊と混沌が住民たちから笑顔を奪い去った。それをどうにかしたくて。
 小詩 いのり(aa1420)は今前線に立っている。
 少女は謳うように告げた。高らかに。
「いまから私がナビゲートするよ。新しい情報が入ったらすぐに共有して」
 最優先すべきは、駅、高層ビル、TV局、診療所など人が集まる場所、およびインフラ。
 これは時間との戦いだ。いのりの頬を汗が伝う、少しの判断ミスも許されない。
 そう言う状況だと理解していたから。
「じゃあ、いくよ。みんな」
 作戦開始の合図だ。
「了解」
 そう口ずさみ警察車両に乗り込んだのは蔵李・澄香(aa0010)そして榊原・沙耶(aa1188)。運転は地元警察にまかせ混沌に支配された街を疾走する。
 サイレンがけたたましく鳴り響き。この戦場に助けが来たことを知らせる。
 彼女ら【ゆるり】の行動は迅速だった。その行動は敵側の頭を押さえるように一手迅速であり。さっそく効果を上げていく。
 目覚ましい戦功としては【ゆるり】の桃井 咲良(aa3355)があげられる。
 咲良は駅周辺に部隊を展開。張り付いた従魔たちをさっそく葬っていく。
「皆で頑張ってたくさん助けるよ! 僕もゼンシンゼンレー頑張るからね!」
 取り残された少女の手を引き、車に乗せ、その少女に微笑みかけてからジェミニストライクを発動する。分身が追いすがる従魔たちの足を止め、その鼻先を打った。
「早く行って!」
 救出者はこの町で唯一安全な場所、野戦病院へと送られる。
 そこは【駄菓子】が守る避難所だった。 


●緊急病棟 チーム駄菓子
 緊急で開かれた野戦病院は街の中央、診療所のすぐそばに位置していた。そこには負傷した人々が集められ、大騒ぎになっている。
「ガーゼと消毒液持ってきて!」
「重症患者はメディックのところに」
「南方面から従魔の部隊が近づいてます」
 そこでは【駄菓子】のリーダーである虎噛 千颯(aa0123)が指示を出している。的確な指示のもと患者が割り振られ、重傷患者は自らが治療を施した。
「みんなを護るんだ! ここで! みんな力貸してな!!」
 その情報はリンカー、及び一般市民、そした古龍幇の構成員の手も借りて香港全体に回る。つまりこれからも人は増え続けるということだ。
 この戦いがいつまで続くかはわからない。そんな不安を微塵も感じさせず【駄菓子】のメンバーは一般市民を築かい声をかける。
「誰でも受け入れる、上限なんてない」
 そして重要なのは、ここが防衛の要でもあるということ。千颯は手が空けば自らも従魔討伐に赴く。
 先ほどの報告があったように南方面へ移動、そこでは戦闘が激化していた。
 H.O.P.E.の戦闘員のほとんどが駆り出され従魔を抑え込んでいるが敵の数が圧倒的に多い。
 まずいな。そう歯噛みする千颯だが、すぐに杞憂であることがわかる。
 戦場の中心で一人の少女が輝きを放つ。
「ミラクル☆トランスフォーム」 
 【駄菓子】所属の大宮 朝霞(aa0476)である。
 少女は『聖霊紫帝闘士ウラワンダー』に変身し、迫る大型従魔をディフィンダーを用い真っ向から受け止め。押さえつける。
 踏みつけたコンクリートにひびが入った。体長差は約三倍。その従魔を一歩も前に進めることなくウラワンダーは耐える。
「ここから先は通行止めよ。ウラワンダーがみんなをぜったい守るんだから!」
 そう足止めをしている間に、銃弾の雨がその大型従魔に降り注いだ。同じく【駄菓子】所属の古賀 佐助(aa2087)の射撃だ、その銃弾の前に従魔はなすすべなく横たわることになる。
 さらに佐助は遠くから迫る敵にトリオを放つ。こちらへ向かってくる車に張り付く従魔のど頭を横っ面に弾き飛ばした。
「さーて、命は大事にって事で……いっちょ気張りますか!」
 そして続く敵の足を撃つ。
「戦況はどんな感じ?」
 到着した千颯はグリムリーパーを構え、敵を見据える。敵の波が遠くに見える、長い夜になりそうだと三人は感じた。


●古龍幇との接触
 古龍幇の構成員は裏路地を駆け抜けていた。武器は既に幻想蝶の中にしまわれ、息せき切らして走っていた。
 その背後から従魔が追ってくる。
 彼等、古龍幇の構成員は前線で市民を守り続けていた。ただ、彼等も永遠に戦い続けていられるわけではなく、たった今銃弾がそこを尽きたのだ。
 遠距離型の彼には、もはや従魔に対抗できる術はなく逃走するしかなかった。
 ただ一つ幸いなのは、従魔が彼を追ってきたこと。
 敵は素早く、徐々に距離が近づいているのがわかった。だが、自分が追われている限り住人が狙われることはない。
 構成員は自嘲的に微笑む。
 追いつかれる、そう彼が思った瞬間だった。
 青い稲妻が従魔に突き刺さり、戦闘員は衝撃で吹き飛ばされた。
 その彼に手を差し伸べるのはセレナ・アリーヤ(aa2181)だ。
「これで大丈夫よ。立てる?」
「ああ、俺は大丈夫だ。だが……他にも仲間がいる」
 その手を取って立ち上がった構成員が、怪訝な顔を向けた。
「……あんたは?」
「H.O.P.E.よ」
 一瞬古龍幇の構成員は考え込むしぐさをして、どこか苦々しげに口元を歪める。
「仲間は任せて……。そしてあなたも来て。非難に適したルートを教えてちょうだい」
「しかし俺は古龍幇で……」
「今は関係ないわ、協力して」
「セレナさん、探しましたよ」
 そう駆けよってくるのは鹿中 靖一郎(aa0841)及び、ヴァイオレット ケンドリック(aa0584)だ。
「他の古龍幇のかたもあちらに。ひとまず、今は協力してくれるそうですよ」
「では道案内を頼めますか」
「ええ、了承してくれました。地理に不案内ですから助かります」
 それを聞いて、先ほどまで悩んでいた構成員が手招きをする。
「……解った。それならこちらが近道だ」
 ヴァイオレットが頷き、路地裏へと向かう二人を見送る。
「私はこの情報を【市網】に伝達しようと思う」
 彼女はこの場に残り情報の整備を優先することにした。


●そのころ、黒幕は……
 吉野 アヤメ(aa1360)は空に鷹を放つ。その姿は夜の闇にまぎれつつこの町の情報を逐一、主であるアヤメに届けた。状況に変わりはない。つまり。ナレインにも動きはなかった。
「そちらはどうだ?」
 そうアヤメが耳元のインカムに手を沿える。すると。
「ナレイン自体に動きはない、ふんぞり返って状況を見てる」
 情報の伝達とやりとりに際する実務は、ナレイン以外の第一課のメンバーが行っている。偽情報を流すなどの行動は取りにくい筈だ。
「わかった、引き続き監視をおねがい」
「了解」
 そう通信を切ったのは谷崎 祐二(aa1192)、彼はすでにH.O.P.E.内に潜入しており、ナレインを常時監視する役に付いていた。
 これから行う作戦の反応を、瞬時に味方に伝える役目を担っている。
「そろそろ、手はず通りならあいつに連絡が入るはずだ」
 それまで彼がこちらの目的に気が付かず、大人しくしていてくれれば、問題はない。だがもしこちらの目的に気づいていた場合。
「やるしかないな……」
 そう谷崎は衣服の下に隠した獲物をなぞる。 


●協力要請 か弱き者のために集え。
 戦場の混乱が長引く中【大企業】と【合同組】はとある目的のために戦闘区域をうつした。
 九龍深城周辺である。
 そこまで数台の車でやってきてバリケードのように従魔たちの行く手を阻む。一台の車だけは走り去ったが、残り全てが止まり中からリンカーたちが現れた。
 彼等はこのあたりの従魔を、苦戦する古龍幇の隊員に代わり排除していく。
「香港を守ることは当社の利益に繋がる」
 そう高らかに謳うのはミハイル・エッカート(aa0315)【大企業】のボスである。
「さぁ、救出活動を」
 そう諭されるままに【大企業】のメンバーは周囲の従魔を掃討していく。
「どういうつもりだ」
 古龍幇の構成員が【合同組】所属の天剣・霞音(aa0672)に掴みかかった。彼等とのわだかまりがまだ消化されていないことの証明だった。
「今日は、戦うために来たわけじゃないわ」
「なに?」
「地の利がある貴方達と対愚神戦のノウハウが有る我々で共闘した方が効率的じゃない?」
 不足している言葉を同じく【合同組】所属の磐里 怜(aa1839)が継ぐ。
「今なら手を取り合えるはずです。一緒に戦いましょう! お手伝いします!」
「だが……」
 渋る構成員。その瞬間、路地裏から迫る敵。怜は即座に応戦し、その槍で邪悪な爪を弾く。
 爪を弾かれた従魔は再び得物を振り上げるが、その脳天が銃弾に穿たれた。
「礼だけは言っとくぜ」
 助けられた古龍幇の構成員は頬をかく。
「交渉成立だな、我々の目指すところは同じだ。今は手を取り合い敵を撃破し、人々を助けよう」
 そうミハイルは紹興酒をさしだし古龍幇の現場指揮者と思われるものと杯をかわす。
「そうと決まれば。古龍幇を応援するわ」
 そう高らかに【大企業】所属の早乙女 ぷらむ(aa0598)は言った。そして祈るように両手を合わせるとライヴスフィールドを展開する。
 そして傷ついた古龍幇の男たちを回復していく。
「私がついているわ。頑張って」
 そして戦場に高らかに男たちの歓声が上がる。
 古龍幇の協力を経て戦局は一気に有利に傾いた。その瞬間だった。
 その時、この大部隊となった【大企業】【合同組】古龍幇の構成員に連絡が入った。蓮華 芙蓉(aa1655)からだった。
 芙蓉は飛ばしていた鷹からの視界情報で不自然な点に気が付いた。敵が一方方向に固まり出したのだ。
 芙蓉はもともと、住民たちの救助を最優先にするつもりだった。だが、このあからさまに怪しげな敵の動きを見逃す訳にはいかない。
「トンネルに敵が向かってるよ、誰か向かえない?」
 彼女の報告に、その場にいた全員が頷いた。トンネルはこの町の交通を支える重要な施設である、破壊されるわけにはいかない。
 部隊の一部はその場を離れ、トンネル方面へと駆け出した。


●交渉、打倒すべき敵のために
 九龍深城、ホテルバウヒニアの前に一台の車が止まる。
 武器を取り出し、車を警戒する古龍幇の黒兵。その背後のエントランスルームでは、構成員たちが慌しく行き交っている。
「劉士文にお会いしたい」
 月影 飛翔(aa0224)が武器を向ける兵を見据える。
「劉大人に何の用か」
「この事件を裏で操る愚神。その件を伝えに来た」
 付き添いとして飛翔の隣に立つのは、狒村 緋十郎(aa3678)。彼は静かに告げる。
「古龍幇の協力を仰ぎに来た」
 秘書らしき人物が黒兵の後ろから首を振る。
「困ります、今は緊急時で……」
「こっちも緊急なんだ。支部長は前線にいる。通信も傍受の危険がある。事を治めるには劉士文の力を借りるしかない。直接話をする必要があるんだ」
 しばらくは押し問答を続けた、当然だ。この混乱をついて刺客が劉士文が送られる可能性は十分にある。
 このままではらちが明かない。そう緋十郎が強硬策に出るか迷いだしたころ。
 エントランスに声が響いた。 

「面白い、話をきこうじゃないか」

 その声に二人は顔を上げる。そこには劉士文がいた。
 彼は秘書たちをその場で待たせ、二人に歩み寄る。
「要件を聞こう」
「古龍幣に密造酒製造倉庫の件で死者が出たのは、愚神の差し金だ」
「……前回、ここに殴り込んできた奴が話していた件だな?」
「ああ。その愚神を葬る手伝いを頼みたい」
 緋十郎の言葉に劉士文は短く頷く。
「詳しく聞こうか」
「いまナレインは、支部にいてふんぞり返ってる。あいつを誘い出したい」
 頷く劉。
「それを手伝えというのだな?」
「その方法だが――」
 手短に作戦を伝える二人。
「いいだろう。俺も放っておく気はなかった。我々の盟に火を放った罪は、その命で購わせなければなるまい」
 そう言うと。劉士文は笑った。


●最前線では……
【TKN】は水道管の配置図をみながら、水を汚染したり施設破壊を狙う敵の排除を行っていた。
「被害を最小限にとどめないと」
 そう天川 結(aa0953)はつぶやき、グランツサーベルを抜く。予想通り、サハギンによく似た従魔が下水処理施設に近づいていた。
「こちらTKNの天川。敵が網にかかったわ」
「了解、応援を向かわせますね」
 そう通信機にを通じて【TKN】のリーダーである唐沢 九繰(aa1379)に救援を要請した。
 ちなみに彼女は同時に、情報管理を行っている小隊【市網】のリーダーでもある。
「ひー、流石に情報量が多いですね!」
 思わず九繰は悲鳴をあげた。その彼女を英雄であるエミナがカバーする
「内容別に分担して処理しましょう」
 同時に九字原 昂(aa0919)は下水道に潜った敵の排除を行う。ハングドマンの鋼線を掛けて行動妨害、敵の一人をつるし上げた。
「こんな感じで大丈夫でしょうか」
「上出来!」
 その通信に割り込む剛毅な一声が一つ。
「フハハハハハ!! 進め進めぇ!!」
 最前線で敵を引きつける火乃元 篝(aa0437)の笑いが響いた。
 彼は【労組】を率い、速攻の攻撃を仕掛け、沸きだす敵を片っ端から潰していく。その派手な立ち回りは囮としても機能し、【労組】へと従魔が集まっていく。
 彼らは【市網】という別の組織と情報を共有。それが彼らの行動力の一端を担っているのだ。
「おら!」
 久遠 周太郎(aa0746)がライオンハートにて従魔を真っ二つにした。
「俺の好みじゃねぇが、伊達でこんな姿になるワケじゃねぇんだよ!!」
 その騒ぎの裏を縫って、いのりは路地裏を進んでいた。すべての情報を処理しながらも、手が足りない場所には積極的に赴く。そのため彼女は煤だらけで、疲労の色も見えている。 
 しかし、疲れたからと言ってここでやめるわけにもいかない。
「いのりさん、止まって」
 そう蘿蔔は背後から指示を出すと、弓を引き絞り、向こうからやってくる従魔を一撃のもとに屠った。さらに。蘿蔔は壁を跳躍。建物の屋上まで登り、周囲を俯瞰し、いのりの周辺に潜む三体の従魔を確認した。
「見ーつけた」
 九陽神弓から放たれる矢は猛然と敵に向かい、その悪しき影を焼き払う。
「敵性勢力の排除を確認しました。いきましょう、いのりさん」
 その言葉にいのりは頷く。
「次の情報を送るよ! 現場まで急いで! ここが踏ん張りどころだよ!」
 そう路地を抜けると大きく開けた道路に出た。服屋や娯楽施設が集まった通りだが、この一角を従魔が占拠しているという通報が一般人から入ったのだ。
 それを聞きつけ駆けつけてみると、見知った笑顔があった。澄香そして沙耶だ。
 そして目の前には従魔に制圧された商業施設がある。
「魔法少女クラリスミカが命じます! 人質を解放して武器を捨てなさい!」
「怪我をしている人がいたら、いってねぇ。傷の深い人から先に、ねぇ?」
 その勧告に耳を貸さない従魔に蘿蔔は銃を向けた、戦いも終盤、苛烈な攻防戦が幕を上げる。


●闇を切り払う一刃
 愚神ナレイン・ミスラをおびき出す作戦の決行時刻、それは反間離行計の開始時刻と同タイミング。
 あちらの計画成功をもって、こちらの作戦決行とするため、ある程度、劉士文には時間を稼いでもらう必要があった。
 その為、H.O.P.E.から派遣された護衛役が二人。
 CERISIER 白花(aa1660)と霙(aa3139)である。
「悪いな、うちの幹部は顔が割れている可能性がある」
「いいえ、これも信頼の証です」
 そう白花は言った。そして霙が言葉を継ぐ。
「H.O.P.E.とは違い……古龍幇は貴方が斃れてはいけませんもの」
 そう、秘書風の衣装を身にまとった二人を引き連れ、劉士文はナレインとの交渉の場所、港付近を目指した。
「やはり『人』との対話は良いものですね」
「アレらはとうに『人』ではございませんですものね」
 ナレインは、時間通りにそこに現れた。
「貴様がナレイン・ミスラか?」
「そうです。現在霍支部長は自ら陣頭指揮を執っておられる。私が代理として交渉の件を承ります」
 襟を正し、つかつかと歩み寄るナレイン。
「かなりの老齢と聞いたがな。勇ましいことだ……」
「えぇ、その似合わぬ勇ましさが命取りになる」
 ナレインが銃を構えた。
「何の真似だ?」
 問いかける劉。
 ナレインがにやりと笑う。
「君には死んでもらう。劉士分」
「ほう。霍凛雪も了解の上での行動か?」
「ふ……霍支部長は今ごろ炎に焼かれている。古龍幇とH.O.P.E.に手を組まれても困るのでね。君の死を新たな火種にさせてもらう」
「……」
 劉が首を傾げる。
「少しばかり役者不足だな」
 そう劉士文は笑うが、それをナレインは歯牙にもかけない。
 彼には自信があったからだ。そう、自信が――
「踊ってたのはおまえの方だよ」
「なに?」
 そうナレインが眉をひそめた直後。
 ナレインの腹部から真赤に濡れた刃が飛び出した。
「……?」
 背後から無音 彩羽(aa0468)が現れた。まるで闇から浮上するように、最初からそこにいたとばかりに。
 そしてその手が振るった全身全霊の一撃を、ナレインは避けることができなかった。
「く……くはははは、そうか、最初から私の正体はわかっていたということか。だとしたら滑稽だな。霍凛雪をはめたつもりで、余裕ぶっていた過去の私を、殴り飛ばしたい気分だ」
 その刃はナレインの腹部に深々と突き刺さっている。しかし。
 彩羽は感じる。手ごたえが全くない。
 その瞬間、ナレインが無造作に右手を振るうと彩羽は吹き飛ばされる。
 見ればその右手が黒く、長く変わっている。
 ついにナレインは愚神である本性を衆目にさらしたのだ。
「今、別働隊から連絡が入った。お前の計画は終わりだ。ナレイン・ミスラ」
 そう現れたのは谷崎、そして飛翔。
「私が何の準備もしてこなかったと思うのか?」
 そうナレインが指を鳴らした瞬間。彩羽が鋭く叫ぶ。
「気を付けて、まだ敵がいる」
 サハギンの群が海から上がってきた。
 それを皮切りに、潜んでいた緋十郎をはじめとしたリンカーが現れる。
「いつから気が付いていた?」
 ナレインが問いかける。
「ミスラさん。裏路地で人を襲おうとしたあの時、愚神になるのを見たんだよ」
 谷崎が言った。
「そうか、それはうかつだった、な!」
 次の瞬間ナレインは短刀を劉士文へ放つ、それを 白花と霙は弾く。
「課長、いや……愚神。倉庫の一件以来だな。あの時の御礼、させて貰うぞッ!!」
 緋十郎の怒号を皮切りに戦闘が始まった。
 ナレインの操る従魔たちが雄たけびを上げながらリンカーたちに向かっていく。
「はああ!」
 飛翔は先陣を切り疾走。劉士文の面を狙う従魔をブラッディランスで一突きした。
「ちょこまかとし過ぎるんだよねぇ、ちょっとおとなしくしてて欲しいなぁ!」
 その瞬間、頭上から声。見れば少女がランチャーのようなものを構えている。
「なんだこれは」
 突如発射されたネット、それにからめ捕られ、ナレインはもがく。
「【サンタ捕縛用ネット】持ってきたんだ。サンタさんもつかまえられる特別製。どう逃げられる?」
 アル(aa1730)が空になったランチャーを投げ捨てにやりと笑う。
「今だよ」
「まかせて」
 アルの声に少女は短く答える。その頭の赤い頭巾を揺らして、頷き。そしてナレインを見据えた。
 赤ずきん(aa3488)と呼ばれる少女だ。
 その少女の瞳には狂気が宿っていた、赤ずきんの纏う衣装のところどころに、その頭巾より鮮やかな赤が見て取れた。
 己の刃で傷を作ったのだ、全ては自分を追いこみ、集中し、霊力自体を底上げするために
 そしてナレインに刃を打ちつける、たまらずナレインは後退した。
「……暗殺」
 アヤメが突如躍り出てナレインを守護するサハギンの心臓をえぐった。
 守るもののいなくなったその背中に、赤ずきんは白柳槍を叩きつけるように、振るった。
 目を見開くナレイン。背中を強打され地面を転がる。だが、その勢いそのままに這ってでも戦場を抜け出そうとしていた。
「ぐッ……」
「おっと、どこにいく?」
 背後から声。急速に距離を詰めてきたのは谷崎 祐二だった。
 ナレインは歯噛みする。
 谷崎は逃げられないように縫止を打ち込み、動きを止めた。
「ここに来た時点でおまえ、術中にはまってんねん」
 そう暗闇から現れたのはゼロ=フォンブラッド(aa0084)彼が手を振ると、彼が率いる部隊である【∞】が物陰から現れる。
「逃げ道は俺らが塞がせてもらうで」
 ゼロがそう告げた通り【∞】のメンバー全員が、ナレインの逃走経路となりうる、通路やマンホール。ビルの屋上までカバーしており、完全なる包囲網と言えた。
 サハギン達のほとんども彼らに打ち取られている。
「獲物は決まった。ただひっそりと確実に……や」
「おのれ、馬鹿な……こんなことがあぁぁ!」
 その身にあまたの攻撃を受け。ゼロの手に握られたネイリングソードの一撃を回避できなかった。それは鋭く胸をえぐり、突きだした刃に鮮血が滴る。
 そしてその体は霊力の塊へと戻っていく。光の粒が周囲に散り、そして。
 海の向こうが白みはじめた。
 リンカーたちは無事に悪夢の夜を超えることができたのだ。

担当:
鳴海
監修:
御神楽
文責:
クラウドゲームス株式会社